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第一章 始まりの館
Chapter86 待望の新メニュー!
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カラッと晴れた月の日。
アルシャインは朝早くから栗の皮むきをしていた。
そこにフィナアリスとアルベルティーナもやってきて栗の皮をむく。
「これ〝栗ごはん〟?」とアルベルティーナ。
「ええ。作ったらミルコさんが喜ぶでしょう?色々と良くして頂いてるし…故郷の味でおもてなししたいじゃない?」
「美味しそうだしね!」
笑ってフィナアリスも言う。
ユスヘルディナとメルヒオールとティナジゼルがスチークスの散歩と庭の水やりをして、クリストフとマリアンナが果樹園に行き、レオリアムとリナメイシーがニワトリの世話、ルーベンスが馬の世話、ノアセルジオがミュージの世話をした。
カシアンとリュカシオンとルベルジュノーは狩りの帰りに畑の収穫だ。
朝食は栗ごはんとレシピを見て作ったジャガイモと卵の味噌スープ、ほうれん草のおひたしと穀物倉庫にあったナスで浅漬けを作って出した。
味噌スープのダシは小魚の干物から取った。
メインは赤鹿のハンバーグだ。
「うわぁ!ありがとう、アイシャマスター!」
ミルコは目に涙を浮かべながら味噌スープを飲んで、目をこすっていた。
それ程、恋しかったのだろう…。
アルシャインは微笑んでミルコを見て、みんなを見る。
みんなはどこか不思議そうに、しかし興味津々で見ていたので、アルシャインは苦笑して聞いてみる。
「みんなも飲んでみる?私は好きな味だったわ」
「飲む!」とみんなが言った。
そんなに作ってはいないので、小皿に少しずつ盛って出した。
「ん、ちょっとしょっぱいね…」とノアセルジオ。
「美味しいよ!」とクリストフ。
「面白い味だわ…」とフィナアリス。
「ジャガイモがホロホロする!あたし好きだな」とアルベルティーナ。
「うん、いいなコレ」とルベルジュノー。
様々な反応で面白かった。
「じゃあ一週間後にまた来るよ!」
そう言いミルコは荷馬車を引いて帰って行った。
するとアルシャインがジャガイモの皮むきをしているノアセルジオとルベルジュノーとレオリアムの側に行く。
「ね、市場ってあるわよね?魚の…」
「え、うん、あるね。確かそろそろ終わるんじゃなかったかな?」
ノアセルジオが言うとアルシャインはショックを受ける。
「ええっ?!もう終わるの!?」
「朝の6時頃からだけど、みんな早くに買いに来るから1時間もすると売り切れるらしいよ」
レオリアムが言うとアルシャインはその場に座り込んだ。
「そんなぁ…サンマ食べたいのに~!」
「あ、ミルコさんの言ってた…」
ノアセルジオが苦笑して言いながら、アルシャインを立たせてロッキングチェアに座らせる。
「魚は確か昼の12時頃にも運ばれるって聞いたよ」
「ホント?!」
「みんなが教会から帰ってきたら行ってみようよ」
「行く行く!ミルコさんがスダチとかいうライムの仲間を絞る仕草をしたじゃない?その様子から察するにサンマはこの位の大きさよ!」
そう言いアルシャインは手を広げて見せた。
「うん、マスターはよく見てるね。ここで編み物でもしてて」
そう言ってノアセルジオは編み物のカゴをアルシャインの膝に乗せた。
「えー…仕込みしないと…」
「それならもうナリス達がやってるよ」
ノアセルジオはジャガイモの皮むきに戻る。
キッチンではフィナアリスとアルベルティーナとマリアンナとリナメイシーとルーベンスが忙しそうにしていた。
「……大丈夫?何か手伝う?」
そう聞くと、みんなが
「大丈夫」と答える。
パスタ生地やラザーニャ生地の用意、肉や野菜の切り分けなどきちんと出来ている。
〈いつの間にかみんな上手になったわね〉
アルシャインは微笑んで見てから、レース編みをした。
皮むきを終えたルベルジュノーが黒板に
黒マンジュウ・緑マンジュウ 10G
野菜マンジュウ 10G
栗マンジュウ 20G(秋限定)
団子5個(みたらし・アンコ) 20G
グリーンティー 5G
と書いた。
「あら、栗あん作ったの分かった?」
アルシャインが聞くと、ルーベンスが笑う。
「マンジュウは今仕込みをしているから!」
「ふふ、みんなきっと好きになるわね」
アルシャインは楽しそうに笑って言う。
みんなが教会に行った後で、アルシャインは作られていたマンジュウを蒸してグリーンティーのセットやお土産を並べる。
そこに常連のレンガ職人のロレッソと鍛冶屋のエイデンと家具屋のダンヒルが連れ立って入ってくる。
「おはよう、アイシャマスター!」
「おはようございます!今日からマンジュウと団子とグリーンティーをお出ししますよ!」
そう言うと、3人は黒板のメニューを見て言う。
「全部のマンジュウを3つずつと団子を一つずつとグリーンティーをくれ!」
3人が同じ注文をした。
「はーい!」
アルシャインは笑いながら用意をする。
お土産にグリーンティーのセットが置いてあるのをダンヒルが見て言う。
「これ全部で5百かい?」
「ええ!綺麗な模様が入ってるからいいでしょう?」
「ああ、妻が喜びそうだ。帰りに貰うよ!」
「ウチもな!」とロレッソとエイデン。
その後から来たお客さんもみんなマンジュウと団子とグリーンティーを頼んでいた。
「美味い!」とエイデン。
ロレッソも言う。
「これは美味い!昨日噂になったんだよ!買いに行ったヤツが居てな、若いの何人かで食べてやがって…」
文句を言いながらロレッソは食べ終えて、今度はステーキハンバーガーとスープを頼んだ。
その後も街の人々が次々に入ってきてはマンジュウと団子とグリーンティーを注文した。
ほとんどが毎日、露店や屋台で働く人達だ。
「朝から来て平気なの?お店は?」
そう聞くと
「今日は昼から営業だよ!」
と、みんなが答えた。
朝の混雑の中で、飛ぶようにマンジュウと団子とグリーンティーが売れていく。
お土産にとマンジュウと団子を5個から10個は買っていき、アルシャインはフィナアリスと共に目まぐるしく動いていた。
アルシャインは朝早くから栗の皮むきをしていた。
そこにフィナアリスとアルベルティーナもやってきて栗の皮をむく。
「これ〝栗ごはん〟?」とアルベルティーナ。
「ええ。作ったらミルコさんが喜ぶでしょう?色々と良くして頂いてるし…故郷の味でおもてなししたいじゃない?」
「美味しそうだしね!」
笑ってフィナアリスも言う。
ユスヘルディナとメルヒオールとティナジゼルがスチークスの散歩と庭の水やりをして、クリストフとマリアンナが果樹園に行き、レオリアムとリナメイシーがニワトリの世話、ルーベンスが馬の世話、ノアセルジオがミュージの世話をした。
カシアンとリュカシオンとルベルジュノーは狩りの帰りに畑の収穫だ。
朝食は栗ごはんとレシピを見て作ったジャガイモと卵の味噌スープ、ほうれん草のおひたしと穀物倉庫にあったナスで浅漬けを作って出した。
味噌スープのダシは小魚の干物から取った。
メインは赤鹿のハンバーグだ。
「うわぁ!ありがとう、アイシャマスター!」
ミルコは目に涙を浮かべながら味噌スープを飲んで、目をこすっていた。
それ程、恋しかったのだろう…。
アルシャインは微笑んでミルコを見て、みんなを見る。
みんなはどこか不思議そうに、しかし興味津々で見ていたので、アルシャインは苦笑して聞いてみる。
「みんなも飲んでみる?私は好きな味だったわ」
「飲む!」とみんなが言った。
そんなに作ってはいないので、小皿に少しずつ盛って出した。
「ん、ちょっとしょっぱいね…」とノアセルジオ。
「美味しいよ!」とクリストフ。
「面白い味だわ…」とフィナアリス。
「ジャガイモがホロホロする!あたし好きだな」とアルベルティーナ。
「うん、いいなコレ」とルベルジュノー。
様々な反応で面白かった。
「じゃあ一週間後にまた来るよ!」
そう言いミルコは荷馬車を引いて帰って行った。
するとアルシャインがジャガイモの皮むきをしているノアセルジオとルベルジュノーとレオリアムの側に行く。
「ね、市場ってあるわよね?魚の…」
「え、うん、あるね。確かそろそろ終わるんじゃなかったかな?」
ノアセルジオが言うとアルシャインはショックを受ける。
「ええっ?!もう終わるの!?」
「朝の6時頃からだけど、みんな早くに買いに来るから1時間もすると売り切れるらしいよ」
レオリアムが言うとアルシャインはその場に座り込んだ。
「そんなぁ…サンマ食べたいのに~!」
「あ、ミルコさんの言ってた…」
ノアセルジオが苦笑して言いながら、アルシャインを立たせてロッキングチェアに座らせる。
「魚は確か昼の12時頃にも運ばれるって聞いたよ」
「ホント?!」
「みんなが教会から帰ってきたら行ってみようよ」
「行く行く!ミルコさんがスダチとかいうライムの仲間を絞る仕草をしたじゃない?その様子から察するにサンマはこの位の大きさよ!」
そう言いアルシャインは手を広げて見せた。
「うん、マスターはよく見てるね。ここで編み物でもしてて」
そう言ってノアセルジオは編み物のカゴをアルシャインの膝に乗せた。
「えー…仕込みしないと…」
「それならもうナリス達がやってるよ」
ノアセルジオはジャガイモの皮むきに戻る。
キッチンではフィナアリスとアルベルティーナとマリアンナとリナメイシーとルーベンスが忙しそうにしていた。
「……大丈夫?何か手伝う?」
そう聞くと、みんなが
「大丈夫」と答える。
パスタ生地やラザーニャ生地の用意、肉や野菜の切り分けなどきちんと出来ている。
〈いつの間にかみんな上手になったわね〉
アルシャインは微笑んで見てから、レース編みをした。
皮むきを終えたルベルジュノーが黒板に
黒マンジュウ・緑マンジュウ 10G
野菜マンジュウ 10G
栗マンジュウ 20G(秋限定)
団子5個(みたらし・アンコ) 20G
グリーンティー 5G
と書いた。
「あら、栗あん作ったの分かった?」
アルシャインが聞くと、ルーベンスが笑う。
「マンジュウは今仕込みをしているから!」
「ふふ、みんなきっと好きになるわね」
アルシャインは楽しそうに笑って言う。
みんなが教会に行った後で、アルシャインは作られていたマンジュウを蒸してグリーンティーのセットやお土産を並べる。
そこに常連のレンガ職人のロレッソと鍛冶屋のエイデンと家具屋のダンヒルが連れ立って入ってくる。
「おはよう、アイシャマスター!」
「おはようございます!今日からマンジュウと団子とグリーンティーをお出ししますよ!」
そう言うと、3人は黒板のメニューを見て言う。
「全部のマンジュウを3つずつと団子を一つずつとグリーンティーをくれ!」
3人が同じ注文をした。
「はーい!」
アルシャインは笑いながら用意をする。
お土産にグリーンティーのセットが置いてあるのをダンヒルが見て言う。
「これ全部で5百かい?」
「ええ!綺麗な模様が入ってるからいいでしょう?」
「ああ、妻が喜びそうだ。帰りに貰うよ!」
「ウチもな!」とロレッソとエイデン。
その後から来たお客さんもみんなマンジュウと団子とグリーンティーを頼んでいた。
「美味い!」とエイデン。
ロレッソも言う。
「これは美味い!昨日噂になったんだよ!買いに行ったヤツが居てな、若いの何人かで食べてやがって…」
文句を言いながらロレッソは食べ終えて、今度はステーキハンバーガーとスープを頼んだ。
その後も街の人々が次々に入ってきてはマンジュウと団子とグリーンティーを注文した。
ほとんどが毎日、露店や屋台で働く人達だ。
「朝から来て平気なの?お店は?」
そう聞くと
「今日は昼から営業だよ!」
と、みんなが答えた。
朝の混雑の中で、飛ぶようにマンジュウと団子とグリーンティーが売れていく。
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