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五章 流浪
三.雑賀
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尾張を出た翔隆は、そのまま美濃に向かい竹中重虎に会った後、中山道を進んで近江に入った。
〈そういえば、一族がどこに集落を持つのか…全くといっていい程知らないんだったな…〉
翔隆はそう思うも呑気に見物をしながら歩いて行く。
しっかりしたもので、樟美は眠たげな浅葱を前に座らせ、手綱を持っている。
いつの間に馬術を覚えたのか、まずそれに驚かされる。
しばらくして、翔隆は睦月との約束である目隠しをする。
「ととさま、だいじょうぶ?」
「ああ、まあ…平気さ」
翔隆は笑って言い、手探りで轡を取り神経を集中させた。
暗闇の中に、キラキラとした光が見える。
〈…これは…水?〉
その内に、草や木々、人型の光りに変わってきた。
水や血液の形が、光となっているのが分かる。
〈……昔、拓須に習った法にも、こんな物があったような……〉
やっと少し慣れて、そのまま琵琶湖に進んで南下した。
〈どうやって頭領達に会うか…〉
不慣れな土地だ…そう簡単に分かる筈もない。
そう思う内に幾日も経ち東海道に入って、初瀬街道を抜けて伊勢街道と通り過ぎてしまう。
「…今、大和か?」
「…紀伊です」
紀伊といえば、石山本願寺に与する雑賀衆が居を構えている所…。
竹中重虎から聞いた話では、雑賀衆は種子島を用いて訓練をしている土豪だとの事…。
〈信長様のように、訓練をしているのだろうか…?〉
種子島一丁はかなり高価な物…土豪がそんな大金を持っているのか?
〈…金山か銀山などあれば話は別…〉
しかし、この辺りに有力な鉱山はない……。そう考えている時、ダーンという聞き慣れた音がした。
「…種子島…だな」
「はい…」
翔隆も樟美も緊張して、間違って流れ弾などに当たらぬように気を付けながら慎重に進んでいく。
「父上、あそこ…左手の、林から聞こえる」
樟美の言葉に、翔隆は左側に意識を集中する。
…林の吹きさらしの野原に、人の集団が見える。
どうやら的を作って、鉄砲の撃ち方をしているようだ…。
〈間が悪いな。…刺激せずに通れるだろうか……〉
出来れば、何事も無く通りたい。
ゆっくりと馬を進めながら、様子を窺う。
「弾を無駄にするな! 死ぬ気で真ん中を撃て!」
大将らしき者の声が聞こえる。
まだ若い…などと思っていたら、いきなり誰かがこちらに走ってきた。
「いかんいかん! こっちに来たら流れ弾に当たるぞ! 見てわから…」
言いかけて、若者はじっと一行を見る。
轡を取る者は目に包帯を巻いていて、馬に乗るのは童二人…。
「…盲の兄か、父御か? これからどこへ行くのだ?」
「あ…堺の方に、どこか雇って貰えたら、と思いまして…」
「盲では、どこも雇ってはくれんだろ。……そうだな………何か、種子島の事を知っているか?」
知っているにはいるのだが…どう答えたら良い物か…。
迷っていると、樟美が喋る。
「父上はつい最近に目を悪くしましたが、武器なら何でも扱えます」
「ほほう! …という事は何処かに仕えていたか…まあいい、こちらに来なさい」
深くは追求せずに、若者は翔隆の腕を引いて訓練場に迎える。
「あの…」
戸惑っていると、若者は安全な場所に馬を繋いで樟美と浅葱を降ろす。
そして、洗濯をしている女に任せると、翔隆を引っ張ってきて火縄銃を持たせた。
「これは種子島だ。扱った事はあるか?」
「あ…はい」
「これに、弾を込めてくれるか?」
「それは出来ますが……手間取って、かえってご迷惑を掛けてしまうのでは……」
翔隆が戸惑って言うと、若者は楽しげに笑う。
「あっはははは! 盲のくせに、手間取るのが迷惑と申すか!」
「あ……すみません…」
どうやらこの口振りからして、偉い立場……もしかしたら、雑賀の筆頭の鈴木家の者かもしれない。
どうしたら良いものか………と考えて、はたと重大な事に気付く。
そうーーー今、自分は織田家に仕えているのではないのだ。
武田と上杉は二と三の君であって、真の主ではない。
よって、自分は今〝牢人〟なのだ、と改めて気が付いた。
〈…何も、一向一揆が石山本願寺によって操られているとしても、今の私には関わりの無い事…〉
考えていると、若者は火縄銃を何挺もジャラッと翔隆の前に置いた。
「一挺の弾込めで、百銭。どうだ?」
「………はい、ありがとうございます!」
…そう、考える余裕など無いのだった。
持ってきた銭は残り百文と少し……宿代や食費で無くなっていくのだから、稼がなければ生きてゆけない。
かといって、この若者の言う通り、こんな盲に仕事がもらえる筈も無い。
そんな事すら、忘れてしまっていた…。
翔隆は一礼して、手探りで火縄銃を手にして口薬(硝石・硫黄・木炭を混ぜた火薬)を入れて、弾を込めてから〝かるか〟(弾を突き入れる棒)で弾丸を突いて入れる。
そして火ぶたを開けて、火皿に胴薬(盒薬・玉薬。口薬と同じで、粒子が粗い)を入れて、火ぶたを閉めた。
〈…弾込め、と言ったのに火皿にまで薬を入れるとは…〉
若者はクスッと笑う。
懸命に弾込めをしている翔隆を、樟美はじっと見つめていた。
「坊、心配か?」
「…はい」
きっぱり答える幼子に、若者は大声で笑った。
「ははは! 実に賢い童だな。いくつだ?」
「五つ、名は樟美と言います」
童に名乗られ、若者はああ、と気付いて一礼する。
「わしは鈴木孫市。ここら豪族の頭領だ、よろしくな」
「よろしくお願い至します。…父には、言わないのですか?」
「んー…今声を掛けたら、折角の弾込めが駄目になりそうな程、一生懸命でな…」
鈴木孫市(俗に雑賀孫市。三十歳)は翔隆の方を見て、苦笑して言う。
…まあ、確かにそうだろう。
見ていると、皆は翔隆が弾込めするのを待ってから受け取り、胴火に火を付けていく…。
優しい計らいに、翔隆も気付いたようで、周りの人にぺこぺこと頭を下げながら、火薬の量を間違いなく入れて、弾を込めてかるかで弾を突きつめていっている。
そんな翔隆を見つめながら、鈴木孫市と名乗る男は、樟美に話し掛ける。
「…あの男の名は?」
「翔隆です」
「真面目なのだな。焦りもせずに、正確だ…解任されたのだとしたら、余程の事情か、主君が短気であったか、だな」
「………」
樟美は何と答えていいか分からずに俯く。
「別に、訳など話さなくて良い。この乱世よ………。ん? 最近まで、目が見えていたのだよな?」
「はい」
それに頷き、孫市は翔隆に近寄っていく。
「随分と、手慣れているのだな」
「あ……いえ、遅くて申し訳ありません」
「いやいや、この種子島は存じておろうが、とても高価で扱いが難しいのだ。それをお主は、何のためらいもなしに口薬を間違えず入れ弾を込め、迷いもせずにかるかで突いた。そして、言われてもいないというのに胴薬までをも火皿に入れた。ここの者でも、特にかるかは何の棒か分からぬ者さえおるのだから、大したものよ」
褒められて、翔隆は照れ笑いをした。
「そうそう、申し遅れたな。わしはここの豪族を束ねる鈴木孫市と申す。よろくしな、翔隆どの」
「あ……名乗りもしませんで、申し訳ございません」
翔隆は今頃気が付いて、深々と頭を下げた。
「いや、良いのだよ。それよりも、撃ってみないか?」
「え…?」
「見えなくなったのは最近なのだろう? 種子島は撃った事はないか?」
「………一応、ありますが…薬がもったいないのでは……」
「あっはははははは! 面白いな、お主。まあ、こ奴らにもいい勉強になるやもしれん」
そう言い、孫市は翔隆を連れて、訓練場へと立たせる。
「的までは半町、構えさせてやろう」
孫市は火縄銃を翔隆に持たせて、構えさせると後ろから両腕を持って狙いを定めさせる。
「ちょうどこの辺りよ。見事に当てて、こ奴らの士気を高めてやってくれ」
笑って言うと、孫市は手を離す。
〈……的は分かるが………〉
戸惑っていると、樟美が心で話し掛けてきた。
〈父上、武器は扱えると始めに言ってあるのですから、当てていいんですよ〉
〈樟美…〉
翔隆は苦笑した後、精神を集中させる。
ドーン… 弾は見事に真ん中を撃ち抜いていた。周りからどよめきと拍手が巻き起こる。
「素晴らしい! 目が見えずとも出来るのだから、そなた達もやれば出来るぞ!」
「はいっ!」
士気を上げるのには成功したようだ。
翔隆はほっとして種子島を手に、元の作業場に足探りで戻る。
すると、孫市が腕を引いて案内してくれる。
「ほら、ここだ」
「どうも…ありがとうございます…。あの、お役に立てましたか…?」
「ああ、皆のあの顔……っと、見えぬのだったな。皆、打って変わっていい顔になった。礼をせねばならんな」
「いえ……当たるとは思いませんで……当たって良かったです」
翔隆は微笑んで言い、また弾込めの作業をし始めた。
陽も暮れなずんできた頃、やっと訓練が終わった。
一日中種子島で、弾も薬も気にしないで使っていた…。
その資金は、やはり本願寺から来るものなのだろうか?
考えていると、鈴木孫市にぽんと肩を叩かれる。
「宿はないからな、わしの邸で良ければ泊まるか?」
「あ……ご迷惑では…」
「〝ご迷惑〟というのは、お主の口癖か?」
「い、いえ…」
「童が腹を減らして待っているぞ。遠慮などするな」
鈴木孫市は笑ってそう言い、翔隆の肩に手を回して歩く。
〈そういえば、一族がどこに集落を持つのか…全くといっていい程知らないんだったな…〉
翔隆はそう思うも呑気に見物をしながら歩いて行く。
しっかりしたもので、樟美は眠たげな浅葱を前に座らせ、手綱を持っている。
いつの間に馬術を覚えたのか、まずそれに驚かされる。
しばらくして、翔隆は睦月との約束である目隠しをする。
「ととさま、だいじょうぶ?」
「ああ、まあ…平気さ」
翔隆は笑って言い、手探りで轡を取り神経を集中させた。
暗闇の中に、キラキラとした光が見える。
〈…これは…水?〉
その内に、草や木々、人型の光りに変わってきた。
水や血液の形が、光となっているのが分かる。
〈……昔、拓須に習った法にも、こんな物があったような……〉
やっと少し慣れて、そのまま琵琶湖に進んで南下した。
〈どうやって頭領達に会うか…〉
不慣れな土地だ…そう簡単に分かる筈もない。
そう思う内に幾日も経ち東海道に入って、初瀬街道を抜けて伊勢街道と通り過ぎてしまう。
「…今、大和か?」
「…紀伊です」
紀伊といえば、石山本願寺に与する雑賀衆が居を構えている所…。
竹中重虎から聞いた話では、雑賀衆は種子島を用いて訓練をしている土豪だとの事…。
〈信長様のように、訓練をしているのだろうか…?〉
種子島一丁はかなり高価な物…土豪がそんな大金を持っているのか?
〈…金山か銀山などあれば話は別…〉
しかし、この辺りに有力な鉱山はない……。そう考えている時、ダーンという聞き慣れた音がした。
「…種子島…だな」
「はい…」
翔隆も樟美も緊張して、間違って流れ弾などに当たらぬように気を付けながら慎重に進んでいく。
「父上、あそこ…左手の、林から聞こえる」
樟美の言葉に、翔隆は左側に意識を集中する。
…林の吹きさらしの野原に、人の集団が見える。
どうやら的を作って、鉄砲の撃ち方をしているようだ…。
〈間が悪いな。…刺激せずに通れるだろうか……〉
出来れば、何事も無く通りたい。
ゆっくりと馬を進めながら、様子を窺う。
「弾を無駄にするな! 死ぬ気で真ん中を撃て!」
大将らしき者の声が聞こえる。
まだ若い…などと思っていたら、いきなり誰かがこちらに走ってきた。
「いかんいかん! こっちに来たら流れ弾に当たるぞ! 見てわから…」
言いかけて、若者はじっと一行を見る。
轡を取る者は目に包帯を巻いていて、馬に乗るのは童二人…。
「…盲の兄か、父御か? これからどこへ行くのだ?」
「あ…堺の方に、どこか雇って貰えたら、と思いまして…」
「盲では、どこも雇ってはくれんだろ。……そうだな………何か、種子島の事を知っているか?」
知っているにはいるのだが…どう答えたら良い物か…。
迷っていると、樟美が喋る。
「父上はつい最近に目を悪くしましたが、武器なら何でも扱えます」
「ほほう! …という事は何処かに仕えていたか…まあいい、こちらに来なさい」
深くは追求せずに、若者は翔隆の腕を引いて訓練場に迎える。
「あの…」
戸惑っていると、若者は安全な場所に馬を繋いで樟美と浅葱を降ろす。
そして、洗濯をしている女に任せると、翔隆を引っ張ってきて火縄銃を持たせた。
「これは種子島だ。扱った事はあるか?」
「あ…はい」
「これに、弾を込めてくれるか?」
「それは出来ますが……手間取って、かえってご迷惑を掛けてしまうのでは……」
翔隆が戸惑って言うと、若者は楽しげに笑う。
「あっはははは! 盲のくせに、手間取るのが迷惑と申すか!」
「あ……すみません…」
どうやらこの口振りからして、偉い立場……もしかしたら、雑賀の筆頭の鈴木家の者かもしれない。
どうしたら良いものか………と考えて、はたと重大な事に気付く。
そうーーー今、自分は織田家に仕えているのではないのだ。
武田と上杉は二と三の君であって、真の主ではない。
よって、自分は今〝牢人〟なのだ、と改めて気が付いた。
〈…何も、一向一揆が石山本願寺によって操られているとしても、今の私には関わりの無い事…〉
考えていると、若者は火縄銃を何挺もジャラッと翔隆の前に置いた。
「一挺の弾込めで、百銭。どうだ?」
「………はい、ありがとうございます!」
…そう、考える余裕など無いのだった。
持ってきた銭は残り百文と少し……宿代や食費で無くなっていくのだから、稼がなければ生きてゆけない。
かといって、この若者の言う通り、こんな盲に仕事がもらえる筈も無い。
そんな事すら、忘れてしまっていた…。
翔隆は一礼して、手探りで火縄銃を手にして口薬(硝石・硫黄・木炭を混ぜた火薬)を入れて、弾を込めてから〝かるか〟(弾を突き入れる棒)で弾丸を突いて入れる。
そして火ぶたを開けて、火皿に胴薬(盒薬・玉薬。口薬と同じで、粒子が粗い)を入れて、火ぶたを閉めた。
〈…弾込め、と言ったのに火皿にまで薬を入れるとは…〉
若者はクスッと笑う。
懸命に弾込めをしている翔隆を、樟美はじっと見つめていた。
「坊、心配か?」
「…はい」
きっぱり答える幼子に、若者は大声で笑った。
「ははは! 実に賢い童だな。いくつだ?」
「五つ、名は樟美と言います」
童に名乗られ、若者はああ、と気付いて一礼する。
「わしは鈴木孫市。ここら豪族の頭領だ、よろしくな」
「よろしくお願い至します。…父には、言わないのですか?」
「んー…今声を掛けたら、折角の弾込めが駄目になりそうな程、一生懸命でな…」
鈴木孫市(俗に雑賀孫市。三十歳)は翔隆の方を見て、苦笑して言う。
…まあ、確かにそうだろう。
見ていると、皆は翔隆が弾込めするのを待ってから受け取り、胴火に火を付けていく…。
優しい計らいに、翔隆も気付いたようで、周りの人にぺこぺこと頭を下げながら、火薬の量を間違いなく入れて、弾を込めてかるかで弾を突きつめていっている。
そんな翔隆を見つめながら、鈴木孫市と名乗る男は、樟美に話し掛ける。
「…あの男の名は?」
「翔隆です」
「真面目なのだな。焦りもせずに、正確だ…解任されたのだとしたら、余程の事情か、主君が短気であったか、だな」
「………」
樟美は何と答えていいか分からずに俯く。
「別に、訳など話さなくて良い。この乱世よ………。ん? 最近まで、目が見えていたのだよな?」
「はい」
それに頷き、孫市は翔隆に近寄っていく。
「随分と、手慣れているのだな」
「あ……いえ、遅くて申し訳ありません」
「いやいや、この種子島は存じておろうが、とても高価で扱いが難しいのだ。それをお主は、何のためらいもなしに口薬を間違えず入れ弾を込め、迷いもせずにかるかで突いた。そして、言われてもいないというのに胴薬までをも火皿に入れた。ここの者でも、特にかるかは何の棒か分からぬ者さえおるのだから、大したものよ」
褒められて、翔隆は照れ笑いをした。
「そうそう、申し遅れたな。わしはここの豪族を束ねる鈴木孫市と申す。よろくしな、翔隆どの」
「あ……名乗りもしませんで、申し訳ございません」
翔隆は今頃気が付いて、深々と頭を下げた。
「いや、良いのだよ。それよりも、撃ってみないか?」
「え…?」
「見えなくなったのは最近なのだろう? 種子島は撃った事はないか?」
「………一応、ありますが…薬がもったいないのでは……」
「あっはははははは! 面白いな、お主。まあ、こ奴らにもいい勉強になるやもしれん」
そう言い、孫市は翔隆を連れて、訓練場へと立たせる。
「的までは半町、構えさせてやろう」
孫市は火縄銃を翔隆に持たせて、構えさせると後ろから両腕を持って狙いを定めさせる。
「ちょうどこの辺りよ。見事に当てて、こ奴らの士気を高めてやってくれ」
笑って言うと、孫市は手を離す。
〈……的は分かるが………〉
戸惑っていると、樟美が心で話し掛けてきた。
〈父上、武器は扱えると始めに言ってあるのですから、当てていいんですよ〉
〈樟美…〉
翔隆は苦笑した後、精神を集中させる。
ドーン… 弾は見事に真ん中を撃ち抜いていた。周りからどよめきと拍手が巻き起こる。
「素晴らしい! 目が見えずとも出来るのだから、そなた達もやれば出来るぞ!」
「はいっ!」
士気を上げるのには成功したようだ。
翔隆はほっとして種子島を手に、元の作業場に足探りで戻る。
すると、孫市が腕を引いて案内してくれる。
「ほら、ここだ」
「どうも…ありがとうございます…。あの、お役に立てましたか…?」
「ああ、皆のあの顔……っと、見えぬのだったな。皆、打って変わっていい顔になった。礼をせねばならんな」
「いえ……当たるとは思いませんで……当たって良かったです」
翔隆は微笑んで言い、また弾込めの作業をし始めた。
陽も暮れなずんできた頃、やっと訓練が終わった。
一日中種子島で、弾も薬も気にしないで使っていた…。
その資金は、やはり本願寺から来るものなのだろうか?
考えていると、鈴木孫市にぽんと肩を叩かれる。
「宿はないからな、わしの邸で良ければ泊まるか?」
「あ……ご迷惑では…」
「〝ご迷惑〟というのは、お主の口癖か?」
「い、いえ…」
「童が腹を減らして待っているぞ。遠慮などするな」
鈴木孫市は笑ってそう言い、翔隆の肩に手を回して歩く。
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