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第一章 始まりの館
Chapter32 久し振りの宿泊客
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翌日は雨だった。
アルシャインは肉やラザーニャなどのパスタ類の仕込みをしてから、宿の2部屋を飾り付けて換気をする。
白い部屋と水色の部屋の完成だ。
壁や床の汚れも綺麗に拭いたので以前とは違う部屋に見える。
3つ目のクリーム色の部屋は今小物を飾っている最中だ。
4つ目の部屋に、紫と白のペンキを置いた。
「ここは薄藤色よね!」
そう言って5つ目の部屋に入る。
もう家具は磨かれて掃除もされていた。
「こっち側は淡い色だから~…エメラルド?もっと薄い黄緑が布団の生地にあったわね!」
そう言い緑と白のペンキを持ってきた。
「布団も用意したいな…」
一人で歩き回っていると、白い布団をカシアンが運び入れ、ノアセルジオが水色の布団を運び入れていた。
「あ、ありがとう!」
「もう仕上がってるんだよね?」
ノアセルジオが聞くとアルシャインが頷く。
「ええ」
答えるとクリーム色の布団も運ばれていくのが見えた。
ペンキの色で部屋の判断をしたルベルジュノーがウィステリア色と黄緑色の布を綿保管室に持っていく。
「あ、ジュドー!エメラルドの薄い色なの!アイスグリーン!」
「なんだよ、紛らわしいな」
笑ってルベルジュノーがペンキもエメラルドに替えて、布を運ぶ。
「6つ目は?」
リュカシオンが聞いてくる。
「そうね…淡いピンクかな!」
「淡い…それはティーナとかの部屋にした方がいいんじゃないかな?」
「そっか…じゃあ、んー…」
言いながらアルシャインは6つ目の部屋に入る。
「ここは…」
「リラってどうかな?ピンクよりも薄い赤紫の色」とルベルジュノー。
「いいわね!赤紫のペンキあったかな…」
「赤と紫と白で作れるよ。リラってメモとペンキ置いとけば分かるさ。みんな色の本見てるから」
そう言ってルベルジュノーはペンキを運ぶ。
朝食の後で、料理の合間にアルシャインも色の本を見ていた。
「…あと6部屋だから…黒と紫とインディゴブルーとビリジアングリーンと……このテールグリーンいいな…あと赤茶色…」
「アイシャママ、カウンターの方で見てていいわよ。あとは焼くのと煮るのだけだから」
フィナアリスが言いアルベルティーナとマリアンナが頷く。
「ありがとう」
そう言いカウンター席で見てから、持ってきていた布団の生地の切れ端を合わせる。
「んー、やっぱり買ってないわ…」
「ビリジアンならミントグリーンで、インディゴに合わせる布団ならそのヒヤシンスでも合うよ。あと黒の部屋ならムーングレイの掛け布団とか合うんじゃないかな?」
カウンターで朝食を食べていた布屋のカイルが言う。
「そう?赤茶色には赤じゃ駄目でしょ?」
「キツイな。その赤紫色か茶色は?」
「あ、これね!…ん~…じゃあココアブラウンね!ありがとうカイル!」
「いえいえ」
カイルは笑って答えてコーヒーを飲み、クッキーをつまむ。
アルシャインは色を書いたメモを各部屋に置いてきた。
「紫はこのラベンダーね?」
またカイルに聞くと、カイルは頷く。
「色分けしてる宿なんて聞いた事もないけどな!」
笑って言うと、アルシャインも笑って言う。
「楽しくていいじゃない!好きな色に泊まれたら素敵でしょ?」
「確かに!」
笑ってカイルが言うと、旅人が聞いてきた。
「あの、ここは宿もあるんですか?」
「あ…今は建替え中でうるさいんですけど、一応使える部屋が2つありますよ」
アルシャインが答えると、さっきまで俯いて暗かった旅人の表情が明るくなる。
「本当ですか?!泊まりたいです!ジョージさんから聞いて来たらやってなくて、落ち込んでいたんです!」
「まあジョージさんから?!」
アルシャインは驚いて立ち上がる。
ジョージさんは最初のお客さんだ…こんな風に広めてくれるなんて驚きだ。
「あの、まだ白か水色の部屋しか無くて…」
「見せてもらえますか?」
旅人はワクワクした様子で言う。
アルシャインは頷いて案内した。
白で清潔な感じも良かったが、明るい水色の部屋が気に入って旅人はそこに泊まった。
「先に支払っておきます」
そう言い旅人は30Gを払う。
「え、あの」
「あの部屋の価値はこのくらいですよ」
そう言い旅人は早速荷物を置いて、部屋に入った。
そしてまた出てきてコーヒーとコロコロドーナツ10個を頼んで部屋に行った。
「ここのお菓子も美味しいから嬉しいですね!」
旅人が笑って言うと、みんなが嬉しそうに笑う。
ルベルジュノーが黒板に書いてある宿泊を30Gと書き換えた。
家具作りは家具屋のダンヒルの指導も入り、順調に行われていた。
ペンキの方は、ペンキ屋のダグラムが教えてくれた。
「みんな、一息ついてね」
アルシャインがトレイに紅茶とレモンを入れた木のカップをたくさん乗せてやってくる。
「ん、レモン美味しい!」とリュカシオン。
「疲れを取るのにいいのよ。あとハチミツもどうぞ。ミルクもあるわよ」
そう言うと、ダンヒルが飲みながら言う。
「店の紅茶も、そうしたらどうだい?」
「…レモンとハチミツとミルク?でも普通はそのままか砂糖だし…」
アルシャインが迷っていると、早速カウンターでレモンを提供し始めていた。
「紅茶にレモンかミルクかハチミツはいかが~?」
ティナジゼルが言うと、それぞれに注文する。
「アイシャママー、これ1Gでいいわよね?」
アルベルティーナが聞くので
「え、ええ」
と答えると値段が決まった。
紅茶一杯4Gの下に、
レモン・ミルク・ハチミツ各1G
と黒板に書き足される。
「また新メニューだな!」
笑ってダンヒルが言った。
アルシャインは肉やラザーニャなどのパスタ類の仕込みをしてから、宿の2部屋を飾り付けて換気をする。
白い部屋と水色の部屋の完成だ。
壁や床の汚れも綺麗に拭いたので以前とは違う部屋に見える。
3つ目のクリーム色の部屋は今小物を飾っている最中だ。
4つ目の部屋に、紫と白のペンキを置いた。
「ここは薄藤色よね!」
そう言って5つ目の部屋に入る。
もう家具は磨かれて掃除もされていた。
「こっち側は淡い色だから~…エメラルド?もっと薄い黄緑が布団の生地にあったわね!」
そう言い緑と白のペンキを持ってきた。
「布団も用意したいな…」
一人で歩き回っていると、白い布団をカシアンが運び入れ、ノアセルジオが水色の布団を運び入れていた。
「あ、ありがとう!」
「もう仕上がってるんだよね?」
ノアセルジオが聞くとアルシャインが頷く。
「ええ」
答えるとクリーム色の布団も運ばれていくのが見えた。
ペンキの色で部屋の判断をしたルベルジュノーがウィステリア色と黄緑色の布を綿保管室に持っていく。
「あ、ジュドー!エメラルドの薄い色なの!アイスグリーン!」
「なんだよ、紛らわしいな」
笑ってルベルジュノーがペンキもエメラルドに替えて、布を運ぶ。
「6つ目は?」
リュカシオンが聞いてくる。
「そうね…淡いピンクかな!」
「淡い…それはティーナとかの部屋にした方がいいんじゃないかな?」
「そっか…じゃあ、んー…」
言いながらアルシャインは6つ目の部屋に入る。
「ここは…」
「リラってどうかな?ピンクよりも薄い赤紫の色」とルベルジュノー。
「いいわね!赤紫のペンキあったかな…」
「赤と紫と白で作れるよ。リラってメモとペンキ置いとけば分かるさ。みんな色の本見てるから」
そう言ってルベルジュノーはペンキを運ぶ。
朝食の後で、料理の合間にアルシャインも色の本を見ていた。
「…あと6部屋だから…黒と紫とインディゴブルーとビリジアングリーンと……このテールグリーンいいな…あと赤茶色…」
「アイシャママ、カウンターの方で見てていいわよ。あとは焼くのと煮るのだけだから」
フィナアリスが言いアルベルティーナとマリアンナが頷く。
「ありがとう」
そう言いカウンター席で見てから、持ってきていた布団の生地の切れ端を合わせる。
「んー、やっぱり買ってないわ…」
「ビリジアンならミントグリーンで、インディゴに合わせる布団ならそのヒヤシンスでも合うよ。あと黒の部屋ならムーングレイの掛け布団とか合うんじゃないかな?」
カウンターで朝食を食べていた布屋のカイルが言う。
「そう?赤茶色には赤じゃ駄目でしょ?」
「キツイな。その赤紫色か茶色は?」
「あ、これね!…ん~…じゃあココアブラウンね!ありがとうカイル!」
「いえいえ」
カイルは笑って答えてコーヒーを飲み、クッキーをつまむ。
アルシャインは色を書いたメモを各部屋に置いてきた。
「紫はこのラベンダーね?」
またカイルに聞くと、カイルは頷く。
「色分けしてる宿なんて聞いた事もないけどな!」
笑って言うと、アルシャインも笑って言う。
「楽しくていいじゃない!好きな色に泊まれたら素敵でしょ?」
「確かに!」
笑ってカイルが言うと、旅人が聞いてきた。
「あの、ここは宿もあるんですか?」
「あ…今は建替え中でうるさいんですけど、一応使える部屋が2つありますよ」
アルシャインが答えると、さっきまで俯いて暗かった旅人の表情が明るくなる。
「本当ですか?!泊まりたいです!ジョージさんから聞いて来たらやってなくて、落ち込んでいたんです!」
「まあジョージさんから?!」
アルシャインは驚いて立ち上がる。
ジョージさんは最初のお客さんだ…こんな風に広めてくれるなんて驚きだ。
「あの、まだ白か水色の部屋しか無くて…」
「見せてもらえますか?」
旅人はワクワクした様子で言う。
アルシャインは頷いて案内した。
白で清潔な感じも良かったが、明るい水色の部屋が気に入って旅人はそこに泊まった。
「先に支払っておきます」
そう言い旅人は30Gを払う。
「え、あの」
「あの部屋の価値はこのくらいですよ」
そう言い旅人は早速荷物を置いて、部屋に入った。
そしてまた出てきてコーヒーとコロコロドーナツ10個を頼んで部屋に行った。
「ここのお菓子も美味しいから嬉しいですね!」
旅人が笑って言うと、みんなが嬉しそうに笑う。
ルベルジュノーが黒板に書いてある宿泊を30Gと書き換えた。
家具作りは家具屋のダンヒルの指導も入り、順調に行われていた。
ペンキの方は、ペンキ屋のダグラムが教えてくれた。
「みんな、一息ついてね」
アルシャインがトレイに紅茶とレモンを入れた木のカップをたくさん乗せてやってくる。
「ん、レモン美味しい!」とリュカシオン。
「疲れを取るのにいいのよ。あとハチミツもどうぞ。ミルクもあるわよ」
そう言うと、ダンヒルが飲みながら言う。
「店の紅茶も、そうしたらどうだい?」
「…レモンとハチミツとミルク?でも普通はそのままか砂糖だし…」
アルシャインが迷っていると、早速カウンターでレモンを提供し始めていた。
「紅茶にレモンかミルクかハチミツはいかが~?」
ティナジゼルが言うと、それぞれに注文する。
「アイシャママー、これ1Gでいいわよね?」
アルベルティーナが聞くので
「え、ええ」
と答えると値段が決まった。
紅茶一杯4Gの下に、
レモン・ミルク・ハチミツ各1G
と黒板に書き足される。
「また新メニューだな!」
笑ってダンヒルが言った。
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