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第四幕 νήμα(ニーマ) 紡ぐ
νήμα03 正常な世界
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それから4日後にやっとエルガファルがアイテムを集め終える。
その頃には魔族の救出を共同で行っていたルド・ルギオスとギルベルト猊下が魔王と共に待ち合わせ場所の森に行く。
するとそこにマリミエド、アルビオン、ベルンハルト、スーツケースを持ったユークレース、レアノルド、クリフォードが来る。
マリミエドが珍しく誰のエスコートも受けずに立っているので、ギルベルト猊下が聞く。
「リュミどうした?なんだかギクシャクしているようだが」
「そんっ…な事はありませんわ…」
マリミエドは真っ赤になってギルベルト猊下にくっつく。
「………もしかして友人達、ラブレター書いたかい?」
そう聞くと、5人は頬を赤らめる。
「王太子妃を辞したので、求婚をしたくてな」
アルビオンが言う。
「あれ…?アルビオン、君は婚約者が居なかったかい?」
「…どうやら王太子側室に立候補したらしく、婚約破棄された」
「…女性からの破棄とはな……このタイミングは駄目だろう。リュミ、そんなに意識しなくていいよ…今まで通りでいいんだよ」
「お兄様…」
マリミエドは頷いてギルベルト猊下のエスコートを受ける。
「さてエルガファル、アイテムは?」
ギルベルト猊下が聞くと、袋を渡す。
「苦労しましたよ猊下~」
「猊下は私だ!」
ルド・ルギオスが叫ぶ。
「も、申し訳ございません!お姿と威厳が紛らわしいのですよ!」
「はは、それは嬉しいね。威厳が無くてはすぐに宰相になれないからな…」
呟いてギルベルト猊下は袋を開けてスーツケースに移した。
「…さらば俺の万年筆……」
そう言いスーツケースを閉めて持つ。
「では、マリアの所に行こうか」
全員で氷山の洞窟に来た。
マリアはシチューを作っている。
「…マリア」
ルド・ルギオスが入り、マリアとハグをする。
「お帰りなさい………あら?お客様?」
マリミエド達を見ても反応がない。
ルド・ルギオスが自分の妻とする為に、ギルベルトだけを覚えているよう記憶の操作をしてあるのだ。
「ルギオス」
魔王の言葉でルド・ルギオスはためらいがちに記憶の魔法を解いた。
すると、マリアはキョロキョロとする。
「あ、れ…ハーレム?」
「もうそれでいいから、これを」
ギルベルト猊下が言い、スーツケースを開けてアイテムをテーブルに並べた。
「え、何やだ、〝特別な君に〟イベント?!」
マリアは空中を見て言う。
空中に、マリアにだけスチルが見えていたのだ。
「君にこれを」
「大切な君に、持っていて欲しい」
次々に言い、アイテムを渡してくれる。
マリアは泣きながらアイテムを受け取った。
すると、マリアは長い黒髪の女の子の姿となって、大事そうにアイテムを抱えた。
「やっとコンプよ…苦労したカイがあるわ…もう誰にも渡さないんだからぁ!」
そう叫んで消えたので、その時空をユークレースが封印した。
すると、ギルベルト猊下が胸に着けていたコサージュから世界樹の精霊が現れる。
「コングラッチュレーショーン!」
「世界樹の精霊!」
皆が驚いて見る。
「いやあ、おめでとう!ありがとう、これで異邦人は全て消えた!私が活躍出来るよ…」
そう言いギルベルト猊下の前に行くと、握手をする。
「ありがとうギルベルト、女神の言葉は伝えさせるよ」
「ユーデクス、また会えるかい?」
「いつだって会えるさ」
そう言って世界樹の精霊はフワリと宙に浮き、眩い光を発する。
『時間を正常に!世界に平穏を!』
目が開けていられない程の光が収まると、世界樹の精霊は消えていた。
そして外では雪と共に花びらが舞っていた。
そこに騎士団長のアドゥムが現れて言う。
「全ての人間の奴隷が消えて、全てのさらわれた魔族が戻っています!これは…」
「騒ぐなアドゥム」
そう制して、魔王はギルベルト猊下を見る。
ギルベルト猊下は微笑んで友人達を見て、両手を叩き合って喜び合っていた。
「やったぞ!これで平和を取り戻したんだな!」
そうベルンハルトが言う。
すると、ギルベルト猊下は頷いて魔王を見る。
「…魔王、切り捨ててもいい魔族は居るか?」
「山程いるな」
「このリストに居るか?」
そう言い、懐からリスト表を出して話し合う。
「あ、皆はシチューでも食べてるといい」
振り向いてそう言うと、皆が固まっているのに気付く。
「どうした?」
「今、魔王って…」とレアノルド。
「ああ、魔王。魔王と話をしたといっただろう?」
「魔王本人!?」
皆が後ずさって警戒した。
「大丈夫だ、むやみやたらと害を成すような男ではない。大局を見て言動出来る男だ」
真面目にギルベルト猊下が言うと、魔王が驚き、皆は息を飲んで頷いた。
「それで…ではコイツにしようか。コイツがヴィルヘルム侯爵をそそのかした…それでいいな?」
魔王は頷く。
ギルベルト猊下は頷いてアルビオンを見た。
「アルビオン…父君は」
「魔族にそそのかされて馬鹿な事をした…それは、知っている」
アルビオンが眉をしかめて言う。
「友人…いつから……」
「…狩猟大会の時に…姉がお前を殺しただろう?だからおかしいと思って探ったんだ。そうしたら、そこの鎧の魔物が父と居て…。だから、帰ったら皇帝陛下に父の隠居と俺の後継を申し出るつもりだ!」
「…友人、落ち着いて。実は皇帝陛下と王太子も薬を盛られて正気では無いんだ」
「何ーーー!?」
アルビオンは言葉を無くす。
皆もシチューを食べながら驚いている。
「それは考えがあるから…任せてくれるか?」
そう皆に聞くと、皆は頷く。
「もちろんだ」とベルンハルト。
「頼む」とユークレース。
ギルベルト猊下は頷いて魔王と共に座ってシチューを食べた。
その頃には魔族の救出を共同で行っていたルド・ルギオスとギルベルト猊下が魔王と共に待ち合わせ場所の森に行く。
するとそこにマリミエド、アルビオン、ベルンハルト、スーツケースを持ったユークレース、レアノルド、クリフォードが来る。
マリミエドが珍しく誰のエスコートも受けずに立っているので、ギルベルト猊下が聞く。
「リュミどうした?なんだかギクシャクしているようだが」
「そんっ…な事はありませんわ…」
マリミエドは真っ赤になってギルベルト猊下にくっつく。
「………もしかして友人達、ラブレター書いたかい?」
そう聞くと、5人は頬を赤らめる。
「王太子妃を辞したので、求婚をしたくてな」
アルビオンが言う。
「あれ…?アルビオン、君は婚約者が居なかったかい?」
「…どうやら王太子側室に立候補したらしく、婚約破棄された」
「…女性からの破棄とはな……このタイミングは駄目だろう。リュミ、そんなに意識しなくていいよ…今まで通りでいいんだよ」
「お兄様…」
マリミエドは頷いてギルベルト猊下のエスコートを受ける。
「さてエルガファル、アイテムは?」
ギルベルト猊下が聞くと、袋を渡す。
「苦労しましたよ猊下~」
「猊下は私だ!」
ルド・ルギオスが叫ぶ。
「も、申し訳ございません!お姿と威厳が紛らわしいのですよ!」
「はは、それは嬉しいね。威厳が無くてはすぐに宰相になれないからな…」
呟いてギルベルト猊下は袋を開けてスーツケースに移した。
「…さらば俺の万年筆……」
そう言いスーツケースを閉めて持つ。
「では、マリアの所に行こうか」
全員で氷山の洞窟に来た。
マリアはシチューを作っている。
「…マリア」
ルド・ルギオスが入り、マリアとハグをする。
「お帰りなさい………あら?お客様?」
マリミエド達を見ても反応がない。
ルド・ルギオスが自分の妻とする為に、ギルベルトだけを覚えているよう記憶の操作をしてあるのだ。
「ルギオス」
魔王の言葉でルド・ルギオスはためらいがちに記憶の魔法を解いた。
すると、マリアはキョロキョロとする。
「あ、れ…ハーレム?」
「もうそれでいいから、これを」
ギルベルト猊下が言い、スーツケースを開けてアイテムをテーブルに並べた。
「え、何やだ、〝特別な君に〟イベント?!」
マリアは空中を見て言う。
空中に、マリアにだけスチルが見えていたのだ。
「君にこれを」
「大切な君に、持っていて欲しい」
次々に言い、アイテムを渡してくれる。
マリアは泣きながらアイテムを受け取った。
すると、マリアは長い黒髪の女の子の姿となって、大事そうにアイテムを抱えた。
「やっとコンプよ…苦労したカイがあるわ…もう誰にも渡さないんだからぁ!」
そう叫んで消えたので、その時空をユークレースが封印した。
すると、ギルベルト猊下が胸に着けていたコサージュから世界樹の精霊が現れる。
「コングラッチュレーショーン!」
「世界樹の精霊!」
皆が驚いて見る。
「いやあ、おめでとう!ありがとう、これで異邦人は全て消えた!私が活躍出来るよ…」
そう言いギルベルト猊下の前に行くと、握手をする。
「ありがとうギルベルト、女神の言葉は伝えさせるよ」
「ユーデクス、また会えるかい?」
「いつだって会えるさ」
そう言って世界樹の精霊はフワリと宙に浮き、眩い光を発する。
『時間を正常に!世界に平穏を!』
目が開けていられない程の光が収まると、世界樹の精霊は消えていた。
そして外では雪と共に花びらが舞っていた。
そこに騎士団長のアドゥムが現れて言う。
「全ての人間の奴隷が消えて、全てのさらわれた魔族が戻っています!これは…」
「騒ぐなアドゥム」
そう制して、魔王はギルベルト猊下を見る。
ギルベルト猊下は微笑んで友人達を見て、両手を叩き合って喜び合っていた。
「やったぞ!これで平和を取り戻したんだな!」
そうベルンハルトが言う。
すると、ギルベルト猊下は頷いて魔王を見る。
「…魔王、切り捨ててもいい魔族は居るか?」
「山程いるな」
「このリストに居るか?」
そう言い、懐からリスト表を出して話し合う。
「あ、皆はシチューでも食べてるといい」
振り向いてそう言うと、皆が固まっているのに気付く。
「どうした?」
「今、魔王って…」とレアノルド。
「ああ、魔王。魔王と話をしたといっただろう?」
「魔王本人!?」
皆が後ずさって警戒した。
「大丈夫だ、むやみやたらと害を成すような男ではない。大局を見て言動出来る男だ」
真面目にギルベルト猊下が言うと、魔王が驚き、皆は息を飲んで頷いた。
「それで…ではコイツにしようか。コイツがヴィルヘルム侯爵をそそのかした…それでいいな?」
魔王は頷く。
ギルベルト猊下は頷いてアルビオンを見た。
「アルビオン…父君は」
「魔族にそそのかされて馬鹿な事をした…それは、知っている」
アルビオンが眉をしかめて言う。
「友人…いつから……」
「…狩猟大会の時に…姉がお前を殺しただろう?だからおかしいと思って探ったんだ。そうしたら、そこの鎧の魔物が父と居て…。だから、帰ったら皇帝陛下に父の隠居と俺の後継を申し出るつもりだ!」
「…友人、落ち着いて。実は皇帝陛下と王太子も薬を盛られて正気では無いんだ」
「何ーーー!?」
アルビオンは言葉を無くす。
皆もシチューを食べながら驚いている。
「それは考えがあるから…任せてくれるか?」
そう皆に聞くと、皆は頷く。
「もちろんだ」とベルンハルト。
「頼む」とユークレース。
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