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第二幕 回避の為=世界の為
vs39 ティータイム
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いつもの公園のガゼボでギルベルトとマリミエド、クリフォードとレアノルドがティータイムにしていた。
クリフォードはフルーツを沢山添えて紅茶を出す。
「メイナード令嬢が気に入ったってレアノルドから聞いてね、色んなフルーツを用意したよ」
「ありがとう。お兄様、このフルーツを紅茶に入れると美味しいのよ」
笑ってマリミエドが勧めるので、ギルベルトはレモンとラズベリーを入れて飲む。
「…うん、悪くない。クリフォードは紅茶店でも出すのかな」
「それはいいな…投資してくれるなら考えるよ」
「…資金ならあるだろう」
ギルベルトは笑って言う。
レアノルドはマリミエドに話す。
「この前のパーティーでダンスに誘えなかったから後悔しているんだ。渡しそびれたけど…これを」
そう言ってレアノルドは箱を渡す。
「開けてみても?」
「勿論」
レアノルドが微笑んで言うのでマリミエドはドキドキしながらリボンをほどいた。
箱の中身はシャンパンピンクの花をあしらった可愛い万年筆だった。
「まあ、素敵!」
「これを見て、一目で君に似合うと思って買ったんだ。カフスのお礼に…気に入ってくれると嬉しいよ」
レアノルドが照れながら言う。
その袖口には、プレゼントしたルベライトのカフスが着けてある。
マリミエドは微笑んで万年筆を鞄に入れた。
「ありがとうございます、ヴァルムント令息。大切に使いますわ」
そう言って笑い合う。
先程とは違って穏やかな笑みだ。
ギルベルトは小さなため息を吐いて微笑し、紅茶を飲む。
〈リュミが笑うのは嬉しいが…こいつらも下心が透けて見えるな………ユークレースみたいに使えないものか…〉
いっそマリアに向いてしまえば煩わしく無いのだが、それではマリミエドが不安がる。
ユークレースは魔力が高いから協力してもらったが、この2人はどちらかというと騎士のタイプだ。
〈狩猟大会でなら、何か頼めそうだな〉
ギルベルトは2人の利用方法を考えながら歓談した。
晩餐の席。
「7日後は神殿祭だな。花の乙女は王太子妃候補から2人選ばれる。よく励みなさい」
父がそう言う。
マリミエドはただ頷いた。
神殿祭とは、神や女神を祀る行事だ。
神殿を浄化する為に、聖なる花を石像の周りに置く。
聖なる花は紫色のオダマキ草で、聖女が7日掛けて蕾から開花させるのだ。
その花を石像の周りに置くと金色に輝く。
花を置く役目の者は〝花の乙女〟と呼ばれていて、マリミエドは過去に5回、花の乙女をしている。
その日は、国を上げてのお祭りとなるので活気付くのだ。
〈神殿祭って貴族で呼んでいるけれど、平民の間では〝花祭り〟って呼ばれているのよね…どんなお祭りなのかしら〉
興味はあるが、行く機会の無い祭りだ。
食後のティータイムで、マリミエドはギルベルトと共にマリア攻略に向けてイベントの予習をしていた。
聖女候補も、この7日間は忙しいらしい。
「今日もマリアに会いに行きましたが、忙しいから花祭りの後で、と言われました」
アメリアが報告する。
「そう…ではゆっくり出来るのね」
「では俺はアイテム探しに集中するよ」
ギルベルトはそう言ってマリミエドの手の甲にキスをして自室に行った。
「わたくしも探せたらいいのに…」
そう呟いてマリミエドはため息を吐く。
しかし、花を探すなら風か大地の属性が必須で、得意でなければならない。
「では、操ってみてはどうでしょうか?」
エレナが言う。
「そうね、お風呂の後にやってみるわ」
マリミエドは微笑んで部屋に向かう。
お風呂に入ってネグリジェに着替えてから、マリミエドは風を操って物の位置が分かるかどうかを確かめてみる。
「んー…はあ」
マリミエドは息を吐いて椅子に座る。
「駄目だわ…お兄様のように出来ない…」
自分で見るように魔法で何かを感知するのは難しい…。
「探知魔法の性能を上げればいいのよ!」
そう言って探知魔法を使う。
その日はベッドに入るまで探知魔法を使っていた。
クリフォードはフルーツを沢山添えて紅茶を出す。
「メイナード令嬢が気に入ったってレアノルドから聞いてね、色んなフルーツを用意したよ」
「ありがとう。お兄様、このフルーツを紅茶に入れると美味しいのよ」
笑ってマリミエドが勧めるので、ギルベルトはレモンとラズベリーを入れて飲む。
「…うん、悪くない。クリフォードは紅茶店でも出すのかな」
「それはいいな…投資してくれるなら考えるよ」
「…資金ならあるだろう」
ギルベルトは笑って言う。
レアノルドはマリミエドに話す。
「この前のパーティーでダンスに誘えなかったから後悔しているんだ。渡しそびれたけど…これを」
そう言ってレアノルドは箱を渡す。
「開けてみても?」
「勿論」
レアノルドが微笑んで言うのでマリミエドはドキドキしながらリボンをほどいた。
箱の中身はシャンパンピンクの花をあしらった可愛い万年筆だった。
「まあ、素敵!」
「これを見て、一目で君に似合うと思って買ったんだ。カフスのお礼に…気に入ってくれると嬉しいよ」
レアノルドが照れながら言う。
その袖口には、プレゼントしたルベライトのカフスが着けてある。
マリミエドは微笑んで万年筆を鞄に入れた。
「ありがとうございます、ヴァルムント令息。大切に使いますわ」
そう言って笑い合う。
先程とは違って穏やかな笑みだ。
ギルベルトは小さなため息を吐いて微笑し、紅茶を飲む。
〈リュミが笑うのは嬉しいが…こいつらも下心が透けて見えるな………ユークレースみたいに使えないものか…〉
いっそマリアに向いてしまえば煩わしく無いのだが、それではマリミエドが不安がる。
ユークレースは魔力が高いから協力してもらったが、この2人はどちらかというと騎士のタイプだ。
〈狩猟大会でなら、何か頼めそうだな〉
ギルベルトは2人の利用方法を考えながら歓談した。
晩餐の席。
「7日後は神殿祭だな。花の乙女は王太子妃候補から2人選ばれる。よく励みなさい」
父がそう言う。
マリミエドはただ頷いた。
神殿祭とは、神や女神を祀る行事だ。
神殿を浄化する為に、聖なる花を石像の周りに置く。
聖なる花は紫色のオダマキ草で、聖女が7日掛けて蕾から開花させるのだ。
その花を石像の周りに置くと金色に輝く。
花を置く役目の者は〝花の乙女〟と呼ばれていて、マリミエドは過去に5回、花の乙女をしている。
その日は、国を上げてのお祭りとなるので活気付くのだ。
〈神殿祭って貴族で呼んでいるけれど、平民の間では〝花祭り〟って呼ばれているのよね…どんなお祭りなのかしら〉
興味はあるが、行く機会の無い祭りだ。
食後のティータイムで、マリミエドはギルベルトと共にマリア攻略に向けてイベントの予習をしていた。
聖女候補も、この7日間は忙しいらしい。
「今日もマリアに会いに行きましたが、忙しいから花祭りの後で、と言われました」
アメリアが報告する。
「そう…ではゆっくり出来るのね」
「では俺はアイテム探しに集中するよ」
ギルベルトはそう言ってマリミエドの手の甲にキスをして自室に行った。
「わたくしも探せたらいいのに…」
そう呟いてマリミエドはため息を吐く。
しかし、花を探すなら風か大地の属性が必須で、得意でなければならない。
「では、操ってみてはどうでしょうか?」
エレナが言う。
「そうね、お風呂の後にやってみるわ」
マリミエドは微笑んで部屋に向かう。
お風呂に入ってネグリジェに着替えてから、マリミエドは風を操って物の位置が分かるかどうかを確かめてみる。
「んー…はあ」
マリミエドは息を吐いて椅子に座る。
「駄目だわ…お兄様のように出来ない…」
自分で見るように魔法で何かを感知するのは難しい…。
「探知魔法の性能を上げればいいのよ!」
そう言って探知魔法を使う。
その日はベッドに入るまで探知魔法を使っていた。
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