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第一章 始まりの館
Chapter54 改築祝い
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朝から常連さんが来てくれた。
レンガ職人のロレッソ、鍛冶屋のエイデン、家具屋のダンヒル、ミュージ売りのコルマン、綿屋のダレル、粉屋のローハンとその妻ナディア、雑貨屋のジルダ、リサイクル屋のハンク、ペンキ屋のダグラム。
「改築おめでとう!」
そう口々に言って、開店祝いの花束や植木鉢の花などを贈る。
「わああぁ~…すごく嬉しいわ!」
「ほら、お祝い」
ダンヒルがそう言ってロッキングチェアをキッチンの隣りに置いた。
「お前さんがここに座ってどっしり構えて、他のに作らせるといい」
「きゃあー!これ座ってみたかったのよー!」
そう言い早速座って揺らしてみる。
「うふふ、なんだか揺りかごみたいね!レース編みが楽しくなりそう!ありがとうダンヒルさん!」
お祝いの品で一番嬉しかったようだ。
早速みんなの朝食を作って出す。
「イスの座り心地はどうかしら?」
アルシャインが聞くと、丸いテーブル席に着いた粉屋のローハンが答える。
「とてもいいね、クッションもあって背もたれも大きいから、我が家のように落ち着けるよ!」
「それは良かったわ!」
「壁のベンチもクッションが飾られているから好きに使えてすごくいい!」
そうミュージ売りのコルマンが言う。
「外側のベンチは背もたれがあるから楽だよ!」
リサイクル屋のハンクも喜んで言う。
「ベンチも綿と皮を貼り付けたの、お尻に優しいでしょ?イスは全部、ダンヒルさんとみんなで頑張ったわよ!」
「もはやソファーだな!」
笑って綿屋のダレルが言い、みんなで笑う。
「さあ、コロコロドーナツとクッキーはいかが~?」
カシアンが売り込む。
「あ、リゾットタルトある?」とジルダ。
「バターとハチミツのパンケーキ!」とコルマン。
「コロコロドーナツ10個くれ」
ローハンも言う。
するとカシアンが配膳で忙しく回る。
ノアセルジオはトレイにリゾットタルトとパンケーキを乗せて運んだ。
「そういえば、ギルドマスターがここの前にある空き地を売り出すとか言ってたな」
ロレッソが言うと、アルシャインが身を乗り出して聞く。
「え、幾ら?!」
「そこまで聞いてないが…」
「午後に行けば分かるかしら…」
アルシャインが呟く。
「じゃあ、一緒に…」
カシアンとノアセルジオが同時に言い、バチバチと睨み合った。
「出来れば街の情報も知りたいから、ノアも一緒に来る?」
「勿論」
答えて、ノアセルジオはニッとしてカシアンを見た。
カシアンはムーッとしてアルシャインに近寄る。
「金庫番は俺なんだけどな…」
「だから守っててね。今日は聞きに行くだけだし」
「そう言ってアイシャはいつも何か買うじゃないか」
「えー…と、そうね~…。でも大金は持たないわ」
何も分からずにアルシャインが答えて、カシアンはガックリと肩を落として座った。
するとダレルがカシアンの肩をポンポンと叩いた。
「青年、まだまだチャンスはあるさ!」
「……」
落ち込みながらもカシアンは穀物倉に入る。
「?カシアンどうしたの?」
アルシャインが聞くと、フィナアリスが苦笑して言う。
「アイシャママがかまってくれないから落ち込んだのよ」
「なにバカな事言ってんのよ。あ、この平パン焼いといてね!」
アルシャインは忙しそうに動く。
みんなが帰って来て、常連さんが帰っていく。
「ランチの後でギルドに行ってくるわね」
「お土産のシール貼り替えないと」
アルベルティーナが言い、気が付いたアルシャインが盗難防止のシールを剥がして、フィナアリスが付けた。
ランチは新しいお客さんや宿泊客などが来てごった返した。
「えーと、紫ですね、こっちです!」
ルベルジュノーが一人を案内して、レオリアムが注文を取り、アルベルティーナとクリストフが席に案内する。
クリストフとティナジゼルとメルヒオールとカシアンが配膳をした。
「待って、そのステーキこっちが先!」とティナジゼル。
「コーヒーとリゾットタルト追加ー!」とメルヒオール。
その間にまたルベルジュノーが宿泊客の対応をする。
「いやぁ、ずっと工事してたから待ってたんだよ。ここの宿は最高だからね!」
旅人が言う。
確か前にも泊まった冒険者だ。
「もしかして冒険者ギルドでも有名?」
そう聞いてみるとその冒険者は笑う。
「ああ、ギルドにも金の羊亭が3ツ星だって紹介されてたよ!ポスターもあるしな!」
その冒険者は笑って部屋に入る。
「ごめんなさい、もう満室で…」
ランチの混雑の終わりと共に来た旅人に言うとガックリと肩を落とした。
その旅人は食事をたくさん食べてお土産も買って出ていった。
「じゃあ、そろそろ行きましょうかノア」
「うん」
ノアセルジオは微笑んで言い、エプロンを外す。
「それじゃあ商業ギルドに行ってくるわね!」
そう言いアルシャインはノアセルジオと共に出掛けた。
レンガ職人のロレッソ、鍛冶屋のエイデン、家具屋のダンヒル、ミュージ売りのコルマン、綿屋のダレル、粉屋のローハンとその妻ナディア、雑貨屋のジルダ、リサイクル屋のハンク、ペンキ屋のダグラム。
「改築おめでとう!」
そう口々に言って、開店祝いの花束や植木鉢の花などを贈る。
「わああぁ~…すごく嬉しいわ!」
「ほら、お祝い」
ダンヒルがそう言ってロッキングチェアをキッチンの隣りに置いた。
「お前さんがここに座ってどっしり構えて、他のに作らせるといい」
「きゃあー!これ座ってみたかったのよー!」
そう言い早速座って揺らしてみる。
「うふふ、なんだか揺りかごみたいね!レース編みが楽しくなりそう!ありがとうダンヒルさん!」
お祝いの品で一番嬉しかったようだ。
早速みんなの朝食を作って出す。
「イスの座り心地はどうかしら?」
アルシャインが聞くと、丸いテーブル席に着いた粉屋のローハンが答える。
「とてもいいね、クッションもあって背もたれも大きいから、我が家のように落ち着けるよ!」
「それは良かったわ!」
「壁のベンチもクッションが飾られているから好きに使えてすごくいい!」
そうミュージ売りのコルマンが言う。
「外側のベンチは背もたれがあるから楽だよ!」
リサイクル屋のハンクも喜んで言う。
「ベンチも綿と皮を貼り付けたの、お尻に優しいでしょ?イスは全部、ダンヒルさんとみんなで頑張ったわよ!」
「もはやソファーだな!」
笑って綿屋のダレルが言い、みんなで笑う。
「さあ、コロコロドーナツとクッキーはいかが~?」
カシアンが売り込む。
「あ、リゾットタルトある?」とジルダ。
「バターとハチミツのパンケーキ!」とコルマン。
「コロコロドーナツ10個くれ」
ローハンも言う。
するとカシアンが配膳で忙しく回る。
ノアセルジオはトレイにリゾットタルトとパンケーキを乗せて運んだ。
「そういえば、ギルドマスターがここの前にある空き地を売り出すとか言ってたな」
ロレッソが言うと、アルシャインが身を乗り出して聞く。
「え、幾ら?!」
「そこまで聞いてないが…」
「午後に行けば分かるかしら…」
アルシャインが呟く。
「じゃあ、一緒に…」
カシアンとノアセルジオが同時に言い、バチバチと睨み合った。
「出来れば街の情報も知りたいから、ノアも一緒に来る?」
「勿論」
答えて、ノアセルジオはニッとしてカシアンを見た。
カシアンはムーッとしてアルシャインに近寄る。
「金庫番は俺なんだけどな…」
「だから守っててね。今日は聞きに行くだけだし」
「そう言ってアイシャはいつも何か買うじゃないか」
「えー…と、そうね~…。でも大金は持たないわ」
何も分からずにアルシャインが答えて、カシアンはガックリと肩を落として座った。
するとダレルがカシアンの肩をポンポンと叩いた。
「青年、まだまだチャンスはあるさ!」
「……」
落ち込みながらもカシアンは穀物倉に入る。
「?カシアンどうしたの?」
アルシャインが聞くと、フィナアリスが苦笑して言う。
「アイシャママがかまってくれないから落ち込んだのよ」
「なにバカな事言ってんのよ。あ、この平パン焼いといてね!」
アルシャインは忙しそうに動く。
みんなが帰って来て、常連さんが帰っていく。
「ランチの後でギルドに行ってくるわね」
「お土産のシール貼り替えないと」
アルベルティーナが言い、気が付いたアルシャインが盗難防止のシールを剥がして、フィナアリスが付けた。
ランチは新しいお客さんや宿泊客などが来てごった返した。
「えーと、紫ですね、こっちです!」
ルベルジュノーが一人を案内して、レオリアムが注文を取り、アルベルティーナとクリストフが席に案内する。
クリストフとティナジゼルとメルヒオールとカシアンが配膳をした。
「待って、そのステーキこっちが先!」とティナジゼル。
「コーヒーとリゾットタルト追加ー!」とメルヒオール。
その間にまたルベルジュノーが宿泊客の対応をする。
「いやぁ、ずっと工事してたから待ってたんだよ。ここの宿は最高だからね!」
旅人が言う。
確か前にも泊まった冒険者だ。
「もしかして冒険者ギルドでも有名?」
そう聞いてみるとその冒険者は笑う。
「ああ、ギルドにも金の羊亭が3ツ星だって紹介されてたよ!ポスターもあるしな!」
その冒険者は笑って部屋に入る。
「ごめんなさい、もう満室で…」
ランチの混雑の終わりと共に来た旅人に言うとガックリと肩を落とした。
その旅人は食事をたくさん食べてお土産も買って出ていった。
「じゃあ、そろそろ行きましょうかノア」
「うん」
ノアセルジオは微笑んで言い、エプロンを外す。
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