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第三幕 想定外
vs22 世界樹への誓い
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それから2人はレストランに入ってランチにする。
マリミエドは赤いドレスに着替えてそのままだった。
素足が不評だったので、黒いニータイツを履いた。
前菜の皿のナッツを食べながらユークレースが言う。
「さて、どうするか…」
「ユークレース公子は、ご予定があるのですか?」
「今日は無いな…マリミエド嬢は?」
「わたくしも特には…あ、そういえば昨日マリアさんを見ていて思いましたが、エルガファルさんからアイテムを買われていたようなのですよね」
「ああ、そうだな…」
「エルガファルさんって魔族でしょうか?」
「何故?」
「以前にエルガファルさんが多数の方々を引き連れてましたの…その時に、窓から続々と入ってらして」
「多数の…待て待て、何の話だ」
「その…ある所ですわ。それで、あの方がリーダーでしたのよ、屈強そうな方々よりも…あ、お兄様には内密ですよ?」
「ーーー」
察するに、何処かで暴漢に襲われたという所だが………多分、無事だったのだろう。
そう思いユークレースは気を取り直して、ロールパンとローストビーフを食べる。
「…リーダーだったのはギルドという組織のマスターだからではないのか?」
「それもありますが…魔族のお店からアイテムを買っていた、と女神様が仰っていたと聞きますし…」
「確かに。…それは調べておこう」
「ありがとうございます」
お礼を言ってマリミエドはコテージパイを食べた。
その頃。
ギルベルトは書類整理が一段落したので、木の針を握り締めてうたた寝していた。
夢の中。
澄んだ青空の中を熱帯魚が泳ぎ、美しい花畑と湖が広がる世界でギルベルトが座っていると、世界樹の精霊がやってくる。
「…兄妹って似た世界なんだな」
「やあ、やっと会えた…願いが届かないのかと思ったよ」
そう言いギルベルトは笑う。
世界樹の精霊は隣りに座って言う。
「いや、聞こえてたよ。女神の声を届けたいんだろう?」
「ああ。女神と約束したんだ」
「……それで、君が成す事は?」
世界樹の精霊が聞くと、ギルベルトは湖を見つめながら言う。
「この世界を正す…時間が掛かるだろうし、もしかしたら小規模で終わるかもしれないが、魔族との盟約を少しでもやりたい。…どうだろうか?」
「うん、いいね。君ら兄妹は素直で宜しいよ」
「誰かと比べてる?」
「大魔道士とね」
「頑固そうだ………いつか、アルビオンの奴にも会ってやって欲しい。きっと壮大な夢を抱えているから」
「…いつかね」
そう言い世界樹の精霊は立ち去った。
「いつか……」
呟きながらギルベルトは起きる。
「ああ、やっと約束が守れた…さて、リュミに会いに行くか」
ギルベルトは起き上がって木の針をベストのポケットにしまって出掛ける準備をした。
マリミエドは赤いドレスに着替えてそのままだった。
素足が不評だったので、黒いニータイツを履いた。
前菜の皿のナッツを食べながらユークレースが言う。
「さて、どうするか…」
「ユークレース公子は、ご予定があるのですか?」
「今日は無いな…マリミエド嬢は?」
「わたくしも特には…あ、そういえば昨日マリアさんを見ていて思いましたが、エルガファルさんからアイテムを買われていたようなのですよね」
「ああ、そうだな…」
「エルガファルさんって魔族でしょうか?」
「何故?」
「以前にエルガファルさんが多数の方々を引き連れてましたの…その時に、窓から続々と入ってらして」
「多数の…待て待て、何の話だ」
「その…ある所ですわ。それで、あの方がリーダーでしたのよ、屈強そうな方々よりも…あ、お兄様には内密ですよ?」
「ーーー」
察するに、何処かで暴漢に襲われたという所だが………多分、無事だったのだろう。
そう思いユークレースは気を取り直して、ロールパンとローストビーフを食べる。
「…リーダーだったのはギルドという組織のマスターだからではないのか?」
「それもありますが…魔族のお店からアイテムを買っていた、と女神様が仰っていたと聞きますし…」
「確かに。…それは調べておこう」
「ありがとうございます」
お礼を言ってマリミエドはコテージパイを食べた。
その頃。
ギルベルトは書類整理が一段落したので、木の針を握り締めてうたた寝していた。
夢の中。
澄んだ青空の中を熱帯魚が泳ぎ、美しい花畑と湖が広がる世界でギルベルトが座っていると、世界樹の精霊がやってくる。
「…兄妹って似た世界なんだな」
「やあ、やっと会えた…願いが届かないのかと思ったよ」
そう言いギルベルトは笑う。
世界樹の精霊は隣りに座って言う。
「いや、聞こえてたよ。女神の声を届けたいんだろう?」
「ああ。女神と約束したんだ」
「……それで、君が成す事は?」
世界樹の精霊が聞くと、ギルベルトは湖を見つめながら言う。
「この世界を正す…時間が掛かるだろうし、もしかしたら小規模で終わるかもしれないが、魔族との盟約を少しでもやりたい。…どうだろうか?」
「うん、いいね。君ら兄妹は素直で宜しいよ」
「誰かと比べてる?」
「大魔道士とね」
「頑固そうだ………いつか、アルビオンの奴にも会ってやって欲しい。きっと壮大な夢を抱えているから」
「…いつかね」
そう言い世界樹の精霊は立ち去った。
「いつか……」
呟きながらギルベルトは起きる。
「ああ、やっと約束が守れた…さて、リュミに会いに行くか」
ギルベルトは起き上がって木の針をベストのポケットにしまって出掛ける準備をした。
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