103 / 164
第三幕 想定外
vs13 因果律の対処法2
しおりを挟む
そして世界樹の精霊は、じっとユークレースを見る。
「言いたい事が分かるか?大魔道士」
するとユークレースはテレパシーを使った。
『分かる!分かるから喋らせろ!』
皆には聞こえず、世界樹の精霊だけがその声を拾う。
世界樹の精霊はフッと笑ってユークレースの金縛りを解く。
「俺が、出来るんだマリミエド嬢!」
「え…?」
「夢でそいつ…」
言い掛けると世界樹の精霊にギロリと睨まれたのでユークレースは言い直す。
「世界樹の精霊から、世界樹の樹液を飲まされたんだ!だからその力はある!」
そうマリミエドに言ってから、ユークレースは世界樹の精霊を見た。
「神聖呪法を手に入れた今、悪しき魔物の浄化を行う!俺の友人達を守る!それがあの問いの答えだ!」
そう言うと、世界樹の精霊は苦笑した。
「与えてやった力だ、国中の悪しき魔物を浄化出来るだろう?」
「…やってみる」
そう答えたので良しとする。
するとマリミエドがユークレースに言う。
「間違って、何も悪くない魔物まで消さないで下さいね?」
「何…?」
ユークレースが眉をしかめるので、世界樹の精霊が首を傾げる。
「魔物との盟約などの話をしていないのか?」
「その…信じて貰えないと思って…」
マリミエドが俯いて言うと、世界樹の精霊がその頭を撫でる。
「では、今詰め込んでやるから…」
そう言って世界樹の精霊は手をかざしてマリミエド以外の全員の体に風で葉を一枚ずつ当てた。
体に当たると葉は体の中に入り込んで、その者の頭の中にマリミエドとギルベルトとアルビオンが知った真実が流れ込む。
それと共に、マリミエドの断罪から処刑される場面までが頭に映し出した。
「死にたくない…イヤあぁあ!!」
その悲痛な叫びと共に、全員がハッとして金縛りが解け、膝をつく。
そして首を押さえて青ざめた。
「どうだ、信じる気になったか?わざわざマリミエドの立場にさせてやったのだ…断罪イベントからの処刑シーン、とやらだ…気分は?」
そう世界樹の精霊が聞く。
「くっ…」
ギルベルトが呻きながらもマリミエドの側に来て肩を抱く。
「必ず…必ず守る!」
「お兄様…」
マリミエドはギルベルトを心配しながらも、嬉しさで涙を浮かべる。
するとアルビオンもマリミエドを見て頷く。
「辛かったな、だが心配はいらん…あんな王太子ならば誰も支持はしないし、させない!そして皇帝になどさせん!」
「ヴィルヘルム令息…」
「アルビオンでいい。大丈夫だ」
「ありがとう、アルビオン公子」
まだ何かを言おうとすると、ユークレースがマリミエドに言う。
「疑って済まなかった……今後は君達の話を聞くと誓う」
「ありがとう、アーダルベルト令」
「ユークレースだ」
言い掛けたのを遮って言う。
「ユークレース公子」
そうマリミエドが言うのを聞いてユークレースは頷く。
「俺も…俺達も同じだ」
レアノルドがクリフォードを見て言う。マリミエドは微笑んで2人に頷き、皆を見る。
「ありがとう、レアノルド公子、クリフォード公子。信じてくれるのは嬉しいですが…それはまだ起きていない事です。王太子殿下の様子も変わっています。…ですから、王太子殿下を廃嫡する動きはなさらないで下さいね?」
「何を言って…」
アルビオンが言い掛けてハッとして、何かを喋ろうとしているユークレースの口を手で塞いだ。
「ユークレース、今言い合う事ではない。今は狩猟大会の事を聞かねばならんのだ」
「ぇえい分かっている!口を塞ぐな!」
そう言いユークレースは世界樹の精霊を見る。
「浄化の後は?!」
「ふん、落ち着いたようだね。…浄化して魔物が居なくなったら、魔物と化した転生者が居る。そいつにアイテムを全て見せて気を逸らしてから浄化を使うんだ。そうすれば元の転生者の姿になる…その時にアイテムをくれてやれば、自ずと元の世界に還るだろう。そうしたら、その場所の時空の歪みを封印出来よう」
「分かりました」
マリミエドが答えると、皆が頷いた。
それを見てから世界樹の精霊が言う。
「ーーその因果律は、それでいが…その次の因果律であるマリアが、今度は魔のモノとなるだろう」
「え…何故ですか?」
マリミエドが聞くと、世界樹の精霊はあざ笑う。
「〝ゲーム〟としてしか見ていないからだ。ここが現実の世界だと分かっていない…」
「魔の者になったら、どうなるのですか?」
「地上を支配しようとしている魔物に囚われ、何処かで新たな因果律となる。何処かはまだ分からない」
「それを防ぐ方法は?」
「現実だと分からせれば良い…あと4日…いや、3日しか無いがな」
そう言い、世界樹の精霊と世界樹はスゥーッと消えて、皆は宝物殿に戻る。
「3日で…現実だと分からせる…」
ユークレースが呟いてから、アルビオンが言う。
「いや、生まれてからずっとゲームだと思っている女だぞ?今更無理じゃないのか?」
「今も、ゲームだと思っているのか?」
レアノルドが聞くと、ギルベルトが頷く。
「俺とリュミのデザイナーを落としたかったそうなので、会わせてやったらもうイチャイチャと恋人になっているよ」
「え?王太子は?」
「どーでもいいんだろう。元から〝キープ〟と書いてあったしね。まずは出ようか…聖魔塔で話そう」
そう言いギルベルトはマリミエドをエスコートして歩き出した。
皆も頷いてついて行った。
「言いたい事が分かるか?大魔道士」
するとユークレースはテレパシーを使った。
『分かる!分かるから喋らせろ!』
皆には聞こえず、世界樹の精霊だけがその声を拾う。
世界樹の精霊はフッと笑ってユークレースの金縛りを解く。
「俺が、出来るんだマリミエド嬢!」
「え…?」
「夢でそいつ…」
言い掛けると世界樹の精霊にギロリと睨まれたのでユークレースは言い直す。
「世界樹の精霊から、世界樹の樹液を飲まされたんだ!だからその力はある!」
そうマリミエドに言ってから、ユークレースは世界樹の精霊を見た。
「神聖呪法を手に入れた今、悪しき魔物の浄化を行う!俺の友人達を守る!それがあの問いの答えだ!」
そう言うと、世界樹の精霊は苦笑した。
「与えてやった力だ、国中の悪しき魔物を浄化出来るだろう?」
「…やってみる」
そう答えたので良しとする。
するとマリミエドがユークレースに言う。
「間違って、何も悪くない魔物まで消さないで下さいね?」
「何…?」
ユークレースが眉をしかめるので、世界樹の精霊が首を傾げる。
「魔物との盟約などの話をしていないのか?」
「その…信じて貰えないと思って…」
マリミエドが俯いて言うと、世界樹の精霊がその頭を撫でる。
「では、今詰め込んでやるから…」
そう言って世界樹の精霊は手をかざしてマリミエド以外の全員の体に風で葉を一枚ずつ当てた。
体に当たると葉は体の中に入り込んで、その者の頭の中にマリミエドとギルベルトとアルビオンが知った真実が流れ込む。
それと共に、マリミエドの断罪から処刑される場面までが頭に映し出した。
「死にたくない…イヤあぁあ!!」
その悲痛な叫びと共に、全員がハッとして金縛りが解け、膝をつく。
そして首を押さえて青ざめた。
「どうだ、信じる気になったか?わざわざマリミエドの立場にさせてやったのだ…断罪イベントからの処刑シーン、とやらだ…気分は?」
そう世界樹の精霊が聞く。
「くっ…」
ギルベルトが呻きながらもマリミエドの側に来て肩を抱く。
「必ず…必ず守る!」
「お兄様…」
マリミエドはギルベルトを心配しながらも、嬉しさで涙を浮かべる。
するとアルビオンもマリミエドを見て頷く。
「辛かったな、だが心配はいらん…あんな王太子ならば誰も支持はしないし、させない!そして皇帝になどさせん!」
「ヴィルヘルム令息…」
「アルビオンでいい。大丈夫だ」
「ありがとう、アルビオン公子」
まだ何かを言おうとすると、ユークレースがマリミエドに言う。
「疑って済まなかった……今後は君達の話を聞くと誓う」
「ありがとう、アーダルベルト令」
「ユークレースだ」
言い掛けたのを遮って言う。
「ユークレース公子」
そうマリミエドが言うのを聞いてユークレースは頷く。
「俺も…俺達も同じだ」
レアノルドがクリフォードを見て言う。マリミエドは微笑んで2人に頷き、皆を見る。
「ありがとう、レアノルド公子、クリフォード公子。信じてくれるのは嬉しいですが…それはまだ起きていない事です。王太子殿下の様子も変わっています。…ですから、王太子殿下を廃嫡する動きはなさらないで下さいね?」
「何を言って…」
アルビオンが言い掛けてハッとして、何かを喋ろうとしているユークレースの口を手で塞いだ。
「ユークレース、今言い合う事ではない。今は狩猟大会の事を聞かねばならんのだ」
「ぇえい分かっている!口を塞ぐな!」
そう言いユークレースは世界樹の精霊を見る。
「浄化の後は?!」
「ふん、落ち着いたようだね。…浄化して魔物が居なくなったら、魔物と化した転生者が居る。そいつにアイテムを全て見せて気を逸らしてから浄化を使うんだ。そうすれば元の転生者の姿になる…その時にアイテムをくれてやれば、自ずと元の世界に還るだろう。そうしたら、その場所の時空の歪みを封印出来よう」
「分かりました」
マリミエドが答えると、皆が頷いた。
それを見てから世界樹の精霊が言う。
「ーーその因果律は、それでいが…その次の因果律であるマリアが、今度は魔のモノとなるだろう」
「え…何故ですか?」
マリミエドが聞くと、世界樹の精霊はあざ笑う。
「〝ゲーム〟としてしか見ていないからだ。ここが現実の世界だと分かっていない…」
「魔の者になったら、どうなるのですか?」
「地上を支配しようとしている魔物に囚われ、何処かで新たな因果律となる。何処かはまだ分からない」
「それを防ぐ方法は?」
「現実だと分からせれば良い…あと4日…いや、3日しか無いがな」
そう言い、世界樹の精霊と世界樹はスゥーッと消えて、皆は宝物殿に戻る。
「3日で…現実だと分からせる…」
ユークレースが呟いてから、アルビオンが言う。
「いや、生まれてからずっとゲームだと思っている女だぞ?今更無理じゃないのか?」
「今も、ゲームだと思っているのか?」
レアノルドが聞くと、ギルベルトが頷く。
「俺とリュミのデザイナーを落としたかったそうなので、会わせてやったらもうイチャイチャと恋人になっているよ」
「え?王太子は?」
「どーでもいいんだろう。元から〝キープ〟と書いてあったしね。まずは出ようか…聖魔塔で話そう」
そう言いギルベルトはマリミエドをエスコートして歩き出した。
皆も頷いてついて行った。
1
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる