デルモニア紀行

富浦伝十郎

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赤土帯

ストーンショット 3

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 ドス ドス ドス ドス ドス・・・
鈍い音を響かせて次々と黒銀色の球体が地面に落ちて行く。
大きさは俺のペレットと同じ。 鶏卵程のサイズだ。
ペレットは俺が投石で『最も投げ易い』と定めたコモンアイテムだ。
投石スキル "レールガン" 用の弾薬で重量は200gくらい。
俺が Lv7であった時でも一発で狼を即死させる威力があった。
今 俺の足元に数を増やしつつ転がる球体の重量は砲丸投げの球くらいある。
ペレットは俺が厳選した自然石が雛形になっているが、
金属的光沢を持つこれらの球体は真球だ。

 ストーンショットで発射される石の弾薬転用は俺の当初からの構想だった。
"投石" は非常に有用なスキルだが、投げる石がなければ使えない。
対獣用のペレットの手持ちは今のところゲルプ平原で確保した600個弱。
対人・対鳥(小動物) 用のぺブルは200個強。
当面は困らない程度のストックはあるが、この赤土帯や大森林では入手不能だ。
石はタダで拾えるが、どこでも という訳にはいかない。
それに俺も今はLv34だ。 投石スキルを得た時より格段に地力は上がっている。
スキル自体も未だ完熟はしていない。
弾薬のグレードが初期のままで良いということもないだろう。
・・・と俺は考えていた。

 しかし、ペレットを強化するといってもどうすればいいというのか。
コモン化されてはいても元はただの石っころだ。
『もっと強力な石』 がそこらに落ちている訳はない。
アダマンタイト等を材料にドワーフ鍛冶にでも特注ペレットを作って貰うか。
それにはべらぼうなコストが掛かる。
( 投げたペレットも一々回収して回らなければならない )
投石スキルのメリットがかなりの部分失われてしまう。
そこで俺が目を付けたのが土魔法だ。
・・・ストーンショットの石弾はタダだからな。

 SSを”調整”できるようになった俺が "零式擬き" の次に取り組んだのがコレだ。
射程と弾速を極限まで絞り"飛ばない" 石弾を作る。 
その石弾のサイズを更に絞る。 オリジナルのペレットと同サイズまで。
そうすると石弾の重量は途轍もなく大きくなってしまう。
 "零式擬き" の大岩のざっと1万倍だ。 
如何にパワーアップした俺でも流石にそれは投げられない。 てか持てない。
”投石” は(左手に4個の予備弾を持ち)手軽、且つ素早く行えなければならない。
数度の試行錯誤の末、俺が設定したのが今次々と生み出されている球体だ。

 鶏卵サイズで砲丸の重量を上回るとはいえ ほぼ静止状態で落ちるだけ。
それならばスペルの威力は規定値を大幅に下回ってしまう。
スペルの威力(性能)は一定であるならば その辻褄は何処で合わされるのか。
リキャストタイムだ。
例えば、
他の設定はそのまま "命中時の破壊力ダメージ"を倍にするとクールタイムは倍になる。
DPS(時間当たり可与ダメージ)は一定になる理屈だ。
逆もまた成り立つ。
現在俺が使用しているSSのリキャストタイムはミリ秒レベルだ。

( まあ 俺もそのスピードで連射はできないのだが )









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