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9章 守るために捨てるものもあります
4.
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「ありがとうカシル、ごめん、僕がわがままを言ったばかりにこんなことになって」
魔物だけでなく殿下と遭遇するなんて本当に危険だった。もう少し殿下たちが早く来ていたら、僕の【つる】が飛び出したところを見られてしまっただろうから。
ごめん、と再度謝ったが
「いいえ、私が力不足なせいでハルトライア様を危険にさらしてしまい、本当に申し訳ございませんでした」
とカシルは首を振る。
「いっぱい血が飛んでる。ちゃんと拭いておかないと。とってもきれいな銀髪なのに」
謝罪の気持ちでいっぱいの僕はポケットからハンカチを取り出し、カシルの髪の毛に飛び散った血を拭いていく、こんなことで許されるわけじゃないけれど。でも血は少し固まってしまって取るのが難しい。
「ぬるま湯で洗い流せば取れますから、お気になさらないでください。ありがとうございます」
ごしごしと動かしていた手をそっと握ったカシルがもう大丈夫ですよとほほ笑む。
「ダメだ、ちゃんときれいにしないと」と再度髪に手を伸ばす。
そんな僕を少し離れたとこから見た二人が「あれは天使だよな」「当たり前だろう」という会話がされていたが僕の耳には聞こえていなかった。
ああ、カッコいい。こんな血まみれでも、カシルは本当にかっこいい。
いつでも僕を守るため、全力で立ち向かってくれる。
でもいつか、カシルがカシル自身の血で血まみれになってしまうかもしれない。
目の端に彼岸花が映った。あれはこの世界ではリコリスと呼ばれてユリと同様に華やかさを愛でられている花。だが前世ではあの世である彼岸へ導く花だ。
今回お荷物な僕を下ろしたところで、ガロディア辺境伯の助けがなかったら3頭の魔物に勝てなかったと思う。
そうなれば、お前も僕も今頃は彼岸に立っているのだ。
勝てないと分かっている戦いで、お前は僕を置いてちゃんと逃げてくれるのだろうか。
もしカシルが逃げないなら、僕は自分が死ぬ前にお前が魔物に殺されるところを目の当たりにするのだ。
鮮やかすぎる彼岸の花がカシルの体から溢れ出る血のように思えて思わず目をつむった。
っ、そんなのっ、絶対嫌だっ!
涙がこぼれ出そうになった。背中がぞわぞわうずく。
「っ、ごめんっ」
我慢したせいでひきつった声になってしまった。
その時カシルを拭いていた僕の頭上から、いぶかしむような低い声がして、ビクと僕の体が揺れた。
「カシル、と言ったか。執事だよな、その服装は」
ガロディア辺境伯だ。
なぜそんな剣呑な声を出したのだろう。不安でカシルにしがみつくとぎゅうと抱きしめ返された。大丈夫です、と言っているようにも感じる。
僕を抱いたまま、頭を下げたカシルが「さようにございます」と返事をする。
「お前、腕にはかなり自信があんだろう。あの見事な剣技、遠くからでも凄さが分かったよ。どっかの騎士団長かと思ったくれぇだ」
はは、と笑ったが、またすぐに険しい顔に逆戻りだ。
「だがカシルよ、このような無力な幼子をお前一人で連れ歩き、その挙句たった3頭の魔物でこの有り様たぁ、自身の技術を過信しすぎて正に笑止千万だな。主を大切に思うなら、もっと精進するとともに人に頼ることを覚えろ。でねぇといつか腕の中の天使を失うことになるぞ」
「は。ご指導を賜り、ありがとうございます。心して精進いたします」
カシルはまた深く頭を下げる。
だがガロディア辺境伯の言葉は、僕の涙腺を崩壊させてしまった。
「ぅあっ、ちがっ、ちがうっ、カシルはっ、悪くなっ、、っ僕がっ」
ひっ、と喉がヒクついてうまくしゃべれない。
僕の行動が全部悪いんだ。
わがままを言って体力の限界を無視して屋敷を出た。
「う、うっ、僕が、悪っ、、っ強けれっばっ、ひっ、ぁっ」
ユアから魔力循環を教わった後ならもっと対処法もあったろうに。
動けない僕を抱えてカシルが逃げ回るなんて無かったもしれないのに。
剣を振るってカシルと共に戦えたかもしれないのに。
カシルが「ハルトライア様は悪くございません」と繰り返し言ってくれるが、どうしても止められなかった。
「うう、っ、ちがうっ、、僕の、っせいっ、ひっうっ」
背中も熱くてくるしい。【つる】が服の下で暴れてうねうねして、もう飛び出してしまいそうだった。
【つる】を抑えなきゃいけない状況で、涙が止まるはずがなかった。
そんな僕の赤毛に再度大きな手が乗せられた。それがワシャワシャとまた髪をかき混ぜる。
「幼子にゃ幼子の言い分があんだろ。だがな、大人の騎士には守るべき規律と譲れない信義がある。ハルトライアは守られればいいしそれを恥じちゃならねぇ。そしていつか守れるようにこれから研鑽に励めばいい。それだけ泣くんだ、もう分かってんだろう。賢い子だな」
厳しくも温かい言葉に余計に涙があふれる。
でも僕にはその「いつか」なんて来ない。期限が決まっているのだから。
最長でも7年、最短だともう明日かもしれない、僕が魔王になるのは。
全力で、いや、それ以上で今研鑽しなくては、カシルとユアを守れない。
でもそのせいでこんな風にカシルが危険に合うのは嫌だっ
「ひ、っ、くっ、うっぅ、っ」
僕はどうすればいい
転生チートなんて1つも持っていない僕。なんならマイナスになってるくらいの状況で……っ
……っそうか、もう、やめればいい
もう、今すぐ
「、う、僕、っがっ、ぅ、し、っね、、っ」
その瞬間、カシルがぶわっと浄化魔法をかけた。体の表面でのたうっていた【つる】がしゅうと静かになる。
ぼろぼろと涙をこぼしながらもカシルを見ると、眼鏡の奥の緑は優しくてどこまでも力強くて。
「ハルトライア様、あなたは死にません」
ぎゅうと抱きしめられて、耳元で囁かれた。
「私がいつでも全力であなたをお支え致します。辛いときも苦しいときも、何があっても絶対にお傍を離れませんから。ずっと私と一緒に生きていきましょう」
それは忠誠を誓うというよりまるで愛の告白のようで。
なのに僕の口からこぼれるのは嗚咽以外はカシルという言葉だけ。
「ぅう、カシ、ル、、カ、ッ、ル、っゥ、っく」
守りたいと思って
強くなりたいと思って
頑張るために森に来た
だが頑張るなんてただの口実
僕はエリーへの嫉妬で家を飛び出した
そして危険に自ら近寄ってお前を失いかけて
最低だ
そんなの守る守られるの覚悟ですらない
ただの無謀だ
馬鹿のやることだ
「ごめ、っ、なさ、っカシっ、ルっ、」
もう二度と、こんなことはしない
僕は、僕が出来ることをもっと考えなきゃならない
お前を守れる自信がつくまで危険に近寄ってはならない
嫉妬で【つる】を広げたり屋敷を飛び出したりしてはならない
お前を守るためにいらない感情は捨てる
怒りも嫉妬も今すぐ全部捨て去れ
ぐっと涙をぬぐった。
そして顔を上げてカシルを見る。
冷静になれ
なすべきことは一つ
忘れるな
そのために生きると決めたのだから
「ごめんっ……、もう大丈夫だ、カシルありがとう」
カシルは展開していた浄化魔法を消し「滅相もないことでございます」と頭を下げた。
魔物だけでなく殿下と遭遇するなんて本当に危険だった。もう少し殿下たちが早く来ていたら、僕の【つる】が飛び出したところを見られてしまっただろうから。
ごめん、と再度謝ったが
「いいえ、私が力不足なせいでハルトライア様を危険にさらしてしまい、本当に申し訳ございませんでした」
とカシルは首を振る。
「いっぱい血が飛んでる。ちゃんと拭いておかないと。とってもきれいな銀髪なのに」
謝罪の気持ちでいっぱいの僕はポケットからハンカチを取り出し、カシルの髪の毛に飛び散った血を拭いていく、こんなことで許されるわけじゃないけれど。でも血は少し固まってしまって取るのが難しい。
「ぬるま湯で洗い流せば取れますから、お気になさらないでください。ありがとうございます」
ごしごしと動かしていた手をそっと握ったカシルがもう大丈夫ですよとほほ笑む。
「ダメだ、ちゃんときれいにしないと」と再度髪に手を伸ばす。
そんな僕を少し離れたとこから見た二人が「あれは天使だよな」「当たり前だろう」という会話がされていたが僕の耳には聞こえていなかった。
ああ、カッコいい。こんな血まみれでも、カシルは本当にかっこいい。
いつでも僕を守るため、全力で立ち向かってくれる。
でもいつか、カシルがカシル自身の血で血まみれになってしまうかもしれない。
目の端に彼岸花が映った。あれはこの世界ではリコリスと呼ばれてユリと同様に華やかさを愛でられている花。だが前世ではあの世である彼岸へ導く花だ。
今回お荷物な僕を下ろしたところで、ガロディア辺境伯の助けがなかったら3頭の魔物に勝てなかったと思う。
そうなれば、お前も僕も今頃は彼岸に立っているのだ。
勝てないと分かっている戦いで、お前は僕を置いてちゃんと逃げてくれるのだろうか。
もしカシルが逃げないなら、僕は自分が死ぬ前にお前が魔物に殺されるところを目の当たりにするのだ。
鮮やかすぎる彼岸の花がカシルの体から溢れ出る血のように思えて思わず目をつむった。
っ、そんなのっ、絶対嫌だっ!
涙がこぼれ出そうになった。背中がぞわぞわうずく。
「っ、ごめんっ」
我慢したせいでひきつった声になってしまった。
その時カシルを拭いていた僕の頭上から、いぶかしむような低い声がして、ビクと僕の体が揺れた。
「カシル、と言ったか。執事だよな、その服装は」
ガロディア辺境伯だ。
なぜそんな剣呑な声を出したのだろう。不安でカシルにしがみつくとぎゅうと抱きしめ返された。大丈夫です、と言っているようにも感じる。
僕を抱いたまま、頭を下げたカシルが「さようにございます」と返事をする。
「お前、腕にはかなり自信があんだろう。あの見事な剣技、遠くからでも凄さが分かったよ。どっかの騎士団長かと思ったくれぇだ」
はは、と笑ったが、またすぐに険しい顔に逆戻りだ。
「だがカシルよ、このような無力な幼子をお前一人で連れ歩き、その挙句たった3頭の魔物でこの有り様たぁ、自身の技術を過信しすぎて正に笑止千万だな。主を大切に思うなら、もっと精進するとともに人に頼ることを覚えろ。でねぇといつか腕の中の天使を失うことになるぞ」
「は。ご指導を賜り、ありがとうございます。心して精進いたします」
カシルはまた深く頭を下げる。
だがガロディア辺境伯の言葉は、僕の涙腺を崩壊させてしまった。
「ぅあっ、ちがっ、ちがうっ、カシルはっ、悪くなっ、、っ僕がっ」
ひっ、と喉がヒクついてうまくしゃべれない。
僕の行動が全部悪いんだ。
わがままを言って体力の限界を無視して屋敷を出た。
「う、うっ、僕が、悪っ、、っ強けれっばっ、ひっ、ぁっ」
ユアから魔力循環を教わった後ならもっと対処法もあったろうに。
動けない僕を抱えてカシルが逃げ回るなんて無かったもしれないのに。
剣を振るってカシルと共に戦えたかもしれないのに。
カシルが「ハルトライア様は悪くございません」と繰り返し言ってくれるが、どうしても止められなかった。
「うう、っ、ちがうっ、、僕の、っせいっ、ひっうっ」
背中も熱くてくるしい。【つる】が服の下で暴れてうねうねして、もう飛び出してしまいそうだった。
【つる】を抑えなきゃいけない状況で、涙が止まるはずがなかった。
そんな僕の赤毛に再度大きな手が乗せられた。それがワシャワシャとまた髪をかき混ぜる。
「幼子にゃ幼子の言い分があんだろ。だがな、大人の騎士には守るべき規律と譲れない信義がある。ハルトライアは守られればいいしそれを恥じちゃならねぇ。そしていつか守れるようにこれから研鑽に励めばいい。それだけ泣くんだ、もう分かってんだろう。賢い子だな」
厳しくも温かい言葉に余計に涙があふれる。
でも僕にはその「いつか」なんて来ない。期限が決まっているのだから。
最長でも7年、最短だともう明日かもしれない、僕が魔王になるのは。
全力で、いや、それ以上で今研鑽しなくては、カシルとユアを守れない。
でもそのせいでこんな風にカシルが危険に合うのは嫌だっ
「ひ、っ、くっ、うっぅ、っ」
僕はどうすればいい
転生チートなんて1つも持っていない僕。なんならマイナスになってるくらいの状況で……っ
……っそうか、もう、やめればいい
もう、今すぐ
「、う、僕、っがっ、ぅ、し、っね、、っ」
その瞬間、カシルがぶわっと浄化魔法をかけた。体の表面でのたうっていた【つる】がしゅうと静かになる。
ぼろぼろと涙をこぼしながらもカシルを見ると、眼鏡の奥の緑は優しくてどこまでも力強くて。
「ハルトライア様、あなたは死にません」
ぎゅうと抱きしめられて、耳元で囁かれた。
「私がいつでも全力であなたをお支え致します。辛いときも苦しいときも、何があっても絶対にお傍を離れませんから。ずっと私と一緒に生きていきましょう」
それは忠誠を誓うというよりまるで愛の告白のようで。
なのに僕の口からこぼれるのは嗚咽以外はカシルという言葉だけ。
「ぅう、カシ、ル、、カ、ッ、ル、っゥ、っく」
守りたいと思って
強くなりたいと思って
頑張るために森に来た
だが頑張るなんてただの口実
僕はエリーへの嫉妬で家を飛び出した
そして危険に自ら近寄ってお前を失いかけて
最低だ
そんなの守る守られるの覚悟ですらない
ただの無謀だ
馬鹿のやることだ
「ごめ、っ、なさ、っカシっ、ルっ、」
もう二度と、こんなことはしない
僕は、僕が出来ることをもっと考えなきゃならない
お前を守れる自信がつくまで危険に近寄ってはならない
嫉妬で【つる】を広げたり屋敷を飛び出したりしてはならない
お前を守るためにいらない感情は捨てる
怒りも嫉妬も今すぐ全部捨て去れ
ぐっと涙をぬぐった。
そして顔を上げてカシルを見る。
冷静になれ
なすべきことは一つ
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そのために生きると決めたのだから
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