デルモニア紀行

富浦伝十郎

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グリュン大森林

スカウト

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( ・・・聞いてねぇぞ )

 そんな話、俺は知らない。 デリドール以外でも聞いたこと無いんだが。 
”妖狐” なんて和風テイストのモンスター?なんて。 ( 妖怪か! )
モンスターと云うより”物の怪”の類じゃないの。
・・・それにしても。

「大体分かった。けどもちょっくら腑に落ちない事があるぜ」
刀を左手で持って右手で男達を差す。
「お前等、ハナからクリティカル取りに来たよな?」
俺はもう一回二人の頭をハタいた。
ベシャッ と顔から地面に叩き付けられる二人。
”丈夫な方”の頭を上から踏みつける。( もう一人は既に限界ギリギリみたいだ )
「・・・・!」
息が出来ずに藻掻く男。
「脚や腰を狙わなかったのは何故だ?」
頭から足を退けて問い詰める。

ゼハ―ッ ゲホゲホッ  !
頭を上げて息を吸いかけ  噎せ返る男。
その動作は弱弱しく目は虚ろだ。 焦点が合っていない。
返事を出来る状態では無さそうだ。
( まあ大方の想像はつくがな )

 ぶっちゃけて言えばその ”妖狐” とやらと男達の之までの事情はどうでもいい。
肝心なのはこの二人のハンターを如何するか、という事だろう。
既に俺の脳裏には一つの案が浮かんでいた。



「・・た 助け・・・」
地に伏せたままの男の口から漸く言葉らしきものが漏れ出す。

「甘えるな。 生きて帰れると思ってるのか」
( 俺がもしドーム送りになってたら今頃こいつ等は生きていない )

「・・・・・」
言葉に詰まる男。 ”諦め”の気配が漂って来た。 起き上がろうとしない。
俺も もう叩いたり蹴ったりはしないつもりだ。 
(これ以上は多分アウトだ )

「・・こ こいつは!」
「?」
最後の気力を振り絞るように男が何か言った。

「こいつだけは見逃してくれ。 俺が 無理やり、誘ったんだ・・」
相方を庇うような物言いをしやがる。
コンチクショウめ。 俺はそういうのに弱いんだよ!


「よ~し。 二人共、この辺りで勘弁してやろうじゃねぇか」
俺は 刀を鞘に納めると猫なで声で言った。
「 何なら”回復”もしてやるよ」
収納からポーションを取り出して男達の目の前に並べ置いた。



「・・俺の手下になればな。 なれ」








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