デルモニア紀行

富浦伝十郎

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帝都デリドール

帝都のゴブリン

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 デリドールの市街の概要は大体覚えている。
北側の1/4を帝城が占めており 東側が商工業区域、南側に住居と公共施設が多い。
そして西側が所謂   歓楽街、というか ”暗黒街” となっている。

 市街に潜入した俺はすぐに表通りから裏路地に入り、更に商店の屋根に上った。
俺はもう通りの路面から2階建ての店舗の上くらいまでは助走無しで跳び乗れる。
( 城壁自体も助走を付ければ狭間窓に取り付くぐらいは可能だったろう )

 徐々により高い建物のより高い部位へ上がりつつ大通りを右に見て西に向かう。
まだAD(PC)プレヤー(テスター)がいない為か通りは閑散としている。
( 通常はログインプレイヤーでごった返しているのだが )

 夫々の店は営業しているようだ。 馴染みの店舗キャラが呼び込みをしている。
素材屋に寄ってストックの ”毛皮” を買い取って貰おうか、という考えが浮かぶ。
おそらくは ”プレイヤー” として対応(買取り)して貰えると思うがやめておこう。
今緊急に金が要る訳ではないし、金をゲットする方法は他にもある。
敢えて危険を冒した賭けに出るよりも今はやらなければいけないことがある。

 屋根から屋根へ。 時に飛び移り、時に跳び上がりながら俺は走った。
 昔の映画で ”蜘蛛” みたいなヒーローがいたな。( 今の俺は『蛙男』か )
東の大門から大分離れ帝城(外宮)の城門が近付いて来た。
あの門の警備は厳重だ。 シュトロハイムの部下の騎士が4人で警備している。
皇女の馬が大通りを駆けて来た。

 俺は城門の向かいにある教会の鐘楼から馬が城内へ入っていくのを眺める。
( これで ”大きな問題” は起こらない、 か? )
大規模な捜索隊が派遣される可能性とかは低くなったと言えるだろう。

 この鐘楼は帝城を除けば市中では最も高い場所になる。
此処なら誰にも見られないし誰も来ない。 モンスターに襲われる心配もない。
そして鐘は明日の日の出まで鳴らない。


・・・さあ、今日の ”反省会” と行こうか。 



   ===========================
    【 名前 】    アキラ ( CN : Adam )
    【 種族 】    ゴブリン
    【レベル】    14
    【ジョブ】     アサシン
    【スキル】   ★別項参照
    【 HP 】   1514/1514
    【 MP 】     389/389
    【 装備 】     -
   ===========================


 先ずステータスを確認してみた。
”名前” が付いている。 ログインプレイでも使っていた俺の本来の名前だ。
( 人と話をするなら名前は要るよな )
でも”アダム" って何だ? アルファやブラボー フォネティックコードみたいなもんか?
( だったら次は是非 ”ベティ” にして欲しいものだなw )

 Lvは 14 になっていた。
シュトロハイムを倒して80 に上がる処を仕様を変更して上昇幅を5に抑えたんだ。
( 進藤の社長室にあった電卓で計算したらLv80でのHPは億を超えていたからな )

 抑えられたのは ”一度の戦闘当たりのLv上昇値” のみ、という事だった。
だとしたらいずれ ”あの” 領域に達してしまう訳だが ”段階を踏ませたい” ということなのだろう。  其々のLvでの状況も検討しなければいけないのだろうからな。



・・・しかしこの ”アサシン” てのは何なんだ?




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