デルモニア紀行

富浦伝十郎

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赤土帯

ファイアボール 3

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「射ち方止め!」

  俺はヨーコに声を掛けた。
「お前の予測射撃はエグイからな。 この距離じゃそろそろ限界だ 」
おそらくあと数分も持たない。
「間隔をちょっと開けるぞ」
俺はヨーコを正面にして後ずさり20mくらいだった間隔を30mに拡げた。
もう弓の射撃レンジだ。
FB ファイアボールは近距離戦の攻撃手段だがヨーコなら適合させて来るだろう。
「そして俺はこれから火球にブーストを掛ける」
離れたヨーコに呼び掛ける。
「掠っても焦げるからしっかり躱せよ?」
「了解です」
「MPが尽きるまでやる。 始め!」

 早速ヨーコが撃って来る。
弾速が同じならこの距離で喰らう事はあり得ないが それはお互い様だ。
MPを消費するのが第一の目的だから二人並んで同方向へ連射してもいいのだが、
それじゃ"鍛錬"にならない。 連れションみたいになってしまう。
お互いを的にすることで若干でも ”実戦勘” を高めることが出来るのだ。
「ブースト ×5!」
俺は消費MP2のFBに10のMPを載せて放つ。
魔法スペルをブーストするのには上限がある。
魔導師ジョブクラス1で盛れるのは5倍までだ。
オ”ン!
5倍のMPを載せたFBは発射音が違った。
火球の大きさは同じくらいだが色,というか”輝き”が違う( 眩しい )。
そして弾速。
大リーグ投手のストレートからプロテニスグランドスラムのサーブくらいの速さに上がっている。
( イキナリやり過ぎたか? )
ヨーコが焦げちゃうんじゃないか、と心配したがしっかり躱していた。
体制を崩すことなくジャストリキャストで火球を放って来る。
大したもんだ。

 ブーストされた俺の火球は100mくらい飛んだ。 明らかに距離が伸びている。
   ( ヨーコには躱されたけど、コレは中距離戦闘でも使えそうだな! ) 









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