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第二幕 回避の為=世界の為
vs28 王立歌劇団
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翌日。
ギルベルトはムクッと起きて、寝ぼけたまま机に行く。
そして引き出しから小箱を取り出して開け、中の〝木の針〟を取り出して長めのベストのポケットに入れた。
「よし、これでいいだろう…」
そう呟いて窓から外を眺める。
今日はいい天気だ。
「リュミとのデートか。劇の後はランチを取って…何処に行こうかな…楽しみだ」
笑って言い、身支度を整えた。
一方のマリミエドは、バスローブ姿で着る服を迷っていた。
「藤色…いえ、水色の……うーん…」
アメリアとエレナが両手に一着ずつ、お気に入りの外出用のドレスを持って貰っていた。
4着を前に当てて全身鏡で確認しながら、帽子と靴と鞄を合わせる。
「やっぱり水色で統一するわ。髪はまとめて頂戴」
「かしこまりました」
エレナとアメリアはホッとして支度に取り掛かった。
朝食まで時間が無いからだ。
大急ぎで支度をして部屋を出ると、すぐ側のソファーに紺色のコートを着たギルベルトが座って本を読んでいた。
「ああ、やっと出てきたか」
「ごめんなさい!待っていて下さっているなんて気付かなくて…」
「いいんだよ、勝手に待っていたんだから」
笑って言ってギルベルトはマリミエドをエスコートする。
父は先に朝食を済ませていたので、母と妹達との朝食だった。
…が、やはりいつも通りに特に会話もなく外に出る。
馬車の中で、マリミエドはパンフレットを何度も読み返していた。
いよいよ劇場に着くと、バルコニー席に座り、マリミエドは早速オペラグラスで舞台を見たり、パンフレットを確認したりと落ち着きがなかった。
ギルベルトはそれを微笑みながら見つめる。
劇が始まると、マリミエドは両手を組んで祈りながら食い入るように見つめていた。
冒険、恋愛、別れーーー劇の内容に合わせて表情がコロコロと変わる。
「ーーーここに、グルヴェイル王国を築くのだ!」
初代皇帝役の男が叫んで手を挙げて幕が閉じた。
盛大な拍手が送られる中で、マリミエドは喜んで拍手をしていたので、ギルベルトもそんなマリミエドに対して拍手を送った。
エスコートして劇場を出ると、ギルベルトはメモ帳を見る。
この辺りのレストランの名前をリストアップしておいたのだ。
「リュミ、何が食べたい?」
「それなら、初代皇帝が召し上がっていた大きくて長いソーセージが食べてみたいですわ!」
喜んでそう言うので、ギルベルトはクスッと笑って歩き出す。
「ではあそこのレストランだな。劇に合わせた料理を出しているらしいよ」
「まあ楽しみ!」
レストランに入ると、個室は無かったので人目に付かない奥の席を利用した。
そこでオススメの料理を頼むと、煮込まれていたシチューが大きな皿に盛られて運ばれてきた。
「沢山食べてね!」
そう言って小太りな婦人が笑顔で置いていく。
そしてすぐにプレッツェルと小さなパンの入ったカゴを持って来て置いた。
「おかわりもあるからね!」
そう言ってあちこちの席に行く。
フルコースとは違って、次から次に運ばれてきた。
「まだスープも飲み切ってないわ…」
「好きに食べていいんだよ、ほら、周りの客も自由に食べてるだろう?」
ギルベルトに言われて周りを見ると、お喋りしながらゆっくり食べている。
そこに今度は大きなソーセージが運ばれてきた。
「はい、ソーセージ! それから塩漬けキャベツとマッシュポテトもね! あと、鯉の唐揚げと野菜の肉巻きもあるから…そうそう、デザートはベリートルテとバウムクーヘン、どっちがいい?」
一気に言われて迷いながらもマリミエドが答える。
「ベリートルテでお願いします」
「はいよ!お兄さん甘いのは平気かい?」
「いや、余り…」
「ならレープクーヘンのコーティング無しをあげるよ!たまに甘いのが苦手な人に出してるんだ」
「どうも…」
答えると、また女性はあちこちに行く。
「陽気なお店ね」
マリミエドはクスクスと笑いながら食べた。
気に入ってくれたようだ。
ソーセージはハーブが効いていて、とても美味しかった。
会計で自分達と護衛騎士や御者、エレナとアメリアの分をまとめて払ったら、お土産にレープクーヘンをケーキの箱一杯に貰った。
折角なので、皆で一個ずつ食べた。
「このミニケーキ? みたいなレープクーヘン、スパイシーね…シナモンと胡椒かしら?」
「ジンジャーだわ…そっちは?」
とエレナとアメリアが護衛騎士達と話している。
「この後はどうする?」
ギルベルトが聞くと、マリミエドは一口かじったレープクーヘンを見つめながら言う。
「協力して下さる方を探さないと…」
「ユークレースかな」
そう言ってヒョイとそのレープクーヘンをマリミエドから奪い取って食べてギルベルトは馬車の中に箱を置く。
「あっ!食べ掛け…!」
「苦手な味だろう?リュミは子供だから」
クスクス笑いながらギルベルトが言い、マリミエドの手を取る。
「では聖魔塔に向かおうか」
「…酔わないかしら…」
「2回目だから慣れてきてるさ」
そうギルベルトが言うと、マリミエドはやっと馬車の中に入る。
ギルベルトはムクッと起きて、寝ぼけたまま机に行く。
そして引き出しから小箱を取り出して開け、中の〝木の針〟を取り出して長めのベストのポケットに入れた。
「よし、これでいいだろう…」
そう呟いて窓から外を眺める。
今日はいい天気だ。
「リュミとのデートか。劇の後はランチを取って…何処に行こうかな…楽しみだ」
笑って言い、身支度を整えた。
一方のマリミエドは、バスローブ姿で着る服を迷っていた。
「藤色…いえ、水色の……うーん…」
アメリアとエレナが両手に一着ずつ、お気に入りの外出用のドレスを持って貰っていた。
4着を前に当てて全身鏡で確認しながら、帽子と靴と鞄を合わせる。
「やっぱり水色で統一するわ。髪はまとめて頂戴」
「かしこまりました」
エレナとアメリアはホッとして支度に取り掛かった。
朝食まで時間が無いからだ。
大急ぎで支度をして部屋を出ると、すぐ側のソファーに紺色のコートを着たギルベルトが座って本を読んでいた。
「ああ、やっと出てきたか」
「ごめんなさい!待っていて下さっているなんて気付かなくて…」
「いいんだよ、勝手に待っていたんだから」
笑って言ってギルベルトはマリミエドをエスコートする。
父は先に朝食を済ませていたので、母と妹達との朝食だった。
…が、やはりいつも通りに特に会話もなく外に出る。
馬車の中で、マリミエドはパンフレットを何度も読み返していた。
いよいよ劇場に着くと、バルコニー席に座り、マリミエドは早速オペラグラスで舞台を見たり、パンフレットを確認したりと落ち着きがなかった。
ギルベルトはそれを微笑みながら見つめる。
劇が始まると、マリミエドは両手を組んで祈りながら食い入るように見つめていた。
冒険、恋愛、別れーーー劇の内容に合わせて表情がコロコロと変わる。
「ーーーここに、グルヴェイル王国を築くのだ!」
初代皇帝役の男が叫んで手を挙げて幕が閉じた。
盛大な拍手が送られる中で、マリミエドは喜んで拍手をしていたので、ギルベルトもそんなマリミエドに対して拍手を送った。
エスコートして劇場を出ると、ギルベルトはメモ帳を見る。
この辺りのレストランの名前をリストアップしておいたのだ。
「リュミ、何が食べたい?」
「それなら、初代皇帝が召し上がっていた大きくて長いソーセージが食べてみたいですわ!」
喜んでそう言うので、ギルベルトはクスッと笑って歩き出す。
「ではあそこのレストランだな。劇に合わせた料理を出しているらしいよ」
「まあ楽しみ!」
レストランに入ると、個室は無かったので人目に付かない奥の席を利用した。
そこでオススメの料理を頼むと、煮込まれていたシチューが大きな皿に盛られて運ばれてきた。
「沢山食べてね!」
そう言って小太りな婦人が笑顔で置いていく。
そしてすぐにプレッツェルと小さなパンの入ったカゴを持って来て置いた。
「おかわりもあるからね!」
そう言ってあちこちの席に行く。
フルコースとは違って、次から次に運ばれてきた。
「まだスープも飲み切ってないわ…」
「好きに食べていいんだよ、ほら、周りの客も自由に食べてるだろう?」
ギルベルトに言われて周りを見ると、お喋りしながらゆっくり食べている。
そこに今度は大きなソーセージが運ばれてきた。
「はい、ソーセージ! それから塩漬けキャベツとマッシュポテトもね! あと、鯉の唐揚げと野菜の肉巻きもあるから…そうそう、デザートはベリートルテとバウムクーヘン、どっちがいい?」
一気に言われて迷いながらもマリミエドが答える。
「ベリートルテでお願いします」
「はいよ!お兄さん甘いのは平気かい?」
「いや、余り…」
「ならレープクーヘンのコーティング無しをあげるよ!たまに甘いのが苦手な人に出してるんだ」
「どうも…」
答えると、また女性はあちこちに行く。
「陽気なお店ね」
マリミエドはクスクスと笑いながら食べた。
気に入ってくれたようだ。
ソーセージはハーブが効いていて、とても美味しかった。
会計で自分達と護衛騎士や御者、エレナとアメリアの分をまとめて払ったら、お土産にレープクーヘンをケーキの箱一杯に貰った。
折角なので、皆で一個ずつ食べた。
「このミニケーキ? みたいなレープクーヘン、スパイシーね…シナモンと胡椒かしら?」
「ジンジャーだわ…そっちは?」
とエレナとアメリアが護衛騎士達と話している。
「この後はどうする?」
ギルベルトが聞くと、マリミエドは一口かじったレープクーヘンを見つめながら言う。
「協力して下さる方を探さないと…」
「ユークレースかな」
そう言ってヒョイとそのレープクーヘンをマリミエドから奪い取って食べてギルベルトは馬車の中に箱を置く。
「あっ!食べ掛け…!」
「苦手な味だろう?リュミは子供だから」
クスクス笑いながらギルベルトが言い、マリミエドの手を取る。
「では聖魔塔に向かおうか」
「…酔わないかしら…」
「2回目だから慣れてきてるさ」
そうギルベルトが言うと、マリミエドはやっと馬車の中に入る。
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