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第一章 始まりの館
Chapter81 教会へ
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よく晴れた、気持ちいい風の吹く星の日。
いよいよバザーの日だ。
その日も朝早くに起きてアルシャインは花の手入れをしてハーブを摘む。
フィナアリスとルーベンスがミュージの世話をして、カシアンとメルヒオールとレオリアムがニワトリ小屋の世話をして、ノアセルジオが馬の世話をする。
ルベルジュノーとリュカシオンが狩りに行き、リナメイシーとマリアンナとティナジゼルとユスヘルディナがスチークスの散歩をする。
アルベルティーナとクリストフは近くの小川でミミズを使って釣りをしていた。
ルベルジュノーとリュカシオンが角ウサギと角キツネを荷車で運んで来たのを待って、荷車を綺麗にしてからみんなでバザーの品を詰めていく。
「あ、グリーンティーは手前ね!」とリナメイシー。
「石うすは奥だよ」とレオリアム。
「卵はこれで全部ー?」とティナジゼル。
みんなで荷物を運び入れて、馬車はリュカシオンが動かし、みんなで馬車の後に付いて行った。
バザー会場は街から少し離れた大きな教会だ。
敷地面積が一番広い。
馬車と共に入るとすぐに商業ギルドのスタッフである女性が駆け寄ってくる。
「おはようございます!金の羊亭の方ですよね?」
「はい!」
元気よくティナジゼルが答える。
すると女性スタッフがにっこり笑って書類を見ながら歩く。
「まずは場所に案内しますね」
そう言って、お店を出す場所に案内してくれる。
お店の場所はテーブル席から近い所で、2つ分だった。
「あれ…確か申請は一つだと…」
アルシャインが首を傾げると、女性スタッフが笑う。
「マスターグレアムが2つに訂正されてました。〝あそこなら売り物が増えるだろうから〟と」
「あはは!はい…」
アルシャインが恥ずかしそうに笑ってごまかす間に、みんなが荷物をスペース内に運び入れる。
「かまど大とオーブンと水瓶の大と水桶2つ、皿とフォークは3つ、スプーンとカップは2つですね~揃ってますか?」
女性スタッフが聞くと、みんなで確認して頷く。
「はい、あります!あの…足りなかったら貸し出しなんかありますか?」
アルシャインが聞くと、女性スタッフは笑顔で頷いた。
「調理器具の方は結構そういう事があるので、多めにありますよ!」
「かまどがもう一つ欲しいんですが…」
「ありますよ!あ、支払いはこちらですので、支払いの後に…そこの男性2人が取りに来て下さい」
そう言う女性に、アルシャインはお金の入った小型金庫を持ってカシアンとノアセルジオとリュカシオンと共に付いて行った。
かまどの大と水瓶の大と、皿とフォークとスプーンとカップを2つずつ追加で借りる。
食器を洗って使うので、足りないと思ったのだ。
支払いも済ませて、みんなで準備をした。
水は教会の裏の井戸か、近くの手押し井戸ポンプから汲んでくる。
バケツは4つ持ってきているので、ルベルジュノーとリュカシオンとノアセルジオとカシアンが往復して水瓶と水桶に汲んだ。
かまどに火を付けて、マンジュウの準備をする。
右側ではマンジュウと団子とグリーンティー、左側ではサンドイッチとボーロと紅茶を出す事にした。
「僕はマンジュウをやるよ」とルーベンス。
「あたしボーロ」とマリアンナ。
「クッキーも出したいよ」とユスヘルディナ。
「…これだけ広いし、出せるわね!良し、じゃあクッキーとキャンディ追加!」
アルシャインが言うと、みんなが喜ぶ。
そしてクリストフとアルベルティーナがキャンディを作り、メルヒオールとユスヘルディナがクッキーを作る。
右側はルーベンスとレオリアムがアンコを作り、ノアセルジオが団子を作る。
タレはアルシャインが担当した。
みんなで作ったレース編みや人形などのお土産は、2つのテーブルの真ん中に並べる。
そのテーブルの下に、小さな黒板を2つ置いた。
右側の黒板には
団子5個(みたらし・アンコ)50G
黒マンジュウ・緑マンジュウ 50G
野菜マンジュウ 50G
グリーンティー 25G
と書いた。
「5倍だから…これでいい筈ね」
アルシャインが呟きながら書く。
左側の黒板は、この日の為に新しく作った物だ。
サンドイッチ3つ(ベーコンとチーズ2つとハムとチーズ) 50G
クッキー2枚10G(プレーンとアールグレイで)
ボーロ一個10G
キャンディ10個100G
(ミルク、紅茶、コーヒー、ベリー入り、ハーブ、レモン、ジンジャーリンゴ、はちみつレモン、グリーンティー)
紅茶一杯20G
レモン・ミルク・ハチミツ各5G
そう書いて考える。
「…売れるかな…」
不安になって周りを見ると、お隣がお菓子を売っていた。
スコーン10個100G
アップルパイ1個100G
と紙に書いてテーブルに置いてあった。
〈…高いのね…そうよね……〉
どうしたものかと惑っている所にグレアムがやってくる。
「おはようございます、アイシャマスター」
「おはようございます!マスターグレアム」
笑って挨拶をすると、グレアムは黒板をじーっと見る。
「あ、あの!今日は貴族だけが来るんですか?」
アルシャインがごまかすように聞くと、グレアムがため息を吐きながら答える。
「商人や他の人も来るでしょう。…火傷や火事に気を付けて下さいね」
そう言ってグレアムは隣のスペースに行く。
アルシャインはホッとして中から看板を取り出して、黒板と黒板の間に掛けた。
昨日の夜に作った金の羊亭の焼きごてで作った看板だ。
「よーし、作るわよ~!」
アルシャインはそう言い、中に入って準備を手伝った。
いよいよバザーの日だ。
その日も朝早くに起きてアルシャインは花の手入れをしてハーブを摘む。
フィナアリスとルーベンスがミュージの世話をして、カシアンとメルヒオールとレオリアムがニワトリ小屋の世話をして、ノアセルジオが馬の世話をする。
ルベルジュノーとリュカシオンが狩りに行き、リナメイシーとマリアンナとティナジゼルとユスヘルディナがスチークスの散歩をする。
アルベルティーナとクリストフは近くの小川でミミズを使って釣りをしていた。
ルベルジュノーとリュカシオンが角ウサギと角キツネを荷車で運んで来たのを待って、荷車を綺麗にしてからみんなでバザーの品を詰めていく。
「あ、グリーンティーは手前ね!」とリナメイシー。
「石うすは奥だよ」とレオリアム。
「卵はこれで全部ー?」とティナジゼル。
みんなで荷物を運び入れて、馬車はリュカシオンが動かし、みんなで馬車の後に付いて行った。
バザー会場は街から少し離れた大きな教会だ。
敷地面積が一番広い。
馬車と共に入るとすぐに商業ギルドのスタッフである女性が駆け寄ってくる。
「おはようございます!金の羊亭の方ですよね?」
「はい!」
元気よくティナジゼルが答える。
すると女性スタッフがにっこり笑って書類を見ながら歩く。
「まずは場所に案内しますね」
そう言って、お店を出す場所に案内してくれる。
お店の場所はテーブル席から近い所で、2つ分だった。
「あれ…確か申請は一つだと…」
アルシャインが首を傾げると、女性スタッフが笑う。
「マスターグレアムが2つに訂正されてました。〝あそこなら売り物が増えるだろうから〟と」
「あはは!はい…」
アルシャインが恥ずかしそうに笑ってごまかす間に、みんなが荷物をスペース内に運び入れる。
「かまど大とオーブンと水瓶の大と水桶2つ、皿とフォークは3つ、スプーンとカップは2つですね~揃ってますか?」
女性スタッフが聞くと、みんなで確認して頷く。
「はい、あります!あの…足りなかったら貸し出しなんかありますか?」
アルシャインが聞くと、女性スタッフは笑顔で頷いた。
「調理器具の方は結構そういう事があるので、多めにありますよ!」
「かまどがもう一つ欲しいんですが…」
「ありますよ!あ、支払いはこちらですので、支払いの後に…そこの男性2人が取りに来て下さい」
そう言う女性に、アルシャインはお金の入った小型金庫を持ってカシアンとノアセルジオとリュカシオンと共に付いて行った。
かまどの大と水瓶の大と、皿とフォークとスプーンとカップを2つずつ追加で借りる。
食器を洗って使うので、足りないと思ったのだ。
支払いも済ませて、みんなで準備をした。
水は教会の裏の井戸か、近くの手押し井戸ポンプから汲んでくる。
バケツは4つ持ってきているので、ルベルジュノーとリュカシオンとノアセルジオとカシアンが往復して水瓶と水桶に汲んだ。
かまどに火を付けて、マンジュウの準備をする。
右側ではマンジュウと団子とグリーンティー、左側ではサンドイッチとボーロと紅茶を出す事にした。
「僕はマンジュウをやるよ」とルーベンス。
「あたしボーロ」とマリアンナ。
「クッキーも出したいよ」とユスヘルディナ。
「…これだけ広いし、出せるわね!良し、じゃあクッキーとキャンディ追加!」
アルシャインが言うと、みんなが喜ぶ。
そしてクリストフとアルベルティーナがキャンディを作り、メルヒオールとユスヘルディナがクッキーを作る。
右側はルーベンスとレオリアムがアンコを作り、ノアセルジオが団子を作る。
タレはアルシャインが担当した。
みんなで作ったレース編みや人形などのお土産は、2つのテーブルの真ん中に並べる。
そのテーブルの下に、小さな黒板を2つ置いた。
右側の黒板には
団子5個(みたらし・アンコ)50G
黒マンジュウ・緑マンジュウ 50G
野菜マンジュウ 50G
グリーンティー 25G
と書いた。
「5倍だから…これでいい筈ね」
アルシャインが呟きながら書く。
左側の黒板は、この日の為に新しく作った物だ。
サンドイッチ3つ(ベーコンとチーズ2つとハムとチーズ) 50G
クッキー2枚10G(プレーンとアールグレイで)
ボーロ一個10G
キャンディ10個100G
(ミルク、紅茶、コーヒー、ベリー入り、ハーブ、レモン、ジンジャーリンゴ、はちみつレモン、グリーンティー)
紅茶一杯20G
レモン・ミルク・ハチミツ各5G
そう書いて考える。
「…売れるかな…」
不安になって周りを見ると、お隣がお菓子を売っていた。
スコーン10個100G
アップルパイ1個100G
と紙に書いてテーブルに置いてあった。
〈…高いのね…そうよね……〉
どうしたものかと惑っている所にグレアムがやってくる。
「おはようございます、アイシャマスター」
「おはようございます!マスターグレアム」
笑って挨拶をすると、グレアムは黒板をじーっと見る。
「あ、あの!今日は貴族だけが来るんですか?」
アルシャインがごまかすように聞くと、グレアムがため息を吐きながら答える。
「商人や他の人も来るでしょう。…火傷や火事に気を付けて下さいね」
そう言ってグレアムは隣のスペースに行く。
アルシャインはホッとして中から看板を取り出して、黒板と黒板の間に掛けた。
昨日の夜に作った金の羊亭の焼きごてで作った看板だ。
「よーし、作るわよ~!」
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