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第一章 始まりの館
Chapter47 ローズ
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月の日、曇り。
アルシャインは庭の花の手入れをして、空を見上げる。
「降ってきそうね…」
なんだかどんよりとした空模様だ。
裏のニワトリ小屋の掃除に来ると、ローズパイロット達が入ってきてエサを食べる。
以前に拾ったヒナが、住み着くようになっていた。
マリアンナやリナメイシー達が喜んでかまっているので、ニワトリ達と同じように飼っていた。
ただし、別れが辛いので名前は付けさせないでいたが…多分付いているのだろう。
「…可愛いものね…」
ローズパイロットの前でちょいちょいと指を動かすと、〝かいて〟と頭を寄せてくる。
アルシャインは微笑んでローズパイロットの頭を撫でた。
〈鳥かごかー…どんな風なのがいいのかしら…〉
こんなに懐いているのなら、飼ってもいいかなー…と思ってしまう。
アルシャインがワラの掃除をして出ると、マリアンナが言う。
「あれ?今日は卵無いの?!」
「え、あっ!」
言われて慌てて卵を取りに行った。
朝の仕込みをしながら朝食を作る。
今日は角キツネが捕れたので、そのままステーキにして出した。
パンとスープも付けて、朝食を摂る。
「やっぱり角キツネ美味いなー!」
カシアンが喜んで食べる。
「角キツネの肉は柔らかいけど小さいからな~…」とルベルジュノー。
「もっと肉質がいいの居るかな?」
レオリアムが聞くと、カシアンが首を傾げながら言う。
「そうだな…向こうの山だったら、黒アナグマのデカいのが居るからいいんだけど、遠いからな…」
「黒アナグマって美味しいの?」
アルシャインが聞くと、カシアンが笑って言う。
「そりゃ美味いよ!油が乗っててサイコーだね!こーんなデッカイのが取れると騎士団が大盛りあがりでな!」
そう言い大きく手を広げた。
「ほらほら、片付けて!そろそろ開店準備に入るわよ」
アルシャインが自分の皿を片付けて言うと、みんなが片付けを始める。
ユスヘルディナとルーベンスもそれにならって片付けた。
「おはよう!」
レンガ職人のロレッソが入ってきて言うと、みんなが
「おはよう!」
と挨拶をする。
「お、新顔が居るな!」
「ええ、昨日入ったんですよ。ユスヘルディナとルーベンス…何かあったら助けてあげて下さいね!」
明るく笑ってアルシャインが言う。
そこに常連さんが次々と入って来た。
「僕達が注文を取るから、作られた料理を運んでね!」
クリストフがルーベンスとユスヘルディナに言う。
分かる者が、分からない者に教える。
それはとてもいい事だ。
ただ見ていただけのクリストフも、いつの間にかお土産を売り込み、配膳をして注文も取れるまでに成長した。
この子達の成長も楽しみだ。
ランチ時には目の回る忙しさだった。
町からこんな郊外までみんなで食べに来る。
行列まで出来て、外のガゼボやベンチで待つ人々や外の塀に寄り掛かる人々がいる。
「ラザニアとラビオリとコトレッター!」とクリストフ。
「はいパスタとマルゲリータ!スープとステーキよ!」
フィナアリスが出来た物をカウンターに出して、ティナジゼルとクリストフとレオリアムが運んでいく。
「さあさ食べたらお土産を買っておくれ!美味しいキャンディがたったの8Gだよ!」
ルベルジュノーがそう言いながらキャンディを売り込む。
するとお守り匂い袋を入れたカゴをメルヒオールが手にして回る。
「持っていれば軽い傷が治るお守りだよー!色んな柄で綺麗だよ!」
食べ終えた皿を取ってアルベルティーナとノアセルジオがテーブルを掃除してお金を取って会計があっているかチェックをする。
そうしてランチの戦いが過ぎて落ち着いた頃に、雑貨屋のジルダが食べ終えたのでアルシャインは聞いてみる。
「ねえジルダさん、鳥かごってどんな物があるのかしら?」
そう聞くと、マリアンナを筆頭に全員が集まってきた。
「ローズ飼うの?!」とマリアンナ。
「もしかしてローズパイロットの事?」
ジルダが笑って聞くと、リナメイシーが答える。
「ニワトリ小屋の中に住んでるの!前に部屋の中に入れてたら懐いたのよ!名前は付けちゃ駄目っていうからローズって呼んでたの!」
そう言うとジルダは笑う。
「他国ではペットとして人気だからね。ローズパイロットを飼う人も増えてるよ…そうね、木のカゴと鉄のカゴがあるけど、どっちがいい?」
「壊れにくい鉄がいいけど、高いかしら?」
「200ってトコだけど……いいわ、一つなら寄付してあげる!」
「え、いいんですか?!」
「ここにローズパイロットが居たら和みそうじゃない。子供達が喜ぶ顔も見たいしね!」
そう言いジルダは立ち上がった。
「じゃあ持ってくるわ!」
ジルダが走っていくと、みんながはしゃぐ。
「やったー!鳥かごどこに置く?!」
マリアンナが言うと、リナメイシーが言う。
「裏口への出入り口か……玄関は?」
「鳥の毛は大丈夫かな?」
レオリアムが言うと、みんなが悩む。
「仲間を見られないのは可哀相だから、階段の踊り場は?窓から外を見られるし…」
フィナアリスが提案すると、みんなが賛成した。
「いい?アイシャママ!」
マリアンナが聞くと、アルシャインはにっこり笑って言う。
「ええいいわね!あそこなら仲間も来てくれるわ!」
「ニワトリ小屋から出してくる!」
そう言ってマリアンナがニワトリ小屋に行き、ローズパイロットを手から肩に乗せてやってくる。
まだお客さんも居たので、鳥が平気か聞いてからテーブルで待った。
ローズパイロットは肩で大人しくしていた。
ジルダが持って来た鳥カゴは木のハンガーに取り付けて吊るすタイプだった。
「はい、土台と鳥カゴ!置く場所はどこ?」
「こっちよ!」
リナメイシーが案内して設置が済むと、マリアンナがローズパイロットを鳥カゴの中に入れてみた。
ローズは鳥カゴの中で色んな場所を見ていた。
「この入れ物にエサと水を入れてあげてね」
そう説明して、ジルダは手を振って店を後にした。
エサは、野菜や小麦を入れておく。
ローズは早速エサを食べていた。
みんなは楽しそうにローズを囲んで見ていた。
アルシャインは庭の花の手入れをして、空を見上げる。
「降ってきそうね…」
なんだかどんよりとした空模様だ。
裏のニワトリ小屋の掃除に来ると、ローズパイロット達が入ってきてエサを食べる。
以前に拾ったヒナが、住み着くようになっていた。
マリアンナやリナメイシー達が喜んでかまっているので、ニワトリ達と同じように飼っていた。
ただし、別れが辛いので名前は付けさせないでいたが…多分付いているのだろう。
「…可愛いものね…」
ローズパイロットの前でちょいちょいと指を動かすと、〝かいて〟と頭を寄せてくる。
アルシャインは微笑んでローズパイロットの頭を撫でた。
〈鳥かごかー…どんな風なのがいいのかしら…〉
こんなに懐いているのなら、飼ってもいいかなー…と思ってしまう。
アルシャインがワラの掃除をして出ると、マリアンナが言う。
「あれ?今日は卵無いの?!」
「え、あっ!」
言われて慌てて卵を取りに行った。
朝の仕込みをしながら朝食を作る。
今日は角キツネが捕れたので、そのままステーキにして出した。
パンとスープも付けて、朝食を摂る。
「やっぱり角キツネ美味いなー!」
カシアンが喜んで食べる。
「角キツネの肉は柔らかいけど小さいからな~…」とルベルジュノー。
「もっと肉質がいいの居るかな?」
レオリアムが聞くと、カシアンが首を傾げながら言う。
「そうだな…向こうの山だったら、黒アナグマのデカいのが居るからいいんだけど、遠いからな…」
「黒アナグマって美味しいの?」
アルシャインが聞くと、カシアンが笑って言う。
「そりゃ美味いよ!油が乗っててサイコーだね!こーんなデッカイのが取れると騎士団が大盛りあがりでな!」
そう言い大きく手を広げた。
「ほらほら、片付けて!そろそろ開店準備に入るわよ」
アルシャインが自分の皿を片付けて言うと、みんなが片付けを始める。
ユスヘルディナとルーベンスもそれにならって片付けた。
「おはよう!」
レンガ職人のロレッソが入ってきて言うと、みんなが
「おはよう!」
と挨拶をする。
「お、新顔が居るな!」
「ええ、昨日入ったんですよ。ユスヘルディナとルーベンス…何かあったら助けてあげて下さいね!」
明るく笑ってアルシャインが言う。
そこに常連さんが次々と入って来た。
「僕達が注文を取るから、作られた料理を運んでね!」
クリストフがルーベンスとユスヘルディナに言う。
分かる者が、分からない者に教える。
それはとてもいい事だ。
ただ見ていただけのクリストフも、いつの間にかお土産を売り込み、配膳をして注文も取れるまでに成長した。
この子達の成長も楽しみだ。
ランチ時には目の回る忙しさだった。
町からこんな郊外までみんなで食べに来る。
行列まで出来て、外のガゼボやベンチで待つ人々や外の塀に寄り掛かる人々がいる。
「ラザニアとラビオリとコトレッター!」とクリストフ。
「はいパスタとマルゲリータ!スープとステーキよ!」
フィナアリスが出来た物をカウンターに出して、ティナジゼルとクリストフとレオリアムが運んでいく。
「さあさ食べたらお土産を買っておくれ!美味しいキャンディがたったの8Gだよ!」
ルベルジュノーがそう言いながらキャンディを売り込む。
するとお守り匂い袋を入れたカゴをメルヒオールが手にして回る。
「持っていれば軽い傷が治るお守りだよー!色んな柄で綺麗だよ!」
食べ終えた皿を取ってアルベルティーナとノアセルジオがテーブルを掃除してお金を取って会計があっているかチェックをする。
そうしてランチの戦いが過ぎて落ち着いた頃に、雑貨屋のジルダが食べ終えたのでアルシャインは聞いてみる。
「ねえジルダさん、鳥かごってどんな物があるのかしら?」
そう聞くと、マリアンナを筆頭に全員が集まってきた。
「ローズ飼うの?!」とマリアンナ。
「もしかしてローズパイロットの事?」
ジルダが笑って聞くと、リナメイシーが答える。
「ニワトリ小屋の中に住んでるの!前に部屋の中に入れてたら懐いたのよ!名前は付けちゃ駄目っていうからローズって呼んでたの!」
そう言うとジルダは笑う。
「他国ではペットとして人気だからね。ローズパイロットを飼う人も増えてるよ…そうね、木のカゴと鉄のカゴがあるけど、どっちがいい?」
「壊れにくい鉄がいいけど、高いかしら?」
「200ってトコだけど……いいわ、一つなら寄付してあげる!」
「え、いいんですか?!」
「ここにローズパイロットが居たら和みそうじゃない。子供達が喜ぶ顔も見たいしね!」
そう言いジルダは立ち上がった。
「じゃあ持ってくるわ!」
ジルダが走っていくと、みんながはしゃぐ。
「やったー!鳥かごどこに置く?!」
マリアンナが言うと、リナメイシーが言う。
「裏口への出入り口か……玄関は?」
「鳥の毛は大丈夫かな?」
レオリアムが言うと、みんなが悩む。
「仲間を見られないのは可哀相だから、階段の踊り場は?窓から外を見られるし…」
フィナアリスが提案すると、みんなが賛成した。
「いい?アイシャママ!」
マリアンナが聞くと、アルシャインはにっこり笑って言う。
「ええいいわね!あそこなら仲間も来てくれるわ!」
「ニワトリ小屋から出してくる!」
そう言ってマリアンナがニワトリ小屋に行き、ローズパイロットを手から肩に乗せてやってくる。
まだお客さんも居たので、鳥が平気か聞いてからテーブルで待った。
ローズパイロットは肩で大人しくしていた。
ジルダが持って来た鳥カゴは木のハンガーに取り付けて吊るすタイプだった。
「はい、土台と鳥カゴ!置く場所はどこ?」
「こっちよ!」
リナメイシーが案内して設置が済むと、マリアンナがローズパイロットを鳥カゴの中に入れてみた。
ローズは鳥カゴの中で色んな場所を見ていた。
「この入れ物にエサと水を入れてあげてね」
そう説明して、ジルダは手を振って店を後にした。
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