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第一章 始まりの館
Chapter55 土地
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商業ギルドに来ると、ノアセルジオは宿の経営やレストランについて学ぶ。
アルシャインはその側で不動産情報をグレアムから聞いていた。
「金の羊亭の前の土地が売り出されるそうですが…幾らなんですか?」
「おや、早々に広げるんですか?」
「いえ、果樹園の隣だから畑にしたくて…駄目ですか?」
「土地をどう使うかは自由ですよ。そうですね…一月に2百Gで貸しましょう。一年借りたら、その土地はアルシャインさんの物で」
「…え?安くないですか?」
「瘴気やられでもありますからね…」
「あ…」
あの辺りの土は前に聖水で清めたから使えるのだ。
「そのー…瘴気なら、前に消しちゃって……消えてるのでちょーと使ったりなんかしてて…」
ゴニョゴニョと言うと、グレアムは笑って言う。
「またまたご冗談を…」
「いえ、あの…果樹園は聖水での浄化で確実な方法をしたので……ついでに浄化出来てると思います」
「まさか…いや、確かに…」
思い返して見れば、確かに黒かった土が茶色になっていた。
「では尚更、一月に百でいいですよ!その代わりに浄化方法を教えて下さい!」
「ええ!」
アルシャインは笑顔で浄化方法を教えた。
ギルドを出るとアルシャインは小さな地図を出して辺りを見る。
「こっちね…少し冒険者ギルドに寄っていいかしら?」
「ああ、いいよ。冒険者が言ってたポスター気になるよね」
「ええ…」
2人で笑いながら冒険者ギルドに行ってみた。
すると、ドアの隣や受付の隣にバーンとポスターがあった。
〝泊まるなら3つ星お宿の金の羊亭へ!〟
〝食事は最高!孤児院宿だからチップは弾もう!〟
などと書いてあった。
アルシャインは目をキラキラさせながら受付嬢に話し掛ける。
「あの!このポスターって誰が書かれたんですか?!」
「え、ああ…商業ギルドの方の依頼で、ここのマスターが書きました!食事もして泊まったそうですよ。色とりどりの部屋で綺麗で楽しい気分になるって評判です!」
「そんなに…!ありがとうございます!」
アルシャインは受付嬢に握手をして出てきた。
「よーし!ここにも出せるように頑張るぞー!」
「いつか出す宿とレストランと医院だね……どこか良い土地があるか見て回ろうか」
「そうね!」
そう言ってアルシャインはノアセルジオと共に街の散策をする。
土地は結構あるが、大きく取れる場所が中々無い。
「あ…先に商業ギルドに相談した方が良かったかも…そうしたら優先的に取って貰えるんじゃないかな?」
ノアセルジオの言葉に、アルシャインはパンと手を打つ。
「もう一回相談に行きましょう!」
せわしなくもう一度商業ギルドに行った。
そこで、街に金の羊亭の宿、両隣にアルベルティーナのレストランとレオリアム医院をやりたい、という夢を話した。
「…医院は早くには無理でしょうが、土地の確保は夢に繋がりますからね。分かりました。そんな土地が出たら優先的に押さえましょう」
「ありがとうございます!募金も貯金も頑張りますので、よろしくお願いします!」
アルシャインは笑って言った。
その後、少しだけ露店を見て回ると夕方になってしまった。
金の羊亭の外までお客さんで溢れていた。
「きゃー、遅くなってごめんなさい!」
すぐにアルシャインとノアセルジオがキッチンに入ってエプロンを付けて手を洗う。
「ごめんなさいアイシャママ、料理がこなせなくて…っ」
フィナアリスが泣きそうな顔で言う。
「大丈夫、すぐに出来るようになるわ!」
言いながらアルシャインはパッパと料理を手際良く作っていく。
「アイシャママすごい…」
フィナアリスは感心して見つめてから手伝った。
アルシャインが戻ってからは客もさばけるようになり、配膳もスムーズにいく。
「やっぱりまだまだね…」
フィナアリスがため息を吐きながら言う。
「やっていく内に慣れるわよ!」
アルシャインはポンとフィナアリスの背を叩いて、料理をする。
ディナーも落ち着いたので、アルシャインは久し振りにピアノを弾いた。
「さ~、今日は何がいいかな~?」
「数のお歌!」とメルヒオール。
「かーずのお歌♪数のお歌♪ひーつじさーんメエメエメエ!ヤギさーんはベエベエベエ♪何回鳴いたかな?」
「3回ずつ!」とクリストフ。
「合わせて~?」
「6回!」とティナジゼル。
「よーくー出来ました~♪子犬~がワンワンワン!子猫がニャンニャンニャー!ヒヨコがピーヨピヨ♪ほら合わせて何回だ~?」
「8回!」とクリストフ。
「はい正解~♪テンポを上げてさあ行くよ~?カエルがゲコゲコゲーコゲコ!スズムシはリーリーリーリーリーリーリー!フクロウさんはホーホーホーホホー!さあ合わせて何回だ~?」
「え、待って!ホホーって一回?2回?!」
リナメイシーが指を折って数えながら聞く。
「2回だよ~♪」
「あれ?15回?」とマリアンナ。
「あ、16!」
慌ててアルベルティーナが言う。
「はい正解~♪羊が6回鳴いたなら~ヤギが10回鳴き返す~♪フクロウ12回鳴いたなら~スズムシ8回鳴き返したよ、ほら何回だ~?」
「36回!」とルベルジュノー。
「正解~♪さあ、かーたーづーけーよ~♪」
ジャンジャン、と弾いて終わらせ、アルシャインはピアノの蓋を閉めてフキンを持つ。
みんなで片付けた後は、ローズと遊んで木彫りのフクロウをみんなで作った。
アルシャインはその側で不動産情報をグレアムから聞いていた。
「金の羊亭の前の土地が売り出されるそうですが…幾らなんですか?」
「おや、早々に広げるんですか?」
「いえ、果樹園の隣だから畑にしたくて…駄目ですか?」
「土地をどう使うかは自由ですよ。そうですね…一月に2百Gで貸しましょう。一年借りたら、その土地はアルシャインさんの物で」
「…え?安くないですか?」
「瘴気やられでもありますからね…」
「あ…」
あの辺りの土は前に聖水で清めたから使えるのだ。
「そのー…瘴気なら、前に消しちゃって……消えてるのでちょーと使ったりなんかしてて…」
ゴニョゴニョと言うと、グレアムは笑って言う。
「またまたご冗談を…」
「いえ、あの…果樹園は聖水での浄化で確実な方法をしたので……ついでに浄化出来てると思います」
「まさか…いや、確かに…」
思い返して見れば、確かに黒かった土が茶色になっていた。
「では尚更、一月に百でいいですよ!その代わりに浄化方法を教えて下さい!」
「ええ!」
アルシャインは笑顔で浄化方法を教えた。
ギルドを出るとアルシャインは小さな地図を出して辺りを見る。
「こっちね…少し冒険者ギルドに寄っていいかしら?」
「ああ、いいよ。冒険者が言ってたポスター気になるよね」
「ええ…」
2人で笑いながら冒険者ギルドに行ってみた。
すると、ドアの隣や受付の隣にバーンとポスターがあった。
〝泊まるなら3つ星お宿の金の羊亭へ!〟
〝食事は最高!孤児院宿だからチップは弾もう!〟
などと書いてあった。
アルシャインは目をキラキラさせながら受付嬢に話し掛ける。
「あの!このポスターって誰が書かれたんですか?!」
「え、ああ…商業ギルドの方の依頼で、ここのマスターが書きました!食事もして泊まったそうですよ。色とりどりの部屋で綺麗で楽しい気分になるって評判です!」
「そんなに…!ありがとうございます!」
アルシャインは受付嬢に握手をして出てきた。
「よーし!ここにも出せるように頑張るぞー!」
「いつか出す宿とレストランと医院だね……どこか良い土地があるか見て回ろうか」
「そうね!」
そう言ってアルシャインはノアセルジオと共に街の散策をする。
土地は結構あるが、大きく取れる場所が中々無い。
「あ…先に商業ギルドに相談した方が良かったかも…そうしたら優先的に取って貰えるんじゃないかな?」
ノアセルジオの言葉に、アルシャインはパンと手を打つ。
「もう一回相談に行きましょう!」
せわしなくもう一度商業ギルドに行った。
そこで、街に金の羊亭の宿、両隣にアルベルティーナのレストランとレオリアム医院をやりたい、という夢を話した。
「…医院は早くには無理でしょうが、土地の確保は夢に繋がりますからね。分かりました。そんな土地が出たら優先的に押さえましょう」
「ありがとうございます!募金も貯金も頑張りますので、よろしくお願いします!」
アルシャインは笑って言った。
その後、少しだけ露店を見て回ると夕方になってしまった。
金の羊亭の外までお客さんで溢れていた。
「きゃー、遅くなってごめんなさい!」
すぐにアルシャインとノアセルジオがキッチンに入ってエプロンを付けて手を洗う。
「ごめんなさいアイシャママ、料理がこなせなくて…っ」
フィナアリスが泣きそうな顔で言う。
「大丈夫、すぐに出来るようになるわ!」
言いながらアルシャインはパッパと料理を手際良く作っていく。
「アイシャママすごい…」
フィナアリスは感心して見つめてから手伝った。
アルシャインが戻ってからは客もさばけるようになり、配膳もスムーズにいく。
「やっぱりまだまだね…」
フィナアリスがため息を吐きながら言う。
「やっていく内に慣れるわよ!」
アルシャインはポンとフィナアリスの背を叩いて、料理をする。
ディナーも落ち着いたので、アルシャインは久し振りにピアノを弾いた。
「さ~、今日は何がいいかな~?」
「数のお歌!」とメルヒオール。
「かーずのお歌♪数のお歌♪ひーつじさーんメエメエメエ!ヤギさーんはベエベエベエ♪何回鳴いたかな?」
「3回ずつ!」とクリストフ。
「合わせて~?」
「6回!」とティナジゼル。
「よーくー出来ました~♪子犬~がワンワンワン!子猫がニャンニャンニャー!ヒヨコがピーヨピヨ♪ほら合わせて何回だ~?」
「8回!」とクリストフ。
「はい正解~♪テンポを上げてさあ行くよ~?カエルがゲコゲコゲーコゲコ!スズムシはリーリーリーリーリーリーリー!フクロウさんはホーホーホーホホー!さあ合わせて何回だ~?」
「え、待って!ホホーって一回?2回?!」
リナメイシーが指を折って数えながら聞く。
「2回だよ~♪」
「あれ?15回?」とマリアンナ。
「あ、16!」
慌ててアルベルティーナが言う。
「はい正解~♪羊が6回鳴いたなら~ヤギが10回鳴き返す~♪フクロウ12回鳴いたなら~スズムシ8回鳴き返したよ、ほら何回だ~?」
「36回!」とルベルジュノー。
「正解~♪さあ、かーたーづーけーよ~♪」
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