デルモニア紀行

富浦伝十郎

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赤土帯

ファイアボール 4

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 何百もの火球が間を置かず俺達の間を飛び交い続けた。
これ程FBを撃ちまくったプレイヤーは今までFQにいなかった筈だ。

 俺の魔導士の位階も上がった。
魔法スキルはレベル上限スペルを100回使用すると上がるとされている。
モンスターの俺の場合、やはり例によってそれが10だったようだ。
あっという間に魔導士スキルは2に上がった。
新しく上級スペル、ファイアブロー( FBL ) が解放されている。
しかしそれは使用しない。
撃つのはあくまでFBだ。
ヨーコにもFBを撃たせている。


「くっ …キビシイな!」
30mを隔てていてもヨーコの火球を躱すのが難しくなって来た。
当然だ。 ヨーコの魔法スキルも俺とシンクロして上がっているのだから。
威力も弾速も、そして連射間隔も上昇している。
テニスコートの反対側からTOP選手二人がサーブを叩き込んで来る感じ。
勿論、俺だって慣れて来てはいる筈なのだけれど。

 俺もLv2に上がってからは放つ火球に10倍ブーストを掛けている。
当初赤かった火球はサンライトイエローの輝きを放ち弾速は矢と遜色ない。
本体ではなく頭上の点を想定して狙っているとはいえ、それを難なく躱すヨーコ。
リズムを乱すことなく俺に向かって火球を撃ち込んで来る。
マジで怖い。
コイツが俺のアシスタントで良かった、 と心底思う。
俺の敵になる奴は彼女と闘うんだ  と思うと同情してしまいたくなる程だ。



 FBはLv2魔導士の上限スペルではないからレベルアップはストップしている。
スキルレベルを上げるのが目的なら、またMPを枯渇させる事だけが目的ならば
上級スペルのFBLを撃ち合えば良い訳なのだがそうしないのには理由がある。
それは・・・


 あ!  MPがゼロになった ♪










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