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一章 天命
外伝〜鹿〜
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(翔隆の幼い頃の、ある日の出来事)
翔隆、四歳。
オタマジャクシやバッタやカマキリを小屋の中で飼っては、姉の楓に叱られていた。
何故駄目なのかが分からない。
姉は、飛び跳ねるバッタやカマキリが「怖い」と言う。
〈姉さんのが怖いのに…〉
そう思うも口には出せない。
御器かぶりも怖いらしい。
表に御器を出しておくと、かじってしまう黒い虫。
あれも飼おうとしたら母に嫌がられた。
どうも、〝女〟は虫が駄目らしい。
仕方なく外をぶらぶらしていると、茂みに鹿の親子を見付けた。
「あ…かわい…」
ザン!
言い掛けて止まる。
親鹿が、目の前で槍に貫かれた。
「良し! いいオカズだ…」
千太が笑って言い、泣いてこちらを見る翔隆と目が合い固まる。
「あ、あのな、これは大事な事で…」
「うええええぇ!」
泣かれた…こうなると中々泣き止まないのだ…。
子鹿の方は、足を怪我しているらしい。
「俺じゃない! ほら翔隆、子鹿がお前に治して欲しいな~って言ってるぞ!」
そんな事を言える筈もないが、翔隆は泣きながら子鹿を見た。
そして、ぐっと口を一文字にして泣くのをこらえながら子鹿に寄る。
「痛いね、今治すからね」
そう言いながら、薬草を取りに行く。
その間に千太は親鹿を持っていった。
翔隆が手当てした鹿は、すぐに翔隆に懐いた。
千太はいつも不思議に思う。
〈なんで懐くんだ?〉
昔に、翔隆が怪我したフクロウを手当てしてミミズなどをあげて介護していたら、それも懐いた。
千太も同じ事をしてみたが懐かずに、ただ森に帰っただけだったのに…。
「動物に好かれやすい人間は、人間にも好かれるからな」
そう志木が言っていたが…。
子鹿の事を志木に報告すると、志木は苦笑する。
「またか……本人のやりたいようにさせて欲しい。狩りはまだ早いだろう」
「そうですね…」
千太も苦笑して言う。
外では、フクロウや子鹿と楽しげに遊ぶ翔隆がいた。
翔隆、四歳。
オタマジャクシやバッタやカマキリを小屋の中で飼っては、姉の楓に叱られていた。
何故駄目なのかが分からない。
姉は、飛び跳ねるバッタやカマキリが「怖い」と言う。
〈姉さんのが怖いのに…〉
そう思うも口には出せない。
御器かぶりも怖いらしい。
表に御器を出しておくと、かじってしまう黒い虫。
あれも飼おうとしたら母に嫌がられた。
どうも、〝女〟は虫が駄目らしい。
仕方なく外をぶらぶらしていると、茂みに鹿の親子を見付けた。
「あ…かわい…」
ザン!
言い掛けて止まる。
親鹿が、目の前で槍に貫かれた。
「良し! いいオカズだ…」
千太が笑って言い、泣いてこちらを見る翔隆と目が合い固まる。
「あ、あのな、これは大事な事で…」
「うええええぇ!」
泣かれた…こうなると中々泣き止まないのだ…。
子鹿の方は、足を怪我しているらしい。
「俺じゃない! ほら翔隆、子鹿がお前に治して欲しいな~って言ってるぞ!」
そんな事を言える筈もないが、翔隆は泣きながら子鹿を見た。
そして、ぐっと口を一文字にして泣くのをこらえながら子鹿に寄る。
「痛いね、今治すからね」
そう言いながら、薬草を取りに行く。
その間に千太は親鹿を持っていった。
翔隆が手当てした鹿は、すぐに翔隆に懐いた。
千太はいつも不思議に思う。
〈なんで懐くんだ?〉
昔に、翔隆が怪我したフクロウを手当てしてミミズなどをあげて介護していたら、それも懐いた。
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そう志木が言っていたが…。
子鹿の事を志木に報告すると、志木は苦笑する。
「またか……本人のやりたいようにさせて欲しい。狩りはまだ早いだろう」
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外では、フクロウや子鹿と楽しげに遊ぶ翔隆がいた。
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