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第二幕 回避の為=世界の為
vs08 大勢でのランチタイム
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翌日。
テストは朝から昼前まで掛かった。
この後、ランチを挟んで一時間だけ魔法のテストが外で行われて終わりだ。
マリミエドはペンなどを片付けてふと思い出す。
〈そういえばこの後でマリアさんが子猫を抱いて教室に来た筈だわ。確か〝校庭で子猫を拾ったの、衰弱しているからジューイさんに見せたいのだけれど〟と言うのよね。ジューイって誰かしら?〉
そう思っていると、マリアが子猫を抱いて教室に入ってくる。
「校庭で子猫を拾ったの、衰弱しているから獣医さんに見せたいのだけれど…」
「何?あら…可哀相ね、早く癒してあげてよ」
友人の一人が言う。
「え、でも…」
何故かマリアは戸惑っている。
癒せば衰弱も治る筈だが、何故やらないのだろうか?
「どうしたの?早く治してあげて!」
違う友人に言われてマリアはやっと回復を使う。
「回復!」
パアッと光が子猫を包み、消える。
…しかし衰弱したままだ。
〈あら?〉
マリミエドが首を傾げるのと同じく、皆が首を傾げた。
「どうしたの?」
「今のはヒールだよな?」
「治らない…?」
ザワザワとし始める中、マリアは泣きそうな顔で子猫を抱いている。
〈そんなの私が知りたいわよ!この世界ちょっとおかしいのよ、衰弱がヒールなんかで治る訳ないじゃない!〉
マリアが心で叫ぶ。
マリミエドは荷物を手にソフィアと共にランチに行く。
すると出入り口でレアノルドとクリフォード、そしてギルベルトとユークレースが待っていた。
「お兄様!あの…」
「一緒にランチをしようと思って待っていたんだよ」
ギルベルトが言い、マリミエドをエスコートする。
ソフィアはクリフォードのエスコートを受けた。
「ここで待っていなさい、色々と取ってくるよ」
そうギルベルトが言い、男4人で食事を取りに行く。
「お兄様、余り大量には…」
「聞こえてませんわね」
ソフィアが苦笑して言い、紅茶を飲む。
「2日後には王女陛下のお誕生日パーティーてすけれど、メイナード令嬢はもうドレスが届きまして?」
「ええ、素敵な仕上がりになったわ。ライニング令嬢は?」
「私も間に合ってホッとしてますわ。メイナード令嬢のドレス、楽しみにしてますね!」
「ふふ…ありがとう」
楽しく会話をしている所に、男性4人が沢山の料理をワゴンで運んで来た。
「さあ食べよう!」
「お兄様…」
また沢山あるので、マリミエドはソフィアと顔を見合わせて苦笑した。
6人でランチを楽しんで、食後の紅茶を飲みながら歓談していると、シリウス・グラントールがやってきて右足を引き右手を胸に当て左手を水平に横に出すお辞儀をして挨拶をする。
「ご機嫌よう、皆さん」
「ご機嫌よう、どうしたかね?」
一番家が格上のギルベルトが答える。
するとシリウスは戸惑いながらも言う。
「その…メイナード侯爵令嬢にお礼を申し上げたくて、失礼を承知で参りました」
「お礼?」
マリミエドがシリウスに聞くと、シリウスは笑顔で答えた。
「はい!この前はありがとうございました!!調べたら使わないクローゼットに黒カビがあって、それを捨てたら妹の容態がみるみる良くなってきたんです!本当に何と感謝していいか…ペンダントの時も、メイナード令嬢だったんですよね!俺、どうお礼をすればいいのか分からなくて……」
シリウスは興奮しながらも、涙を浮かべて言う。
「そう、良かったわ。妹さんが治る事が、お礼よ。気になさらないで」
微笑んで言うマリミエドが女神に見えて、ギルベルトとシリウスとレアノルドとクリフォード、そしてユークレースとソフィアまでもが胸を押さえた。
「あの……?」
皆で何か悶えているようなので、戸惑ってマリミエドが聞くと、全員が咳払いをした。
そしてシリウスが喋る。
「な、なんでもないです…妹が、今度お礼の手紙を書きたいと言うのですが…宜しいでしょうか?」
「ええ喜んでお待ちしておりますわ」
マリミエドの返事を聞き、シリウスは再びお辞儀をして去っていった。
「黒カビとは?」
レアノルドが聞くと、マリミエドは微笑んで答える。
「グラントール令嬢の病についてですわ。以前、我が家のメイドの部屋にカビが発生して、それが原因で子供達に病が生じましたの。だから、それを参考に申し上げただけですわ。お役に立てて良かった…早く良くなられるといいですわよね」
「ああ」
思わず皆で返事をしてしまい、ハッとしてギルベルトを見てから目を逸らして咳払いで誤魔化した。
テストは朝から昼前まで掛かった。
この後、ランチを挟んで一時間だけ魔法のテストが外で行われて終わりだ。
マリミエドはペンなどを片付けてふと思い出す。
〈そういえばこの後でマリアさんが子猫を抱いて教室に来た筈だわ。確か〝校庭で子猫を拾ったの、衰弱しているからジューイさんに見せたいのだけれど〟と言うのよね。ジューイって誰かしら?〉
そう思っていると、マリアが子猫を抱いて教室に入ってくる。
「校庭で子猫を拾ったの、衰弱しているから獣医さんに見せたいのだけれど…」
「何?あら…可哀相ね、早く癒してあげてよ」
友人の一人が言う。
「え、でも…」
何故かマリアは戸惑っている。
癒せば衰弱も治る筈だが、何故やらないのだろうか?
「どうしたの?早く治してあげて!」
違う友人に言われてマリアはやっと回復を使う。
「回復!」
パアッと光が子猫を包み、消える。
…しかし衰弱したままだ。
〈あら?〉
マリミエドが首を傾げるのと同じく、皆が首を傾げた。
「どうしたの?」
「今のはヒールだよな?」
「治らない…?」
ザワザワとし始める中、マリアは泣きそうな顔で子猫を抱いている。
〈そんなの私が知りたいわよ!この世界ちょっとおかしいのよ、衰弱がヒールなんかで治る訳ないじゃない!〉
マリアが心で叫ぶ。
マリミエドは荷物を手にソフィアと共にランチに行く。
すると出入り口でレアノルドとクリフォード、そしてギルベルトとユークレースが待っていた。
「お兄様!あの…」
「一緒にランチをしようと思って待っていたんだよ」
ギルベルトが言い、マリミエドをエスコートする。
ソフィアはクリフォードのエスコートを受けた。
「ここで待っていなさい、色々と取ってくるよ」
そうギルベルトが言い、男4人で食事を取りに行く。
「お兄様、余り大量には…」
「聞こえてませんわね」
ソフィアが苦笑して言い、紅茶を飲む。
「2日後には王女陛下のお誕生日パーティーてすけれど、メイナード令嬢はもうドレスが届きまして?」
「ええ、素敵な仕上がりになったわ。ライニング令嬢は?」
「私も間に合ってホッとしてますわ。メイナード令嬢のドレス、楽しみにしてますね!」
「ふふ…ありがとう」
楽しく会話をしている所に、男性4人が沢山の料理をワゴンで運んで来た。
「さあ食べよう!」
「お兄様…」
また沢山あるので、マリミエドはソフィアと顔を見合わせて苦笑した。
6人でランチを楽しんで、食後の紅茶を飲みながら歓談していると、シリウス・グラントールがやってきて右足を引き右手を胸に当て左手を水平に横に出すお辞儀をして挨拶をする。
「ご機嫌よう、皆さん」
「ご機嫌よう、どうしたかね?」
一番家が格上のギルベルトが答える。
するとシリウスは戸惑いながらも言う。
「その…メイナード侯爵令嬢にお礼を申し上げたくて、失礼を承知で参りました」
「お礼?」
マリミエドがシリウスに聞くと、シリウスは笑顔で答えた。
「はい!この前はありがとうございました!!調べたら使わないクローゼットに黒カビがあって、それを捨てたら妹の容態がみるみる良くなってきたんです!本当に何と感謝していいか…ペンダントの時も、メイナード令嬢だったんですよね!俺、どうお礼をすればいいのか分からなくて……」
シリウスは興奮しながらも、涙を浮かべて言う。
「そう、良かったわ。妹さんが治る事が、お礼よ。気になさらないで」
微笑んで言うマリミエドが女神に見えて、ギルベルトとシリウスとレアノルドとクリフォード、そしてユークレースとソフィアまでもが胸を押さえた。
「あの……?」
皆で何か悶えているようなので、戸惑ってマリミエドが聞くと、全員が咳払いをした。
そしてシリウスが喋る。
「な、なんでもないです…妹が、今度お礼の手紙を書きたいと言うのですが…宜しいでしょうか?」
「ええ喜んでお待ちしておりますわ」
マリミエドの返事を聞き、シリウスは再びお辞儀をして去っていった。
「黒カビとは?」
レアノルドが聞くと、マリミエドは微笑んで答える。
「グラントール令嬢の病についてですわ。以前、我が家のメイドの部屋にカビが発生して、それが原因で子供達に病が生じましたの。だから、それを参考に申し上げただけですわ。お役に立てて良かった…早く良くなられるといいですわよね」
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