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第一章 始まりの館
Chapter41 紅茶クッキー
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翌日は晴天だった。
アルシャインは朝にフィナアリスと布団の布を作る。
2人でミシンを使いながら喋る。
「ナリスは何になりたいの?」
「…私、今のままで暮らしたいから…アイシャママみたいな人を目指すわ!」
「えー、婚期を逃すわよ?」
「構わないわ。食事を出して、宿屋も経営して……孤児を引き取るの!私みたいな人達を」
フィナアリスは微笑んで言う。
どうやら本気らしい。
「そう?じゃあ経営も知らないと…お昼とかにみんなと勉強しましょうね」
「ええ!」
フィナアリスは嬉しそうに言って、布を持って綿の保管室に行った。
アルシャインは一階に降りてキッチンで仕込みをする。
「…チョコ欲しいなー…カカオあるかな…」
5年前の令嬢生活の時には、ケーキやチョコをよく口にしていた。
食べていたのだから、カカオはあるのだろう。
「高いからやめましょう。アールグレイがあったわね…」
アルシャインは紅茶の在庫の中からアールグレイの缶を取り出してコーヒーミルで粉にする。
その粉をクッキー生地に混ぜて焼いた。
すると、みんなが香りに誘われて集まってくる。
「何、紅茶?」とノアセルジオ。
「いい香り!」とティナジゼル。
「クッキーよ、紅茶クッキー!小さい頃に食べてたのを思い出して、食べたくなっちゃって。焼き立てを一つずつ食べましょうか」
そう言ってお皿に並べて出した。
するとみんなはすぐに食べる。
「美味い!」とルベルジュノー。
「これいい!」とリナメイシー。
「んー!」と数名。
「お土産にこれも入れようよ!」
ティナジゼルが張り切って言うので、アルシャインは頷いた。
「じゃあプレーンとアールグレイのセットね。値段は…4Gね」
「やった!」
ティナジゼルとメルヒオールとクリストフが喜んでハイタッチをする。
するとクリストフが言う。
「コロコロドーナツの味は?!」
「あれはそのままがいいわよ」
アルシャインが笑って言い、朝食の支度をする。
みんなが朝食を済ませた後、宿泊客の朝食となる。
「お守りいかが~?6Gだよー」
とクリストフが聞いて回る。
するとみんなが買ってから旅立った。
ギルドマスターもお守りを買う。
「では、申請をしてからなので、また午後に来ます」
「はい。あの…ギルドマスターのお名前って…」
「あ、そういえば最初に名乗っただけでしたね。グレアム=イグナティウスです、よろしくアルシャインさん」
「アイシャでいいですよ、マスターグレアム」
「…では」
そう言い、肩より少し長めの髪をなびかせて歩いていった。
「どうなるかな」
カシアンが隣りに来る。
「…国からお金を貰ったら何に使おう………あ!みんな、何かしたい事とか欲しい物とか無い?!」
急にアルシャインがそう聞いて回る。
「ないよ」とクリストフ。
みんながうんうんと頷いて散ってしまう。
「ああ待って!」
手を伸ばしてもみんなは戻ってこなかった。
「諦めて仕入れに使いなよ」
カシアンもそう言って追加分のベッドを作りに行く。
追加のベッドをカシアンとリュカシオンとノアセルジオとルベルジュノーとレオリアムとマリアンナで作っていた。
「カシアンはアイシャが昔何してたか知ってるの?」
ノアセルジオが聞くと、カシアンは唸ってから言う。
「…一応、お嬢様だよ。隣国の貴族の」
「ええ?!」
「でも13から5年間は聖女をしてて、神聖力が枯渇して国外追放になったんだ」
「え、なにそれ?!」
みんなが驚いてカシアンを見る。
「聖女さまだったらしいよ。地獄だったらしいけど。自分でこの館に来た時に叫んでたから。だから自由に生きると決めてるらしい…」
カシアンが苦笑して言う。
みんなは複雑な表情だった。
こんなにも優しいアルシャインに、隣国は酷い扱いをしたというのが許せなかったのだ。
そして、家族がいるのに離れて暮らすアルシャインが可哀相に思えた。
アルシャインは朝にフィナアリスと布団の布を作る。
2人でミシンを使いながら喋る。
「ナリスは何になりたいの?」
「…私、今のままで暮らしたいから…アイシャママみたいな人を目指すわ!」
「えー、婚期を逃すわよ?」
「構わないわ。食事を出して、宿屋も経営して……孤児を引き取るの!私みたいな人達を」
フィナアリスは微笑んで言う。
どうやら本気らしい。
「そう?じゃあ経営も知らないと…お昼とかにみんなと勉強しましょうね」
「ええ!」
フィナアリスは嬉しそうに言って、布を持って綿の保管室に行った。
アルシャインは一階に降りてキッチンで仕込みをする。
「…チョコ欲しいなー…カカオあるかな…」
5年前の令嬢生活の時には、ケーキやチョコをよく口にしていた。
食べていたのだから、カカオはあるのだろう。
「高いからやめましょう。アールグレイがあったわね…」
アルシャインは紅茶の在庫の中からアールグレイの缶を取り出してコーヒーミルで粉にする。
その粉をクッキー生地に混ぜて焼いた。
すると、みんなが香りに誘われて集まってくる。
「何、紅茶?」とノアセルジオ。
「いい香り!」とティナジゼル。
「クッキーよ、紅茶クッキー!小さい頃に食べてたのを思い出して、食べたくなっちゃって。焼き立てを一つずつ食べましょうか」
そう言ってお皿に並べて出した。
するとみんなはすぐに食べる。
「美味い!」とルベルジュノー。
「これいい!」とリナメイシー。
「んー!」と数名。
「お土産にこれも入れようよ!」
ティナジゼルが張り切って言うので、アルシャインは頷いた。
「じゃあプレーンとアールグレイのセットね。値段は…4Gね」
「やった!」
ティナジゼルとメルヒオールとクリストフが喜んでハイタッチをする。
するとクリストフが言う。
「コロコロドーナツの味は?!」
「あれはそのままがいいわよ」
アルシャインが笑って言い、朝食の支度をする。
みんなが朝食を済ませた後、宿泊客の朝食となる。
「お守りいかが~?6Gだよー」
とクリストフが聞いて回る。
するとみんなが買ってから旅立った。
ギルドマスターもお守りを買う。
「では、申請をしてからなので、また午後に来ます」
「はい。あの…ギルドマスターのお名前って…」
「あ、そういえば最初に名乗っただけでしたね。グレアム=イグナティウスです、よろしくアルシャインさん」
「アイシャでいいですよ、マスターグレアム」
「…では」
そう言い、肩より少し長めの髪をなびかせて歩いていった。
「どうなるかな」
カシアンが隣りに来る。
「…国からお金を貰ったら何に使おう………あ!みんな、何かしたい事とか欲しい物とか無い?!」
急にアルシャインがそう聞いて回る。
「ないよ」とクリストフ。
みんながうんうんと頷いて散ってしまう。
「ああ待って!」
手を伸ばしてもみんなは戻ってこなかった。
「諦めて仕入れに使いなよ」
カシアンもそう言って追加分のベッドを作りに行く。
追加のベッドをカシアンとリュカシオンとノアセルジオとルベルジュノーとレオリアムとマリアンナで作っていた。
「カシアンはアイシャが昔何してたか知ってるの?」
ノアセルジオが聞くと、カシアンは唸ってから言う。
「…一応、お嬢様だよ。隣国の貴族の」
「ええ?!」
「でも13から5年間は聖女をしてて、神聖力が枯渇して国外追放になったんだ」
「え、なにそれ?!」
みんなが驚いてカシアンを見る。
「聖女さまだったらしいよ。地獄だったらしいけど。自分でこの館に来た時に叫んでたから。だから自由に生きると決めてるらしい…」
カシアンが苦笑して言う。
みんなは複雑な表情だった。
こんなにも優しいアルシャインに、隣国は酷い扱いをしたというのが許せなかったのだ。
そして、家族がいるのに離れて暮らすアルシャインが可哀相に思えた。
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