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カメを拾った(3)
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そっと両手をそろえ、落とさないように注意しながら顔の近くにカメを持ってくる。やっぱり黒い瞳がきれいだ。
「ふふ、かわいいなお前。初めまして、俺は虎斑、梅松虎斑。トラって呼んでくれたらいいよ」
返事なんてあるわけないのに、つい自己紹介をしてしまった。人嫌いの虎斑は必要がない限り人とは口をきかない。その反動か、こういった小動物にはついつい話しかけてしまうのだ。
カメの大きな黒い瞳があまりにまっすぐこちらを見るからほだされた。
そういうことにしておこう。
『良い名前だ。よろしく虎斑』
「え?」
なんか今、返事が聞こえた?
誰かいる? あたりをキョロキョロと見渡したが、ここには虎斑とカメ以外何もいない。琵琶湖にはたくさんの水鳥が浮いているけれど。
「気のせいか」
そっとカメを足元におろし、「じゃあね」と声をかけて虎斑は立ち上がる。
カメはまた小さく細波をたててスゥと沈んでいった。
虎斑はまず見えていた湖岸に飛び出すお寺の方面に向かった。
そこはここからほど近く、細い路地を抜けるとすぐ右手にそれらしいものがあった。
あちこちに案内板があり、ここは満月寺で、琵琶湖上にあるお堂は浮御堂と言うらしい。
この寺はどうやらコスプレの撮影にもよく使われているようだ。ちょうど目の前の入り口近くには何やら平安時代くらいの格好をした男の人が立っているし、浮御堂につながる橋の上にはカメラにポーズをとる十二単衣のような着物を着た人がいた。
都会では考えられない光景にワクワクしながら、虎斑は目的地である琵琶湖大橋を目指し歩き出す。
道すがら、甲冑をきた武士や、今や珍しいセーラー服に身を包んで防空頭巾をかぶった少女にもすれ違った。
すごいな。コスプレばかりだ。
景色だけでなくあたりの人々の格好にも興味津々で、好奇心の赴くままキョロキョロしながら虎斑は琵琶湖大橋までやってきた。コスプレが気になりゆっくり歩いていたから1時間くらいかかったろうか。
漁師っぽい人と戦国時代の武士などが本当に多かったな。今度祭りでもあるのか?
と考えながらも大きな橋を歩き始めれば、一番高いところたどり着くことに意識は移る。
広い歩道を上っていると後ろから次々に車道を走る車やバイクが虎斑を追い越していく。だがバイクで通るなら、この橋の頂上には止まれないのだ。あの場所は徒歩か自転車で渡る人の特権だな。
橋を渡り始めて10分ほど。ようやく一番上に来て止まった虎斑は北を眺める。その気持ちよさと美しさにため息をついた。
吹く風はひやと冷たいが、視界には太陽を受けてどこまでも光る琵琶湖。浮く小舟たちの進む跡が白く波立ち線を描く。そして湖上に広がる筋雲のかかる青空には大きな羽を広げた鳥が渡っている。
湖を囲む冬の黒い山々が遠くにかすみ、まるで昔話の世界に迷い込んだような気持ちになる。なにもかもが新鮮で美しい。
「これはカメラで撮らなきゃっ」
SNSをやっているわけではないが、美しい景色は誰しもがカメラに収めたくなるもの。
だがポケットからスマートフォンを取り出そうとしたその時、その手首をガシっと誰かに掴まれた。
「は?」
掴まれた腕からつかんだ人物に視線を移す。
目の前にはびしょ濡れの長い髪をたらし、びしょ濡れの青いノースリーブワンピースを着たうら若い女性がいた。
「え……」
この12月にこんな夏の格好でしかも濡れてる。なんで?
脳の処理能力を超えたのか、呆然と彼女を見ることしかできなかった虎斑に、女性はニタァとほほ笑んだ。
「いっしょに、いきましょ」
その声と当時に虎斑の周りには人間がたくさん現れた。
さっきすれ違ったセーラー服の女生徒や武士たちや漁師、平安時代の男の人など総勢十人以上はいる。
「なっ、」
なんだよ! と叫ぼうとした瞬間足元の地面がなくなりものすごい勢いで自由落下が始まった。
「うわああああああ!」
自分の叫び声に重なって「いきましょぉぉ」と笑顔で手首をつかんだまま落下する女性の声が耳をねちょりと蝕む。
「いきましょ」って「逝きましょ」ってことかよ!
腕をつかまれたままの虎斑に琵琶湖面が目の前に迫ってくる。
ああぶつかる! 死ぬ!
と次の瞬間バシャアアアア! と大きな波しぶきが上がり、湖面がなぜか開いた。まるで生き物の口のように。
そして虎斑は女や武士ごと一緒にそれにばぐん! と飲み込まれてしまった。
そうして気が付いたら今、この状況だった。
そこまで思い出したとき、ぬめぇと体を再度締め付けられた。
ブルと震えながら「へくしっつ!」とくしゃみをしたら自分の髪の毛からもぽたぽたとしずくが落ちていることに気付く。
そうか。琵琶湖大橋から落ちて、このナマズに食われて気を失ってたってことか。
現在進行形として、ナマズに捕らわれているが、この浜はさっきカメを見つけた場所だ。
そしてカメはなぜか知らないが自分を助けようとナマズと口論している。
「虎斑は人間だ。お前と違う。我とも違う。だからその尻尾から開放しろ」
「久々に会うたってのにあんさんワシより人間にすり寄るんかいっ。そんな生臭ガメになりさがってしもたんかい!」
「会う度に言っておるがクサガメではない。我の姿はニホンイシガメぞ」
「カメなんて何でも一緒やんかっ」
「ならお前をタイガープレコと呼んでよいか」
「なっ! タイガープレコはナマズ仲間やけど10センチしかないやん! ワシは立派なビワコオオナマズや! 見よこの黒い巨体を!」
ぬおんと水面から体を持ち上げ黒光りする皮膚をこちらに見せつけてくる。
カメはなんでも一緒と言っていたくせにナマズは違うらしい。
随分な言い草だ。
異様な状況と殺されるかと思って最初は恐怖を感じたものの、どこかお気楽な会話を繰り広げる二匹にだんだん怖さが薄れてきて、歯の震えが止まった。そのおかげで少しだけしゃべることができた。
「おい、俺を離せよ」
ぎゃーぎゃーと言い合っていた二匹の視線が、虎斑にぎゅっと集まる。そして最初に口を開いたのはナマズだった。
「あ、驚かしてもた? すまんのぉ。あんさん生臭ガメの友達なんやろ? お二人さんどこで会うたん? ワシ最近ずーっと会えへんかったから、引きこもってもう居いひんなってしもたんかなぁ思て心配しててん」
友達? いなくなる? このカメのことか?
訳が分からず返答に困ったが
「会ったのはさっきだ」
とカメが返事をした。
「ふふ、かわいいなお前。初めまして、俺は虎斑、梅松虎斑。トラって呼んでくれたらいいよ」
返事なんてあるわけないのに、つい自己紹介をしてしまった。人嫌いの虎斑は必要がない限り人とは口をきかない。その反動か、こういった小動物にはついつい話しかけてしまうのだ。
カメの大きな黒い瞳があまりにまっすぐこちらを見るからほだされた。
そういうことにしておこう。
『良い名前だ。よろしく虎斑』
「え?」
なんか今、返事が聞こえた?
誰かいる? あたりをキョロキョロと見渡したが、ここには虎斑とカメ以外何もいない。琵琶湖にはたくさんの水鳥が浮いているけれど。
「気のせいか」
そっとカメを足元におろし、「じゃあね」と声をかけて虎斑は立ち上がる。
カメはまた小さく細波をたててスゥと沈んでいった。
虎斑はまず見えていた湖岸に飛び出すお寺の方面に向かった。
そこはここからほど近く、細い路地を抜けるとすぐ右手にそれらしいものがあった。
あちこちに案内板があり、ここは満月寺で、琵琶湖上にあるお堂は浮御堂と言うらしい。
この寺はどうやらコスプレの撮影にもよく使われているようだ。ちょうど目の前の入り口近くには何やら平安時代くらいの格好をした男の人が立っているし、浮御堂につながる橋の上にはカメラにポーズをとる十二単衣のような着物を着た人がいた。
都会では考えられない光景にワクワクしながら、虎斑は目的地である琵琶湖大橋を目指し歩き出す。
道すがら、甲冑をきた武士や、今や珍しいセーラー服に身を包んで防空頭巾をかぶった少女にもすれ違った。
すごいな。コスプレばかりだ。
景色だけでなくあたりの人々の格好にも興味津々で、好奇心の赴くままキョロキョロしながら虎斑は琵琶湖大橋までやってきた。コスプレが気になりゆっくり歩いていたから1時間くらいかかったろうか。
漁師っぽい人と戦国時代の武士などが本当に多かったな。今度祭りでもあるのか?
と考えながらも大きな橋を歩き始めれば、一番高いところたどり着くことに意識は移る。
広い歩道を上っていると後ろから次々に車道を走る車やバイクが虎斑を追い越していく。だがバイクで通るなら、この橋の頂上には止まれないのだ。あの場所は徒歩か自転車で渡る人の特権だな。
橋を渡り始めて10分ほど。ようやく一番上に来て止まった虎斑は北を眺める。その気持ちよさと美しさにため息をついた。
吹く風はひやと冷たいが、視界には太陽を受けてどこまでも光る琵琶湖。浮く小舟たちの進む跡が白く波立ち線を描く。そして湖上に広がる筋雲のかかる青空には大きな羽を広げた鳥が渡っている。
湖を囲む冬の黒い山々が遠くにかすみ、まるで昔話の世界に迷い込んだような気持ちになる。なにもかもが新鮮で美しい。
「これはカメラで撮らなきゃっ」
SNSをやっているわけではないが、美しい景色は誰しもがカメラに収めたくなるもの。
だがポケットからスマートフォンを取り出そうとしたその時、その手首をガシっと誰かに掴まれた。
「は?」
掴まれた腕からつかんだ人物に視線を移す。
目の前にはびしょ濡れの長い髪をたらし、びしょ濡れの青いノースリーブワンピースを着たうら若い女性がいた。
「え……」
この12月にこんな夏の格好でしかも濡れてる。なんで?
脳の処理能力を超えたのか、呆然と彼女を見ることしかできなかった虎斑に、女性はニタァとほほ笑んだ。
「いっしょに、いきましょ」
その声と当時に虎斑の周りには人間がたくさん現れた。
さっきすれ違ったセーラー服の女生徒や武士たちや漁師、平安時代の男の人など総勢十人以上はいる。
「なっ、」
なんだよ! と叫ぼうとした瞬間足元の地面がなくなりものすごい勢いで自由落下が始まった。
「うわああああああ!」
自分の叫び声に重なって「いきましょぉぉ」と笑顔で手首をつかんだまま落下する女性の声が耳をねちょりと蝕む。
「いきましょ」って「逝きましょ」ってことかよ!
腕をつかまれたままの虎斑に琵琶湖面が目の前に迫ってくる。
ああぶつかる! 死ぬ!
と次の瞬間バシャアアアア! と大きな波しぶきが上がり、湖面がなぜか開いた。まるで生き物の口のように。
そして虎斑は女や武士ごと一緒にそれにばぐん! と飲み込まれてしまった。
そうして気が付いたら今、この状況だった。
そこまで思い出したとき、ぬめぇと体を再度締め付けられた。
ブルと震えながら「へくしっつ!」とくしゃみをしたら自分の髪の毛からもぽたぽたとしずくが落ちていることに気付く。
そうか。琵琶湖大橋から落ちて、このナマズに食われて気を失ってたってことか。
現在進行形として、ナマズに捕らわれているが、この浜はさっきカメを見つけた場所だ。
そしてカメはなぜか知らないが自分を助けようとナマズと口論している。
「虎斑は人間だ。お前と違う。我とも違う。だからその尻尾から開放しろ」
「久々に会うたってのにあんさんワシより人間にすり寄るんかいっ。そんな生臭ガメになりさがってしもたんかい!」
「会う度に言っておるがクサガメではない。我の姿はニホンイシガメぞ」
「カメなんて何でも一緒やんかっ」
「ならお前をタイガープレコと呼んでよいか」
「なっ! タイガープレコはナマズ仲間やけど10センチしかないやん! ワシは立派なビワコオオナマズや! 見よこの黒い巨体を!」
ぬおんと水面から体を持ち上げ黒光りする皮膚をこちらに見せつけてくる。
カメはなんでも一緒と言っていたくせにナマズは違うらしい。
随分な言い草だ。
異様な状況と殺されるかと思って最初は恐怖を感じたものの、どこかお気楽な会話を繰り広げる二匹にだんだん怖さが薄れてきて、歯の震えが止まった。そのおかげで少しだけしゃべることができた。
「おい、俺を離せよ」
ぎゃーぎゃーと言い合っていた二匹の視線が、虎斑にぎゅっと集まる。そして最初に口を開いたのはナマズだった。
「あ、驚かしてもた? すまんのぉ。あんさん生臭ガメの友達なんやろ? お二人さんどこで会うたん? ワシ最近ずーっと会えへんかったから、引きこもってもう居いひんなってしもたんかなぁ思て心配しててん」
友達? いなくなる? このカメのことか?
訳が分からず返答に困ったが
「会ったのはさっきだ」
とカメが返事をした。
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