116 / 153
グリュン大森林
今後の方針
しおりを挟む森の中、樹上での動きにも大分馴染んで来た。
俺のスキルを受け継ぐヨーコも昔から ”森の住人” だったかの如き身のこなしだ。
レベル相応の強化だけではなく”ラーニング”での最適化機能も備えているからな。
彼女にスティックを持たせて俺が切り払った梢から舞い散る葉を突かせたら、
最初は二枚だけだったが、数十回目には十枚近く重ねられるようになった。
驚異的な上達速度だ。
重なった葉にスティック本体が隠れて焼き鳥の大串のように見える。
これなら実戦でも使えるだろう。( スティックは武器にカウントされないしな )
・・まあ実戦とは言っても ”アサシン” のだけど。
ちなみに俺がやったら18枚だった。 毎度ヨーコに後れをとれないしな。
( ヨーコが更に練習すれば分からんが )
「流石はマスターです」
”降着” で樹上から降り立ったヨーコが声を掛けて来る。
「初見でその数を突かれるとは」
( ヨーコは俺が練習してない事は知ってるからな )
「お前が葉を沢山落としてくれたからだよ」
AIのヨーコには何処を払えば最も多くの葉を散らせるか一目瞭然だもの。
「また御謙遜を」
・・なんかヨーコも口が上手くなったな。( 実社会で揉まれたせいか? )
「しかし,此処でずっとこんな事をしててもな~ 」
俺はスティックを収納して呟く。
おそらく、今みたいなパフォーマンスはレンダリング負荷がかなり高い筈だ。
俺達だけならいいが、何十組ものペアが何十箇所でやったらヤバいかもしれない。
「これからどうするかね」
この森にエルフや(凄い)モンスターはいないのは分かった。
これ幸いと此処でヨーコと修行(コソ練)に励むか。
さっさと抜けて次の場所を目指すか。
「ヨーコはどう思う?」
状況評価AIに御意見を伺おうじゃないか。
「此処でスキル(剣士、弓、魔法)を磨くべきか、早く他所に移るべきか」
ヨーコはすぐに答えてくれた。
「 ”安全” を優先するならこの森は適していると云えます」
考え込むような素振りも見せずに話し出す。
「モンスターやナチュラルハザードを危惧することなく鍛錬を行えます」
うん。 まあそうだろうな。
「しかし、此処には視野が確保できない という問題があります」
うん。 確かにその通りだ。
「 弓や魔法などのレンジ拡大が困難な環境であると云わざるを得ません」
だよな。
「”剣術” にしても打倒対象が不在ではポイントが入りません」
スキルレベルは上げられないって事だな。
「私を倒すことでLvアップできたら良かったのですが(できません)」
( 自分のアシを切って無限LvUPだと!? 勘弁してくれ )
「じゃあ此処にいるメリットは ”安全” だけか? 」
俺はヨーコに確認する。
「他にもう一つあります」
ヨーコが至近の大樹を手で示した。
「 ”登攀” スキルの習得には最適です。 完全習得後は移動をお勧めします 」
やっぱりそうか・・・
「…マスターはスキルの習得と強化に重きを置いていらっしゃいますよね」
唐突にヨーコが付け加えて来た。
「私見ですが、"踏破領域の拡大" も課題として重要であると思います」
「!」
( それ、”私見” どころじゃねぇだろ! )
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。
あおいろ
ファンタジー
主人公ーヒルフェは、唯一の家族である祖母を失くした。
彼女の葬式の真っ只中で、蒸発した両親の借金を取り立てに来た男に連れ去られてしまい、齢五歳で奴隷と成り果てる。
それから彼は、十年も劣悪な環境で働かされた。
だが、ある日に突然、そんな地獄から解放され、一度も会った事もなかった祖父のもとに引き取られていく。
その身には、奇妙なスキル【疲れ知らず】を宿して。
辺境の最強魔導師 ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~
日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。
アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。
その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
追い出された万能職に新しい人生が始まりました
東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」
その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。
『万能職』は冒険者の最底辺職だ。
冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。
『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。
口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。
要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。
その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
司書ですが、何か?
みつまめ つぼみ
ファンタジー
16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。
ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました! ~失われたギフト~
高見南純平
ファンタジー
最弱ヒーラーの主人公は、ついに冒険者パーティーを100回も追放されてしまう。しかし、そこで条件を満たしたことによって新スキルが覚醒!そのスキル内容は【今まで追放してきた冒険者のスキルを使えるようになる】というとんでもスキルだった!
主人公は、他人のスキルを組み合わせて超万能最強冒険者へと成り上がっていく!
~失われたギフト~
旅を始めたララクは、国境近くの村でかつての仲間と出会うことに。
そして一緒に合同クエストを行うことになるが、そこで彼らは不測の事態におちいることに!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる