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第一章 始まりの館
Chapter48 ライバル
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午後はみんなで勉強をする。
一時間勉強してから、職業を見て自分がなりたい物が何なのかを考える。
「猟師か木こり…んー…」
ルベルジュノーはどちらかでずっと考えている。
「アイシャママを支えたいけど、ずっとは居られないから…街にレストランを出したいな!アイシャママの料理で!」
そうアルベルティーナが笑って言うと、アルシャインが苦笑した。
「えー、開店資金なんて集まるかなー」
「きっと常連さんが寄付してくれるわ!今から募金箱作ろうかな…」
アルベルティーナはそれなりに本気らしい。
「開店はいいな…それのシェフになれるかな?」
ルーベンスが言う。
どうやら料理に興味を持ったらしい。
「なれるよ!シェフなら雇ってあげるわ!」
アルベルティーナが笑って言うと、ルーベンスも笑う。
「じゃあ、料理を一生懸命習うよ」
「……カシアンは何になるの?」
ふいにノアセルジオが言う。
「え?」
本を読んでいたカシアンが驚いて振り向く。
「だって、カシアンはただの騎士だろう?俺だって狩りも出来るし捌ける。ここで雇ってもらえるなら、シェフも出来るよ」
そうノアセルジオが言う。
確かに、アルシャインは雇ってくれると言っていた…それなら、カシアンは何をするのだろうかと気になる。
みんながじーっと見ると、カシアンは焦りながら言う。
「いや、俺は護衛として………来たけど…シェフになれるし、狩りとか下ごしらえとか?」
思わずカシアンはアルシャインを見た。
アルシャインまで興味津々な顔をしてこっちを見ていた。
「アイシャ?!俺をシェフとして雇うって前に言ってたじゃないか!」
「あら、あれはつい言っただけだから、なりたい物になっていいのよ?」
「なっ…だって俺は護衛騎士で…」
「カシアンはどうしたいの?」
真剣にノアセルジオが聞く。
「俺はーーー」
言い掛けた時、コロンコロンと音を立ててドアが開く。
ギルドマスターのグレアムだ。
「ライバルよ」とマリアンナ。
「強力なライバルね」とリナメイシー。
「アイシャマスター、お客さんをお連れしましたよ」
そう言うと、グレアムの後ろから旅人がぞろぞろと10人も入ってくる。
「いらっしゃいませ!えっと…部屋は別々で?」
「一緒でも構わない」
その内の一人が言う。
「2人部屋は4部屋ありますから、どうぞ」
フィナアリスが言うと、リュカシオンとルベルジュノーとレオリアムがそれぞれに鍵を手にして案内する。
すると、やはり部屋の出入口で〝あっちがいい〟〝こっちがいい〟と入れ替わりながら入る。
団体だと、色の好みで始めにバタバタと入れ替わるのが分かっていた。
後の2人は白の1号室と黒の12号室に入った。
「ごゆっくり!夕飯は早めに食べないと混雑しますから!」
アルシャインがそう言ってから、グレアムの注文したトマトハンバーガーを作る。
フィナアリスはミートパイを切ってコーヒーと一緒に出した。
「あの団体は隣国への使節でね。また帰りも寄ると思うから」
グレアムがミートパイを食べながら言う。
「使節ですか…戦争とかは起きないですよね…?」
アルシャインが聞くと、グレアムは苦笑する。
「今の所は順調ですよ。ただ、すぐ隣りの村長が金を横領していたらしく、捕まりましたがね」
「ついに捕まりましたか!もう出てきませんよね?」
「…こちらの子供達を利用した件ですよね、分かります。大丈夫です、もし出てきたら即刻我が国の方でも捕まえられるように指名手配されています」
グレアムが真顔で言う。
「良かったー!あ、他に孤児が居たら連れてきて下さいね!」
「もう増えているように見えますが?」
グレアムがクスクス笑って言い、みんなに会釈した。
「昨日、廃屋で住んでいた子を引き取ったんです。今日伺おうと思ってて…その~…」
アルシャインが語尾を濁らせながらトマトハンバーガーを出した。
「…孤児が増えたのなら、すぐに来て下さいね?」
「はい、済みません…」
アルシャインがしょんぼりとすると、ノアセルジオが庇って言う。
「マスターグレアム、昨日は2人共落ち着いてなかったんです、アイシャのせいではありません」
「責めてはいませんよ。…新しい子の名前と年は?」
グレアムが手帳を出して聞くと、みんなが頷いて2人が自己紹介する。
「あの、ユスヘルディナ、12歳…です」
「ルーベンス、12歳です」
「…痩せてますね…食事は美味しいですか?」
グレアムが食べながら聞くと、2人は笑って言う。
「すごく美味しくて!私も作れるように練習するの!」とユスヘルディナ。
「めちゃめちゃ美味しい!」とルーベンス。
「それはいいですね。私も毎日ここの料理が食べたいので羨ましいですよ」
グレアムが笑って言う。
「嬉しいわ~!」
アルシャインは本当に嬉しそうに言って、キッチンから出る。
「あ、ヴァイオリン弾いてもいいですか?」
「ええ、どうぞ」
グレアムの許可を得てから、アルシャインはミシン部屋からヴァイオリンを持って来て弾く。
〝聖なる夜に〟という聖歌だ。
みんなが歌った。
「キラキラまたたく星の灯りが降り注ぐ~、夜空にまたたく星が神の祝福となりて降り注ぐ~♪」
オウリア、オウリアと続く。
神の祝福の下で、みんなが産まれてきたのだという聖歌だ。
一時間勉強してから、職業を見て自分がなりたい物が何なのかを考える。
「猟師か木こり…んー…」
ルベルジュノーはどちらかでずっと考えている。
「アイシャママを支えたいけど、ずっとは居られないから…街にレストランを出したいな!アイシャママの料理で!」
そうアルベルティーナが笑って言うと、アルシャインが苦笑した。
「えー、開店資金なんて集まるかなー」
「きっと常連さんが寄付してくれるわ!今から募金箱作ろうかな…」
アルベルティーナはそれなりに本気らしい。
「開店はいいな…それのシェフになれるかな?」
ルーベンスが言う。
どうやら料理に興味を持ったらしい。
「なれるよ!シェフなら雇ってあげるわ!」
アルベルティーナが笑って言うと、ルーベンスも笑う。
「じゃあ、料理を一生懸命習うよ」
「……カシアンは何になるの?」
ふいにノアセルジオが言う。
「え?」
本を読んでいたカシアンが驚いて振り向く。
「だって、カシアンはただの騎士だろう?俺だって狩りも出来るし捌ける。ここで雇ってもらえるなら、シェフも出来るよ」
そうノアセルジオが言う。
確かに、アルシャインは雇ってくれると言っていた…それなら、カシアンは何をするのだろうかと気になる。
みんながじーっと見ると、カシアンは焦りながら言う。
「いや、俺は護衛として………来たけど…シェフになれるし、狩りとか下ごしらえとか?」
思わずカシアンはアルシャインを見た。
アルシャインまで興味津々な顔をしてこっちを見ていた。
「アイシャ?!俺をシェフとして雇うって前に言ってたじゃないか!」
「あら、あれはつい言っただけだから、なりたい物になっていいのよ?」
「なっ…だって俺は護衛騎士で…」
「カシアンはどうしたいの?」
真剣にノアセルジオが聞く。
「俺はーーー」
言い掛けた時、コロンコロンと音を立ててドアが開く。
ギルドマスターのグレアムだ。
「ライバルよ」とマリアンナ。
「強力なライバルね」とリナメイシー。
「アイシャマスター、お客さんをお連れしましたよ」
そう言うと、グレアムの後ろから旅人がぞろぞろと10人も入ってくる。
「いらっしゃいませ!えっと…部屋は別々で?」
「一緒でも構わない」
その内の一人が言う。
「2人部屋は4部屋ありますから、どうぞ」
フィナアリスが言うと、リュカシオンとルベルジュノーとレオリアムがそれぞれに鍵を手にして案内する。
すると、やはり部屋の出入口で〝あっちがいい〟〝こっちがいい〟と入れ替わりながら入る。
団体だと、色の好みで始めにバタバタと入れ替わるのが分かっていた。
後の2人は白の1号室と黒の12号室に入った。
「ごゆっくり!夕飯は早めに食べないと混雑しますから!」
アルシャインがそう言ってから、グレアムの注文したトマトハンバーガーを作る。
フィナアリスはミートパイを切ってコーヒーと一緒に出した。
「あの団体は隣国への使節でね。また帰りも寄ると思うから」
グレアムがミートパイを食べながら言う。
「使節ですか…戦争とかは起きないですよね…?」
アルシャインが聞くと、グレアムは苦笑する。
「今の所は順調ですよ。ただ、すぐ隣りの村長が金を横領していたらしく、捕まりましたがね」
「ついに捕まりましたか!もう出てきませんよね?」
「…こちらの子供達を利用した件ですよね、分かります。大丈夫です、もし出てきたら即刻我が国の方でも捕まえられるように指名手配されています」
グレアムが真顔で言う。
「良かったー!あ、他に孤児が居たら連れてきて下さいね!」
「もう増えているように見えますが?」
グレアムがクスクス笑って言い、みんなに会釈した。
「昨日、廃屋で住んでいた子を引き取ったんです。今日伺おうと思ってて…その~…」
アルシャインが語尾を濁らせながらトマトハンバーガーを出した。
「…孤児が増えたのなら、すぐに来て下さいね?」
「はい、済みません…」
アルシャインがしょんぼりとすると、ノアセルジオが庇って言う。
「マスターグレアム、昨日は2人共落ち着いてなかったんです、アイシャのせいではありません」
「責めてはいませんよ。…新しい子の名前と年は?」
グレアムが手帳を出して聞くと、みんなが頷いて2人が自己紹介する。
「あの、ユスヘルディナ、12歳…です」
「ルーベンス、12歳です」
「…痩せてますね…食事は美味しいですか?」
グレアムが食べながら聞くと、2人は笑って言う。
「すごく美味しくて!私も作れるように練習するの!」とユスヘルディナ。
「めちゃめちゃ美味しい!」とルーベンス。
「それはいいですね。私も毎日ここの料理が食べたいので羨ましいですよ」
グレアムが笑って言う。
「嬉しいわ~!」
アルシャインは本当に嬉しそうに言って、キッチンから出る。
「あ、ヴァイオリン弾いてもいいですか?」
「ええ、どうぞ」
グレアムの許可を得てから、アルシャインはミシン部屋からヴァイオリンを持って来て弾く。
〝聖なる夜に〟という聖歌だ。
みんなが歌った。
「キラキラまたたく星の灯りが降り注ぐ~、夜空にまたたく星が神の祝福となりて降り注ぐ~♪」
オウリア、オウリアと続く。
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