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第一章 始まりの館
Chapter28 色
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午後は雑草取りとミュージの庭の散歩をしてから、家具作りと布団作りをした。
小物の担当はリュカシオンとクリストフとレオリアム。
フィナアリスやリナメイシー、マリアンナとアルベルティーナのレース編みの腕も上がり、窓辺や棚に値札を付けて飾った。
まだ初心者なのでコースターは50G、ドリームキャッチャーは百G。
つたない作品だが味はある仕上がりだ。
アルシャインは廊下の掃除をしながら、各部屋を何色にするかを考えていた。
ふとその一室で本を読むルベルジュノーを見つける。
真面目な顔で本を読んでいる。
声が掛けづらくて見ていると、カシアンの声が聞こえる。
「おいジュドー!そろそろ作るぞー」
「はいよ!」
答えてルベルジュノーが部屋から出て行くので、アルシャインは何故か隠れた。
ルベルジュノーが別の部屋に入ってからそっとその部屋に入って置いた本を見る。
〝木材で作れる物〟
色々な家具や小物、建物も紹介されている本だ。
〈ジュドーは研究熱心なのね〉
アルシャインは微笑んで本はそのままにしておいて、掃除を続行した。
初めてアルベルティーナが作ったコースターとフィナアリスが作ったコースターが売れた。
「ありがとうございます!!」
2人は嬉しそうにお客さんに言う。
アルシャインがそのまま50Gを2人に渡すと、そのまま返してきた。
「布屋のアデレードさんがね、自分の作品が売れたら6割は置いてあるお店の物だって教えてくれたの。だから4割なの!」
笑ってアルベルティーナが言い、フィナアリスが頷く。
「…そう?じゃあ問題よ。4割は幾らかな?」
「…えっと…50を10として、4割は4だから…40!…あれ?多くない?」
とアルベルティーナが惑うとアルシャインが微笑む。
するとフィナアリスが答える。
「20Gだわ」
「正解よ!ナリスは頭がいいのね!」
「教会で習ってて…親方にも褒められたわ」
「そう……」
アルシャインは2人に20Gを渡してから聞く。
「その親方って…普段はどこに居るの?」
「…どこかのお屋敷に居るって言ってたわ」
「もしかして、隣国の近くのお屋敷…?」
「ええ」
「そう…。あ、いらっしゃいませ~!」
お客さんが来たので話しが終わる。
しかし、今の話だけでも隣国のあの村長の屋敷だろうと分かった。
〈…子供達を食い物にして許せないわ………何か出来ないかしら?〉
そう考えていると、カウンター席に座るロレッソが言う。
「アイシャマスター、やめときな」
「え?」
「そいつに何かしようってんだろ?そんな顔して料理作ったら不味くなっちまうぞ」
「あ…ええ、ごめんなさい…」
「謝らなくていいが…何もしなくたって、そいつは自滅するさ」
「どうして?」
そうクリストフが聞くと、ロレッソの隣りのエイデンが笑って答える。
「こうして子供達を守る最強のママが居るんだから、そいつはすぐに商売が出来なくなるさ!」
「そっか!」
ティナジゼルも笑って言い、お水を運んだ。
「そうね…」
アルシャインも笑ってマルゲリータを焼きながら思う。
〈…そうだといいけれど〉
問題は、その村長ではなく〝親方〟が街に出入りしているという事だ。
ここは離れているから大丈夫だとは思うが、他にも子供達が飢えて悲しみ、苦しんでいると思うと胸が痛む。
〈後で他にも子供達が居るのか聞いてみましょう〉
そう思い、気持ちを切り替えて料理をした。
夕方に手が空いたので、アルシャインはピアノを弾いて言葉遊びをする。
「お空は真っ青いい天気!雲がモクモク集まると、雨の雲は灰色で~雨の色は何色だろう?」
「水色!」とメルヒオール。
「水色の雨は川になって流れたよ~やあ、晴れてきた♪虹の色は何色かな?!」
そう言い振り向くと、みんなが虹を思い出しながら言う。
「赤と黄色!」とリナメイシー。
「青があったよ!」とクリストフ。
「えっと…確かね、ピンク!」とティナジゼル。
「虹は6色、6つの色だよ~♪」
アルシャインは歌ってからリズムよく音を鳴らして答えを待つ。
別に正解を求めているのではなく、〝6つの色〟が出るまで待っているのだ。
「えっと…水色?」
コーヒーを飲んでいたノアセルジオが答える。
「いやいや、紫だろ!」
同じくコーヒーを飲んでいたカシアンまで答える。
「じゃあ緑とオレンジだよ!」
笑ってリュカシオンが答えた。
「赤、黄色、あーお、ピンクに水色♪紫、緑とオーレンジ!」
そうアルシャインが歌うと、指を折って数えていたメルヒオールが眉を寄せる。
「2つ多いよ!」
「きっと多い、だけど素敵な虹の色♪オーレン山にもいつか届くよ綺麗だね♪」
そこでお客さんが増えてきたので、言葉遊びは終わりになった。
夜にはレオリアムが本で虹の色を調べてみんなに教える。
「大体、赤、橙、黄、緑、青、紫だって。国に寄っては藍色があったり、4つになったりするって」
「へぇー…」
みんなが感心してその本を見る。
確かに7色に見えなくもない塗り方で描かれていた。
小雨だったから、みんなで雨の色も観察してみた。
「水色じゃないね…」とティナジゼル。
「お水は透明ね」とマリアンナ。
「そうね、じゃあこれは何色?」
アルシャインが白いお皿を出して言う。
厳密に言うと象牙色の皿だ。
「白だよ」とリュカシオン。
「クリームだよ」とメルヒオール。
「白っぽいクリーム?」とリナメイシー。
するとルベルジュノーが笑って言う。
「それはアイボリーだよ。象とかの牙の色!」
「すごいわ、よく知ってるのね」
アルシャインが言うとルベルジュノーは照れる。
「そんなの、本に載ってたから…」
「じゃあこれは?」
とアルベルティーナが木のカップを手にして言うと、ルベルジュノーは悩む。
「ウォルナット…いやアンバー…キャメルかな…微妙だな」
どうやらルベルジュノーは色に興味があるようだ。
結局カップの色はみんなで本を見ながら、ウォルナットで落ち着いた。
小物の担当はリュカシオンとクリストフとレオリアム。
フィナアリスやリナメイシー、マリアンナとアルベルティーナのレース編みの腕も上がり、窓辺や棚に値札を付けて飾った。
まだ初心者なのでコースターは50G、ドリームキャッチャーは百G。
つたない作品だが味はある仕上がりだ。
アルシャインは廊下の掃除をしながら、各部屋を何色にするかを考えていた。
ふとその一室で本を読むルベルジュノーを見つける。
真面目な顔で本を読んでいる。
声が掛けづらくて見ていると、カシアンの声が聞こえる。
「おいジュドー!そろそろ作るぞー」
「はいよ!」
答えてルベルジュノーが部屋から出て行くので、アルシャインは何故か隠れた。
ルベルジュノーが別の部屋に入ってからそっとその部屋に入って置いた本を見る。
〝木材で作れる物〟
色々な家具や小物、建物も紹介されている本だ。
〈ジュドーは研究熱心なのね〉
アルシャインは微笑んで本はそのままにしておいて、掃除を続行した。
初めてアルベルティーナが作ったコースターとフィナアリスが作ったコースターが売れた。
「ありがとうございます!!」
2人は嬉しそうにお客さんに言う。
アルシャインがそのまま50Gを2人に渡すと、そのまま返してきた。
「布屋のアデレードさんがね、自分の作品が売れたら6割は置いてあるお店の物だって教えてくれたの。だから4割なの!」
笑ってアルベルティーナが言い、フィナアリスが頷く。
「…そう?じゃあ問題よ。4割は幾らかな?」
「…えっと…50を10として、4割は4だから…40!…あれ?多くない?」
とアルベルティーナが惑うとアルシャインが微笑む。
するとフィナアリスが答える。
「20Gだわ」
「正解よ!ナリスは頭がいいのね!」
「教会で習ってて…親方にも褒められたわ」
「そう……」
アルシャインは2人に20Gを渡してから聞く。
「その親方って…普段はどこに居るの?」
「…どこかのお屋敷に居るって言ってたわ」
「もしかして、隣国の近くのお屋敷…?」
「ええ」
「そう…。あ、いらっしゃいませ~!」
お客さんが来たので話しが終わる。
しかし、今の話だけでも隣国のあの村長の屋敷だろうと分かった。
〈…子供達を食い物にして許せないわ………何か出来ないかしら?〉
そう考えていると、カウンター席に座るロレッソが言う。
「アイシャマスター、やめときな」
「え?」
「そいつに何かしようってんだろ?そんな顔して料理作ったら不味くなっちまうぞ」
「あ…ええ、ごめんなさい…」
「謝らなくていいが…何もしなくたって、そいつは自滅するさ」
「どうして?」
そうクリストフが聞くと、ロレッソの隣りのエイデンが笑って答える。
「こうして子供達を守る最強のママが居るんだから、そいつはすぐに商売が出来なくなるさ!」
「そっか!」
ティナジゼルも笑って言い、お水を運んだ。
「そうね…」
アルシャインも笑ってマルゲリータを焼きながら思う。
〈…そうだといいけれど〉
問題は、その村長ではなく〝親方〟が街に出入りしているという事だ。
ここは離れているから大丈夫だとは思うが、他にも子供達が飢えて悲しみ、苦しんでいると思うと胸が痛む。
〈後で他にも子供達が居るのか聞いてみましょう〉
そう思い、気持ちを切り替えて料理をした。
夕方に手が空いたので、アルシャインはピアノを弾いて言葉遊びをする。
「お空は真っ青いい天気!雲がモクモク集まると、雨の雲は灰色で~雨の色は何色だろう?」
「水色!」とメルヒオール。
「水色の雨は川になって流れたよ~やあ、晴れてきた♪虹の色は何色かな?!」
そう言い振り向くと、みんなが虹を思い出しながら言う。
「赤と黄色!」とリナメイシー。
「青があったよ!」とクリストフ。
「えっと…確かね、ピンク!」とティナジゼル。
「虹は6色、6つの色だよ~♪」
アルシャインは歌ってからリズムよく音を鳴らして答えを待つ。
別に正解を求めているのではなく、〝6つの色〟が出るまで待っているのだ。
「えっと…水色?」
コーヒーを飲んでいたノアセルジオが答える。
「いやいや、紫だろ!」
同じくコーヒーを飲んでいたカシアンまで答える。
「じゃあ緑とオレンジだよ!」
笑ってリュカシオンが答えた。
「赤、黄色、あーお、ピンクに水色♪紫、緑とオーレンジ!」
そうアルシャインが歌うと、指を折って数えていたメルヒオールが眉を寄せる。
「2つ多いよ!」
「きっと多い、だけど素敵な虹の色♪オーレン山にもいつか届くよ綺麗だね♪」
そこでお客さんが増えてきたので、言葉遊びは終わりになった。
夜にはレオリアムが本で虹の色を調べてみんなに教える。
「大体、赤、橙、黄、緑、青、紫だって。国に寄っては藍色があったり、4つになったりするって」
「へぇー…」
みんなが感心してその本を見る。
確かに7色に見えなくもない塗り方で描かれていた。
小雨だったから、みんなで雨の色も観察してみた。
「水色じゃないね…」とティナジゼル。
「お水は透明ね」とマリアンナ。
「そうね、じゃあこれは何色?」
アルシャインが白いお皿を出して言う。
厳密に言うと象牙色の皿だ。
「白だよ」とリュカシオン。
「クリームだよ」とメルヒオール。
「白っぽいクリーム?」とリナメイシー。
するとルベルジュノーが笑って言う。
「それはアイボリーだよ。象とかの牙の色!」
「すごいわ、よく知ってるのね」
アルシャインが言うとルベルジュノーは照れる。
「そんなの、本に載ってたから…」
「じゃあこれは?」
とアルベルティーナが木のカップを手にして言うと、ルベルジュノーは悩む。
「ウォルナット…いやアンバー…キャメルかな…微妙だな」
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