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第一章 始まりの館
Chapter04 将来の夢
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翌日も晴天だった。
まずタライで体を洗って新しい服に着替えてから、みんなで昨日のスープを飲んで、井戸の側で食器を洗う。
「アイシャママ、汚れ落ちたよ」とマリアンナ。
「アイシャママ、ティーナが拭く!」
とアルベルティーナが言う。
するとルベルジュノー達が目を見開いた。
「え、なんでママ…?」
「ママって呼んでいいってアイシャママが言ったの」
そうマリアンナが答えると、ルベルジュノーとレオリアムがアルシャインを見た。
「ママって呼んでもいいのよ?」
アルシャインが微笑んで言うと、男の子達は顔を赤くした。
「…アイシャがいい…」レオリアムが言う。
「そう?好きにしていいわ」
アルシャインは笑って言う。
そして洗濯もする。
「これを干したら、買い物に行くわよ!」
そうアルシャインが言うと、カシアン以外のみんながはしゃいだ。
荷馬車を借りて、まずは荷馬車いっぱいの綿を買ってから、みんなで古着屋に入り、古いシーツや歯切れ布を買う。
そしてアルシャインがみんなに言う。
「じゃあ、一人一つだけ、気に入った服を持ってきて!一番気に入った服よ?」
「分かった!」
マリアンナが言い、選び始める。
「服を触る時は破れないように丁寧にね!こうやって見て、そっと置くの、いい?」
アルシャインがやってみせると、みんなが手に取って見てみる。
朝に体を綺麗にしてきたから店主に怒られる事も無かった。
アルシャインも何度も洗濯出来そうなワンピースを選ぶ。
「…カシアンは?」
「え?俺?」
「服は持ってるの?」
「馬鹿にしないで下さいよ。服ぐらい替えがありますよ」
「馬鹿になんてしてないわ。ならいいけど…カシアンも一緒に暮らすなら、荷物は持ってきておいてね?」
「一緒にって…」
カシアンは驚く。
護衛騎士は、休みの日に家に帰るものだからだ。
「…住まないの?」
「護衛騎士なんですけど…」
「一緒に住んでくれるものじゃないの?」
その言葉にカシアンは驚きながら赤くなって口元を押さえた。
〈一緒に…まるで愛の告白だ〉
そんな事を思ってから頷く。
「…じゃあ、夜に荷物取ってきますよ」
カシアンは子供達を含めて護衛しようと思った。
その後、みんなの服を買ってから、野菜の種や苗、クワなどの農具も買って帰った。
館に戻って大量の綿とシーツを運び入れた。
「狩りに行くよ」
ノアセルジオが言い弓矢を持つと、カシアンもついていく。
「じゃあ、畑を作って待ってましょうか!」
そう言ってアルシャインは残りの子供達と畑を作り、やり方を教えた。
ノアセルジオとカシアンが鹿を狩ってきたので、皮をはいでから燻製にした。
新鮮な鹿肉のスープはとても美味しかった。
「もう一杯食べたい」
ルベルジュノーが言うと、アルシャインは首を振る。
「駄目よ。まずは自分達でお金を稼がないと。お金が稼げるようになったら、おかわりしていいわ!」
「いつ出来るの?」
レオリアムが聞く。
「そうね…明日、綿の掛け布団を作って…サイドテーブルを作ったら一部屋出来るの。そしたらお客さんを泊められるわ」
「客、来ますかね…」
ボソッとカシアンが言うと、みんなが睨んだ。
「こんな村外れじゃ、旅人だって来てくれないだろ!」
「名物を作るのよ」
アルシャインが言って、ノートを取り出す。
それはアイディアノートだった。
「裏庭に畑を作ったから、表はガーデンにするの。バラやラベンダーで飾った花畑を作って、紅茶やケーキを食べられるテラスを作るの!」
「ケーキ?」
アルベルティーナが聞く。
「ええ、オレンジやりんごで作るの。近くに荒れてる農園があったから明日村の人に聞いてみましょう。色んなケーキがあるのよ…レシピは聞いてあるの。いつかケーキ屋さんとか作れないかな~なんて思ってたから!」
そう話すアルシャインはとても楽しそうだった。
「ここで宿だけじゃなくて食事も出したいの。お酒は、喧嘩の元だし…いやらしい事をしてくる人が増えるから出さないけど。料理も旅人から色んな料理を聞いてレシピを書いたのよ、ほら!」
そう言って何冊もノートを出して笑って言う。
「畑が出来て、果物も取れるようになったら、みんなに美味しい物をいーっぱい、食べさせてあげるからね!」
「わあ!」
子供達は喜んでノートを見た。
その日は眠るまで楽しく将来の夢を語り合った。
まずタライで体を洗って新しい服に着替えてから、みんなで昨日のスープを飲んで、井戸の側で食器を洗う。
「アイシャママ、汚れ落ちたよ」とマリアンナ。
「アイシャママ、ティーナが拭く!」
とアルベルティーナが言う。
するとルベルジュノー達が目を見開いた。
「え、なんでママ…?」
「ママって呼んでいいってアイシャママが言ったの」
そうマリアンナが答えると、ルベルジュノーとレオリアムがアルシャインを見た。
「ママって呼んでもいいのよ?」
アルシャインが微笑んで言うと、男の子達は顔を赤くした。
「…アイシャがいい…」レオリアムが言う。
「そう?好きにしていいわ」
アルシャインは笑って言う。
そして洗濯もする。
「これを干したら、買い物に行くわよ!」
そうアルシャインが言うと、カシアン以外のみんながはしゃいだ。
荷馬車を借りて、まずは荷馬車いっぱいの綿を買ってから、みんなで古着屋に入り、古いシーツや歯切れ布を買う。
そしてアルシャインがみんなに言う。
「じゃあ、一人一つだけ、気に入った服を持ってきて!一番気に入った服よ?」
「分かった!」
マリアンナが言い、選び始める。
「服を触る時は破れないように丁寧にね!こうやって見て、そっと置くの、いい?」
アルシャインがやってみせると、みんなが手に取って見てみる。
朝に体を綺麗にしてきたから店主に怒られる事も無かった。
アルシャインも何度も洗濯出来そうなワンピースを選ぶ。
「…カシアンは?」
「え?俺?」
「服は持ってるの?」
「馬鹿にしないで下さいよ。服ぐらい替えがありますよ」
「馬鹿になんてしてないわ。ならいいけど…カシアンも一緒に暮らすなら、荷物は持ってきておいてね?」
「一緒にって…」
カシアンは驚く。
護衛騎士は、休みの日に家に帰るものだからだ。
「…住まないの?」
「護衛騎士なんですけど…」
「一緒に住んでくれるものじゃないの?」
その言葉にカシアンは驚きながら赤くなって口元を押さえた。
〈一緒に…まるで愛の告白だ〉
そんな事を思ってから頷く。
「…じゃあ、夜に荷物取ってきますよ」
カシアンは子供達を含めて護衛しようと思った。
その後、みんなの服を買ってから、野菜の種や苗、クワなどの農具も買って帰った。
館に戻って大量の綿とシーツを運び入れた。
「狩りに行くよ」
ノアセルジオが言い弓矢を持つと、カシアンもついていく。
「じゃあ、畑を作って待ってましょうか!」
そう言ってアルシャインは残りの子供達と畑を作り、やり方を教えた。
ノアセルジオとカシアンが鹿を狩ってきたので、皮をはいでから燻製にした。
新鮮な鹿肉のスープはとても美味しかった。
「もう一杯食べたい」
ルベルジュノーが言うと、アルシャインは首を振る。
「駄目よ。まずは自分達でお金を稼がないと。お金が稼げるようになったら、おかわりしていいわ!」
「いつ出来るの?」
レオリアムが聞く。
「そうね…明日、綿の掛け布団を作って…サイドテーブルを作ったら一部屋出来るの。そしたらお客さんを泊められるわ」
「客、来ますかね…」
ボソッとカシアンが言うと、みんなが睨んだ。
「こんな村外れじゃ、旅人だって来てくれないだろ!」
「名物を作るのよ」
アルシャインが言って、ノートを取り出す。
それはアイディアノートだった。
「裏庭に畑を作ったから、表はガーデンにするの。バラやラベンダーで飾った花畑を作って、紅茶やケーキを食べられるテラスを作るの!」
「ケーキ?」
アルベルティーナが聞く。
「ええ、オレンジやりんごで作るの。近くに荒れてる農園があったから明日村の人に聞いてみましょう。色んなケーキがあるのよ…レシピは聞いてあるの。いつかケーキ屋さんとか作れないかな~なんて思ってたから!」
そう話すアルシャインはとても楽しそうだった。
「ここで宿だけじゃなくて食事も出したいの。お酒は、喧嘩の元だし…いやらしい事をしてくる人が増えるから出さないけど。料理も旅人から色んな料理を聞いてレシピを書いたのよ、ほら!」
そう言って何冊もノートを出して笑って言う。
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