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最終話:空に贈る手紙~前編~

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「今日は、私とぽんすけのお留守番だよー。何して過ごそうかねぇ?ん?」
 
 もうすぐ今年も終わる、十二月の朝。

 朝食の後片付けを済ませた葉子さんは、ぽんすけの顔を両手で包み込みながら

「今日は寒いから、お昼間の散歩以外は外には出ませんからね、わかりましたか?」

 と子供に言い聞かせるように話しかけています。

 そんな葉子さんも、今日はすっかりお休みモード。

 いつもならエプロンを着けて気合を入れるところですが、赤いはんてんに身を包んでいます。

「昨日捨て忘れた葉子さんの資源ごみですが、裏の倉庫に置いてありますからね」

「はーい。昨日が今年最後ってわかってたのに、やっちゃいましたよねぇ。ごみと一緒に年越ししちゃうなんて。あ、道、凍ってるかもしれませんから気を付けてください。なんか天気がすっきりしないですから、折り畳み傘持って行った方が良いですよ」

「そうですね、ありがとうございます」
 
 グレーのロングコートに、紺色のマフラーを巻いて、同じく紺色の手袋をつけて。

 ポケットにはカイロも忘れていません。

 愛用の黒いショルダーバッグを斜めに掛け、すみれ色の折りたたみ傘も忘れずに。

 葉子さんと、手の代わりに尻尾を大きく振るぽんすけに「いってきます」と食堂を出ました。

 敢えてそうしなくても、ただ息をするだけで顔の前を浮遊する白い吐息。

 村を囲む山々も雪化粧をして、しん、と静まり返っています。

 ぎゅっ、ぎゅっ、と雪を踏みしめる音だけが囁く静かな朝。

 澄んだ空気と、ぼんやりと薄い雲が覆った灰色の空、凍てついた田んぼは、まさに冬の装いそのもの。
 
 駅員の木ノ下拓海さんにご挨拶をし、間もなくしてやって来た電車に揺られて、山を越えた町――今は息子さんが経営を引き継いだ、滝本タツ子さんの「おばあの野菜カフェ」がある町で電車を乗り換えます。

 そこから三駅進み、駅前バスに乗り込んで十五分。
 
 小さな町はずれの、シャッターが降りたお店が目立つ商店街の手前でバスを降りました。

「確かこの辺りなのよね。あら」
 
 頬に微かな冷たい感覚が。

 雨です。

 霧雨が目の前の光景に淡い靄をかけはじめました。
 
 葉子さんのお陰で忘れずに済んだ折りたたみ傘を差して、商店街の和菓子屋さんの脇道に入り、神社へ続く坂道の半ばで左に曲がり、住宅街に出ました。

 築年数の古そうな長屋に、昔ながらのアパートは植物の細い枝がびっしりと屋根まで覆っていて、人の気配がしません。

 細い路地を抜けてようやく道の先、左手のレンガ造りの建物の屋根の下に掛けられたアイアンの看板が見えました。

 雨の日珈琲店かたつむり
 
 白い丸文字で書かれた店名と、かたつむりの絵です。
 
 壁中を這う蔦は屋根まで伸び、お店の入り口以外をぐるりと紫陽花が囲んでいます。

「まぁ、綺麗」
 
 細かな霧雨を纏った青い紫陽花にうっとりしながら入り口の前を通り過ぎ、窓側に回り込むと咲き乱れる花の中に隠れるようにして佇む赤いポストがありました。

「これの事かしら」
 
 もう今はなかなか見ないような、赤いレトロなポスト。

 回収時間などは書かれていないようです。

 それにしても、葉子さんもよくこんな駅からもメイン通りからも離れたお店を見つけたものです。
 
 開かれた紅いベロアのカーテンの影からそっと店内を見ると、お客様はいらっしゃらないようです。
 
 さっき通って来た入り口側に戻ると、重厚な木製ドアには木札が掛けられていました。
 
 殻から顔をぐんと伸ばたかたつむりが描かれています。裏を見ると、そちらは殻にこもったかたつむりが。

 きっと今掛けられている顔を出している方が営業中という意味なのでしょう。真鍮のドアノブを回しました。
 
 カラン コロン カラン
 
 頭上で音が転がり、入り口側から店の奥までL字に伸びるブラウンのカウンターの中にいた女性が顔を上げ、

「いらっしゃい」
 
 と会釈しました。

「お好きな席にどうぞ」
 
 さっき店内を覗いた、天井から床までの大きな窓際にあるテーブル席のソファに座る事にしました。
 
 窓は大きいとはいえ、座った時の肩の高さまで紫陽花が壁になっているので、外から丸見えという事はありません。

 ベロアの紅いカーテンは金色のタッセルで纏められ、この落ち着いた雰囲気は店内が程よい灯りに保たれているからでしょうか。

 壁に取り付けられた最低限のランプが、飴色の柔らかな温もりある光でお店を照らしています。

 テーブルの隅に置かれたメニューは一枚。

 綺麗な青い縁取りがされているそれに書かれているのは至ってシンプル。

 珈琲(ホット・アイス)
 ミルク(ホット・アイス)

「まぁ、どうしてもって言われれば紅茶も出しますけどね。特別に」
 
 どうぞ、とおしぼりを運んできた女性は、艶のある黒髪のポニーテールの毛先を背中で揺らし、ペイズリー柄の水色のバンダナを巻いています。

 腰巻のエプロンのポケットには外のと同じ、青色の紫陽花が刺繍してあります。

 ひと針ひと針、繊細に丁寧に施された刺繍からは、寸分の狂いもない几帳面さ、だけど大らかで優しい雰囲気が伝わります。

 手芸は色々ありますが、そのどれにしても作品からには人柄が現れるものだと思います。

「これ、ご自分で?」

「いえ、時々来るお客さんに。凄いんですよ、縫物のプロですから。お洋服のお直しで生活してる方で。素敵でしょう」
 
 刺繍されたポケットに親指を入れて笑みを浮かべる彼女は、奥二重のすっきりした顔立ちの、可愛らしいお嬢さん――と言っても勿論、子供ではありません。

 上に見ても三十代半ばと言ったところでしょうか。

「飲み物、何にします?」
 
 目を少し大きく開いた彼女の瞳は、透けるような栗色です。

「温かい珈琲をお願いします」

「かしこまりました」

「あの――」

「はい?」
 
 カウンターに入ろうとした彼女の背中に、少し勇気を出して声を掛けました。

「チトセさん、ですよね」

「えぇ、そうですけど」
 
 きょとんとした表情のままカウンターに入り、珈琲豆の入った瓶がある壁際の棚に手を伸ばしました。

「あ、ごめんなさい。ここに来た事のある方からお伺いしていたものですから。このお店の事と、外のポスト――」
 
 あれ?
 
 窓の向こうに視線を移して、その異様な光景にようやく気が付きました。
 
 どうしてこの真冬の時期に紫陽花が?

「あぁ、あのポスト。本当ですよ」

「本当……」

「亡くなった人に届けてくれるってやつでしょ?まぁ、実際に届いているかどうか確認したわけじゃないので、そこはわかりませんけど。でも届けてるのは本当。お客様を呼び寄せる為に嘘ついて、実は捨ててますとかそういうの無いですから。安心してください」
 
 ミルを挽く音が心地よく、深くソファに背をもたれて左の窓から見える紫陽花に目を細めました。

「お待たせしました」
 
 コトン、と目の前に出された白磁のカップで、深い色の珈琲の水面がひらりと揺らぎ。

 ふくよかな香りを抱いた淡い湯気が、私の鼻孔と、ノスタルジックな気持ちになっていた私の心をくすぐります。

「ありがとうございます。いただきます」
 
 チトセさんはトレイを胸に「ごゆっくり」と微笑み、カウンターの向こうに腰かけました。

「そろそろ回収に来ますよ」

「え?」
 
 まろやかな口当たりの、コクの深い珈琲にため息を吐いていると、チトセさんが私の座る窓の向こうを指さしました。

「ポスト。毎日回収に来るんです。時間は決まってないんですけど、多分今日はそろそろ来ますよ」

「そう、ですか」

 隣に置いていたショルダーバッグに触れて――ここまで来てどうしようか躊躇っている自分が情けないです。

「あ」
 
 チトセさんの声に焦って立ち上がると、ポストの前にいたのはひとりの高齢の男性です。

 グレーのハットをかぶった男性は、そのまま杖をついて玄関に回りました。

 カランコロン カラン

「いらっしゃいませ。コート、お預かりしますね」

「こんにちは。えぇ、お願いします」
 
 ハットと同じグレーのロングコートをチトセさんが手伝いながら脱ぎ、コート掛けに掛けました。

「おや、初めましてですね。こんにちは。桂木と申します」

「初めまして、桜井と申します。さっき……その、お手紙を出されていたんですか?」

「えぇ。もうこれが日課になってまして」
 
 口元の整えられた白いひげを掻きながら、少し恥ずかしそうに笑みを浮かべています。

「大したことは書いてないのですが。もう二十年も前に亡くなった妻に宛てて、私のつまらない日常を書いては投函しているのです。死んだ人に届くなんて、にわか信じがたい話ではありますが、届けてくれている青年がなかなか不思議な子でね。そんなあり得ない事も彼なら上手くやってくれるんじゃないかって思えてしまうんです。それにとても良い子で。チトセさんお墨付きですし――ほら、ちょうど来ましたよ」
 
 靄のように細かい雨の中、いつのまにかポストの前に人影が。

 黒いロングコートのフードが、目元を覆っていて顔は良く見えません。

 傘も差さないその人は手紙を回収しているのか、俯いたまま黙々と作業をしています。

「あら――」
 
 顔の上半分がフードが隠れているものの、目が合いました。

 じっと私を見つめ、すっと方向転換すると、玄関の方へと消えて行きました。

「いらっしゃい」
 
 声を掛けたチトセさんに返事をするでもなく、軽く会釈だけ返すと、するりとこちらに音もなく歩いてきます。

 いえ、足首まである見たことも無い程の長いコートの下から、更に床を引きずるほどの緑の裾の広いズボンが見えていて、歩くというより滑っているような。

 つまり、歩く音がしないのです。

「珍しいね、中まで入って来るなんて」
 
 桂木さんはそう言うと、特に驚くでもなく私の後ろのソファのテーブル席につきました。
 
 私のテーブルの横で立ち止まった彼は、じっとその金色の瞳で見つめてきます。

 吸い込まれてしまいそうな程の、神々しいような瞳に耐えられなくなった頃、先に言葉を発したのは彼です。

「手紙」
 
 私のすぐ脇のショルダーバッグに視線を落としました。

「出さなくて良いのか」
 
 すると彼は肩から下げた、紺色の底の広い大きながま口バッグを少し開けて見せて

「その鞄に入っている手紙を出すために来たのではないのか」

「あ、えっと……」
 
 ショルダーバッグのファスナーは端から端までしっかり閉めています。ここに入っているものが解るというのでしょうか。

「焚き上げるんだ」
 
 ゆっくりと、落ち着いた口調で言葉を続けました。

「観光地になられても困るので神社の場所は言えないが、今は忘れ去られ、人も寄り付かないような廃神社に、呆れる程に人間が好きな神様がいる。参拝すらしない人間の為に祈り、あの世に手紙を届けている。自分を頼ってこないくらい幸せなのかもしれない。でも、大切な人を亡くして悲しみに暮れているのなら、この力をその人々に使いたいって」
 
 はぁ、と肩を落としてあからさまなため息を吐くと

「信仰の薄い神の力なんて、身を保つだけでも大変なんだ。だから、いつも手紙を届けた後は枯れ葉も同然なくらい疲れ果てているが」

「まぁ、でも」と、改めて肩紐を掛け直し、背筋を伸ばし

「あの神様の力は僕が保証する。必ず届ける。それは約束できる」

 その言葉も眼差しも、あまりにも真っ直ぐで。

 カウンターの向こうのチトセさんも「大丈夫ですよ」と親指を立ててグーのサインをしています。

「あぁ、うん。ごめんなさい、疑っているわけじゃないの。こういうの、初めてだから少し驚いてしまって。わざわざありがとうございます。たくさんあるのだけど……大丈夫かしら」

「問題ない。全て、あなたの大切な人に必ず届ける」
 
 これまでの十年間で書き溜めた手紙の束を丁寧に両手で受け取ってバッグに仕舞い、パチンと金色の口金を閉じた彼は、一礼し、後ろの席の桂木さんにも同じように頭を下げてから再び音もなく店を出て行きました。


「ハルさん、おかえりなさい」

「あら、木ノ下さん。お仕事お疲れさまです」
 
 電車を降りると、ホームで出迎えてくださったのは駅員の木ノ下さんです。

 箒を手に、掃除をしている途中のようです。

「そうだ。木ノ下さん、良かったらどうぞ。お出かけしてきたお土産です」

「わっ、ありがとうございます。すみません、わざわざ」

「いえ。その紙袋は珈琲で、そっちの袋に入ってるのは野菜チップスです」
 
 チトセさんのお店の珈琲と、タツ子さんのお店――野菜カフェで買って来たものです。

「わぁ、嬉しいです。家に帰ってゆっくり頂きます。またお店にも行きますね」

「ありがとうございます。ではまた」
 
 改札を出て、木製の階段を降り、ゆっくりと深呼吸をしました。

 まるで自分の生まれ育った土地に帰って来たかのような、ほっとする匂い。
 
 十二月の冷たい空気を吸い込んでいるはずなのに、胸に広がるのはあたたかい温もりです。
 
 食堂まで続く一本道を歩きながら、左手に広大な田んぼ。

 右手に村まで続く土手を見ながら、のんびり歩いて帰ります。
 
 やがて見えて来る、私の可愛い家族。

「ぽんすけ」
 
 私の言葉に、夕風に毛をなびかせながらお尻を向けていたぽんすけの耳がぴくっと立ち上がりました。
 
 瞬時に立ち上がり、こちらをふりむく満面の笑み。

「ただいま」
 
 言うが早いか、ぽんすけという放たれた茶色い弾丸が、風の抵抗を全身に受けながら走って来ます。

「あー、あらあら、ふふっ、ただいま。はいはい、わかったわかった。ごめんね、遅くなってしまって」
 
 全力の「おかえりなさい」を受け止め、なんとか落ち着かせると

「ハルさーん!」

「あら、葉子さん」

「ハルさん……!」 

 両手をぶんぶん振りながら走ってきた葉子さんは、息を整えたかと思うと、今にも泣き出すのかと思うように顔をしかめた必死の形相になりました。

「ど、どうしました?」

「お部屋にあった着物……振袖ですよね。あれ、どこにやったんですか」

「あぁ、あれは仕舞ったんですよ」
 
 すると「な、なんだあ、良かった」と力なくその場にへたりこんでしまいました。

「今日、お掃除しにお部屋に入ったら無くなってたから焦っちゃいましたよぉ。昨日のゴミで捨てちゃったんじゃないかって……あれ、ハルさんの娘さんが着る予定だったんじゃないですか?」

「えぇ、よくわかりましたね。生きていれば娘は年明けにも成人式を迎えるはずでしたから。あの子が生まれてすぐ、夫が随分と先走って用意したものなんですよ。遅くに授かった子だったから、周りも少し呆れてしまうくらい、夫が舞い上がっちゃってね。でももう、手放そうかしらって……ここに帰ってくる電車の中で考えていたところです」
 
 葉子さんは唇を固く結ぶと、堪えるように眉間に皺をよせ、座り込んだまま私をじっと見上げました。

「売るとか捨てるとか、そういうこと考えてるなら、ちょっと待ってください。待っててください。何とかしますから。絶対。絶対に!」
 
 今までに見たことの無いくらいの葉子さんの真剣な表情に、私は頷く事しか出来ませんでした。


「あのお店、心に穴を抱えた人が行けるお店だって言ったでしょう?」
 
 一日の終わり、向かい合わせに珈琲を飲んでいた葉子さんが言いました。

「不思議なお店でしたが、とても良い所でした」

「私も、なんです。ハルさんには話したことありますよね。元夫との事。私が子供に恵まれない身体で、夫は浮気三昧だったって」

「……えぇ、そうでしたね」

「あれね――」
 
 マグカップを持っていた両手を膝の上に乗せ、心の中を整理するように一度目を閉じた葉子さんは、静かに二度頷いてからゆっくり口を開きました。

「子供に恵まれなかったって、子供ができないみたいに聞こえたかもしれないんですけど、違うんです。お腹の中で死んじゃったんですよ。もう胎動もあった、六カ月の頃です。お母さんのせいじゃないですって、原因は特定できないんですって病院の先生は言ってくれたんですけど。もう凄く悲しくて、赤ちゃんにも申し訳なくてたまらなかった……。夫も一緒に悲しんでくれたんです、その時は。でも、自分の親からやってきた病院の跡継ぎが欲しかったんですね、彼は。だから私じゃ駄目だったんです。最初で最後の妊娠だって覚悟でやっと授かった命すら産んであげられない私は、彼の跡取りは産めない。その後の彼の浮気三昧も、私には文句言える事じゃなかったんでしょうね、本当は」
 
 ぐっと悲しみを吞み込むように俯き、膝の上の拳を強く握り――そして俯いたまま、ふっと力を緩めました。

「ここに初めて来た時の匂い、あたたかさ、優しさ、全部覚えてます。もうギリギリだった私の心を優しく全部包み込むみたいなハルさんの人柄に、ここで生きていきたいって思ったんです。でも、やっぱり心の穴は空いたままだったんですね。あのお店に行けちゃったってことは。ここで充分幸せに生きていたつもりだったんだけどなぁ」

「葉子さん」
 
 珈琲が半分だけ残ったマグカップに両手を添えたまま、今日あのお店での事を話すことにしました。

「チトセさんに言われたんです。心の穴は消える事はないんですよって。心の穴を抱えたまま生きていくんですって。色んな悲しみや苦しみを抱えながら、時に振り返っては涙を流して、立ち止まって。後ろに歩いてしまったって良い。長い目で見て、一歩でも進んでいたら良いんだって。あのお店は、そういう人が時に立ち止まって心の整理をして、また次の日の朝を迎えるための場所なんだって言っていました。何なら、泣き喚いてくれても、私を罵倒してくれても良いって言ってましたよ」

「えぇ、罵倒ってそんな」
 
 思わず吹き出して笑った葉子さんの瞳が僅かに赤みを帯びていました。

「穴を抱えている同志、ゆっくりここでお料理を作りながら、お客様の笑顔を見て生きていきましょう」

「はい。はい、そうですね」
 
 葉子さんはマグカップに残った珈琲を一気に傾けて飲み干すと

「じゃあ、明日も元気にお客様をお迎えするために、そろそろ寝ましょうか」
 
 そうしてふたり後片付けを済ませ、私の後ろをくっついて「一緒に寝ます」という眼差しを向けながら階段を上るぽんすけと一緒に部屋へと戻りました。
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