金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語

紗々置 遼嘉

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第一章 始まりの館

Chapter20 2人で一部屋

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 夜にミュージ売りのコルマンがやってきて、ステーキとラザニアとラビオリとベーコン入りのパンケーキとコーヒーも頼んだ。
「46Gね。ミュージを割り引いた分になったかしら」
アルシャインが聞くと、コルマンはコーヒーを飲みながら笑って言う。
「なったよ!あ、お土産にキャンディ全種類欲しいな!お金は払うよ!」
「はーい!」
ティナジゼルが答えて7種類分を紙袋に入れた。
「56Gよ!」
「すごいな、計算が出来るのかい?!」
そう言いコルマンはお金を払う。
「ふふ、カゴに値札を差してるから、その裏に秘密があるのよ」
アルシャインが言う。
キャンディ入れのカゴに、一個8Gと書かれた木の値札がある。
その裏には、
2個→16G
3個→24G
4個→32G
5個→40G
6個→48G
7個→56Gと書かれているのだ。
「それなら間違わないな!」
そうコルマンは笑う。

コルマンと家具屋のダンヒルが帰ったので、アルシャインは片付けながら言葉遊びをした。
「雲がモクモク集まって~雨が降ったら芽が出るよ、なんの花?」
「マーガレット!」とティナジゼル。
「綺麗なお花に誘われて~誰かが訪ねてきたみたい~♪だーれかな?」
「テントウムシ!」とクリストフ。
「テントウムシさんこんにちわ♪一緒に遊ぶのだーれかな?」
「おウマさん…」とメルヒオール。
「お馬さんなの?!大っきなお友達ね!仲良くパカパカ走りましょ」
アルシャインが言いながらスキップをすると、ティナジゼルとクリストフがその後をついて行くのでメルヒオールもついて行った。
「さあみんなで楽しくパカッパカ!お馬さん達こんにちわ~、やってきたのはだーれかなっ♪」
アルシャインがルベルジュノーに聞くと、ルベルジュノーは驚く。
しかし4人で見るので照れながら答えた。
「ミュージ…」
「ミュージ!ウルウルメエェ~みんなでかけっこ楽しいね!お陽さま出てきて嬉しいね♪」
アルシャインが子供のように歌いながらスキップをして、手の空いたマリアンナやアルベルティーナもスキップをして後に続いた。

2階の部屋も12部屋しかないので、どうするか相談をしているとカシアンが言う。
「どうせ後から増えるなら2人で一部屋ずつ使えばいいさ。部屋は広いし」
確かに一部屋は大体5メートル四方だ。
「じゃあティーナと一緒がいい!」とマリアンナ。
「僕はルベルジュノーと一緒でいいよ」とレオリアム。
「俺はリオンと年が近いから…どうだ?」
そうノアセルジオが聞くと、リュカシオンが頷く。
「ナージィはリーナと!」とティナジゼル。
「僕メルと一緒でいいよ」とクリストフ。
そう話し合って、アルベルティーナとマリアンナ、ルベルジュノーとレオリアム、リュカシオンとノアセルジオ、ティナジゼルとリナメイシー、クリストフとメルヒオールが一緒の部屋になった。
「じゃあナリスは私と一緒でいいかしら?」
アルシャインが言うとフィナアリスが頷く。
「俺だけ一人?」
カシアンが聞くとみんなが笑う。
「カシアンは大人だろ」とルベルジュノー。
「淋しんぼー」とレオリアムが言う。
「…そんなのじゃ…まあいいや。ベッドは一階から運ぶぞ!みんな手伝え!」
そうカシアンが言い、みんなでベッドを運ぶ事になった。
「自分達のベッドも、いつか真っ直ぐなのにしようね!」とアルベルティーナ。
「色も塗りたいな…」とクリストフ。
「レース編みしてあたしも稼ぐわ!」とマリアンナ。
「マフラーもいいな、簡単そうだった」とノアセルジオ。
「チェスのコマの置物も簡単そうだったな」とルベルジュノー。
「雨の日に作ればいいわ」
そうアルシャインが笑って言う。
そうして6部屋にベッドを2つ置いて、ワラを敷いて布団を置いた。
その日は久し振りに誰かと寝る事になった子供達が、それぞれ夜遅くまでお喋りをしていた。
アルシャインとフィナアリスは疲れてすぐに寝てしまっていた。
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