60 / 123
第一章 始まりの館
Chapter58 噂
しおりを挟む
夕方。
忙しくなる前にエイデンがお弁当をたくさん買ってきて持って来てくれた。
「俺のおごりだ!食ってくれ」
そう言い色んな種類の惣菜を広げる。
ソーセージにサラダに漬け物、パスタや肉や魚や野菜のテリーヌなどがあった。
「あ…なるほど~!冷めても美味しい物を作ってるのね!」
アルシャインが言いながら食べる。
「ミネストローネもあるぞ」
そう言いエイデンが鍋ごと出した。
「お鍋ごと買うの?」とリナメイシー。
「違うよ、鍋を持っていって中身を買うのさ。ここでも出来るんじゃないか?」
「そんなにたくさんの事は無理~!」
ティナジゼルが言いながらスープを温める。
「みんな食べて!細長いパンとフォカッチャもあるからね!」
魚介のパスタや唐辛子のパスタやペペロンチーノなどパスタの種類が豊富だ。
「美味しいね!」とアルベルティーナ。
「このテリーヌ美味しい!」とクリストフ。
「本当に…どう作るのかしら」とフィナアリス。
「ミネストローネ美味い!」とルベルジュノー。
みんなに好評だ。
「ありがとう、エイデンさん」
「いいって。…それより、嫌がらせを受けたって?」
帰り際にエイデンが言う。
アルシャインは苦笑した。
「ええ…」
「気を付けろよ。街の噂になってる」
言いながらエイデンは外に出てアルシャインもついて行く。
「とんな噂に?」
「金の羊亭はゴキブリやネズミが出て不衛生だとか、汚い手で料理を作ってるとか、子供をこき使ってるとか悪い噂さ。俺達は見てきたから信じないが…」
「ありがとう」
「ギルドマスターにも知らせておくが、何をされるか分からんから用心しろよ」
「ええ」
答えてアルシャインは店に戻る。
「食べ終わったら手を洗ってね~」
アルシャインがそう言いキッチンに入る。
お客さんがいつもより少なかった。
宿泊客も4人だけだ。
〈もしかしたら宿屋も敵に回したかしら~?!〉
アルシャインはどうするかを考えながら料理を出した。
掃除をしながら、アルベルティーナが呟く。
「あの女の子…リボン嫌いなのかな…」
「ティーナ…」
アルシャインはアルベルティーナを抱き締める。
心を込めて作った品物を切られたのだ。
落ち込むのも無理はない。
「…ティーナのリボンは誰にも負けない程可愛いわ。きっと嫉妬してしまっただけよ…あの子にも何か事情があったのよ…許してあげましょう?」
そう言うとアルベルティーナはコクリと頷いた。
その夜、アルシャインは部屋にカシアンを呼んで2人きりで話す。
「ーーーという噂なの」
教会の噂とエイデンの街の噂を話した。
「…どうするか…」
「出どころを探らないと何も出来ないわ。レストランだけじゃなく、宿屋も…何処からかも分からないと…」
「明日は大地の日だから、客が旅に出たら休みにしないか?」
「…そうね」
その会話をドアの外でノアセルジオが聞いていた。
深夜、嫌な予感がしてノアセルジオは屋敷の外を見回る。
すると、人影が逃げていった。
「待て…!」
追い掛けようとして止まる。
アルシャインが大切にしている花が踏み荒らされていた。
「…なんて事を…!」
ノアセルジオは眉をしかめて、その場に膝をついて考える。
すると後ろからアルシャインが来てノアセルジオの肩を叩いた。
「!アイシャ…」
「やっぱり……さっき人影が窓から見えて、何かされたとは思ったけど…酷いわね」
アルシャインはしゃがんで折られたりぐちゃぐちゃにされた花を手にする。
「アイシャ…」
何か慰めの言葉を掛けようとすると、アルシャインは両手を花にかざした。
「回復!!」
パアァッと淡い光に包まれて、花が元に戻っていく。
…が、中途半端な治り方だった。
「あら、やっぱり聖水が無いと駄目ねー…明日、聖水を買って治しましょう!」
「今の…聖女の力?」
「んー…こんなモンじゃ聖女の力なんて言えないわ。さ、入りましょう…明日ね」
そう言いアルシャインは中に入る。
ノアセルジオは感心しながら中に入った。
忙しくなる前にエイデンがお弁当をたくさん買ってきて持って来てくれた。
「俺のおごりだ!食ってくれ」
そう言い色んな種類の惣菜を広げる。
ソーセージにサラダに漬け物、パスタや肉や魚や野菜のテリーヌなどがあった。
「あ…なるほど~!冷めても美味しい物を作ってるのね!」
アルシャインが言いながら食べる。
「ミネストローネもあるぞ」
そう言いエイデンが鍋ごと出した。
「お鍋ごと買うの?」とリナメイシー。
「違うよ、鍋を持っていって中身を買うのさ。ここでも出来るんじゃないか?」
「そんなにたくさんの事は無理~!」
ティナジゼルが言いながらスープを温める。
「みんな食べて!細長いパンとフォカッチャもあるからね!」
魚介のパスタや唐辛子のパスタやペペロンチーノなどパスタの種類が豊富だ。
「美味しいね!」とアルベルティーナ。
「このテリーヌ美味しい!」とクリストフ。
「本当に…どう作るのかしら」とフィナアリス。
「ミネストローネ美味い!」とルベルジュノー。
みんなに好評だ。
「ありがとう、エイデンさん」
「いいって。…それより、嫌がらせを受けたって?」
帰り際にエイデンが言う。
アルシャインは苦笑した。
「ええ…」
「気を付けろよ。街の噂になってる」
言いながらエイデンは外に出てアルシャインもついて行く。
「とんな噂に?」
「金の羊亭はゴキブリやネズミが出て不衛生だとか、汚い手で料理を作ってるとか、子供をこき使ってるとか悪い噂さ。俺達は見てきたから信じないが…」
「ありがとう」
「ギルドマスターにも知らせておくが、何をされるか分からんから用心しろよ」
「ええ」
答えてアルシャインは店に戻る。
「食べ終わったら手を洗ってね~」
アルシャインがそう言いキッチンに入る。
お客さんがいつもより少なかった。
宿泊客も4人だけだ。
〈もしかしたら宿屋も敵に回したかしら~?!〉
アルシャインはどうするかを考えながら料理を出した。
掃除をしながら、アルベルティーナが呟く。
「あの女の子…リボン嫌いなのかな…」
「ティーナ…」
アルシャインはアルベルティーナを抱き締める。
心を込めて作った品物を切られたのだ。
落ち込むのも無理はない。
「…ティーナのリボンは誰にも負けない程可愛いわ。きっと嫉妬してしまっただけよ…あの子にも何か事情があったのよ…許してあげましょう?」
そう言うとアルベルティーナはコクリと頷いた。
その夜、アルシャインは部屋にカシアンを呼んで2人きりで話す。
「ーーーという噂なの」
教会の噂とエイデンの街の噂を話した。
「…どうするか…」
「出どころを探らないと何も出来ないわ。レストランだけじゃなく、宿屋も…何処からかも分からないと…」
「明日は大地の日だから、客が旅に出たら休みにしないか?」
「…そうね」
その会話をドアの外でノアセルジオが聞いていた。
深夜、嫌な予感がしてノアセルジオは屋敷の外を見回る。
すると、人影が逃げていった。
「待て…!」
追い掛けようとして止まる。
アルシャインが大切にしている花が踏み荒らされていた。
「…なんて事を…!」
ノアセルジオは眉をしかめて、その場に膝をついて考える。
すると後ろからアルシャインが来てノアセルジオの肩を叩いた。
「!アイシャ…」
「やっぱり……さっき人影が窓から見えて、何かされたとは思ったけど…酷いわね」
アルシャインはしゃがんで折られたりぐちゃぐちゃにされた花を手にする。
「アイシャ…」
何か慰めの言葉を掛けようとすると、アルシャインは両手を花にかざした。
「回復!!」
パアァッと淡い光に包まれて、花が元に戻っていく。
…が、中途半端な治り方だった。
「あら、やっぱり聖水が無いと駄目ねー…明日、聖水を買って治しましょう!」
「今の…聖女の力?」
「んー…こんなモンじゃ聖女の力なんて言えないわ。さ、入りましょう…明日ね」
そう言いアルシャインは中に入る。
ノアセルジオは感心しながら中に入った。
31
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

もう、終わった話ですし
志位斗 茂家波
ファンタジー
一国が滅びた。
その知らせを聞いても、私には関係の無い事。
だってね、もう分っていたことなのよね‥‥‥
‥‥‥たまにやりたくなる、ありきたりな婚約破棄ざまぁ(?)もの
少々物足りないような気がするので、気が向いたらオマケ書こうかな?

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

ヒロインはあなたじゃない
三木谷夜宵
ファンタジー
公爵令嬢のリア・ハインツシュタインは、王立学園の卒業式を前に行われた舞踏会で婚約者であるエリアス殿下に、真実の愛で結ばれた男爵令嬢のルイーザを虐げたという理由で婚約破棄を言い渡される。
かつてこの学園では真実の愛で結ばれた身分違いのロマンスがあり、殿下と男爵令嬢は、自分たちもそのロマンスのように真実の愛で困難を乗り越えていけると夢を見ていた。
そんな二人の様子を見たリアは、ロマンスの真実を語るであった。
カクヨムにも公開しています。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる