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第二幕 回避の為=世界の為
vs02 聖魔塔
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この国には、3つの塔がある。
聖塔は、神殿と共に神聖力を司り、神の声を神殿に届ける役目を持つ。
魔塔は、魔物の研究や邪気・瘴気を解明する役目を持つ。
そして聖魔塔は、神聖力と魔力を用いる研究や魔石の開発などを行う場所である。
それぞれに管理を行う者を〝主〟と呼んだが、聖魔塔の主だけは〝魔道師〟と呼ばれた。
その聖魔塔の管理者の引き継ぎを、卒業したら魔道師となるユークレースが行っているのだ。
「ふー…やっと一段落付いたな…」
ユークレースが呟いて椅子に座り冷めた紅茶を飲む。
その時、机に置かれた水晶に来訪者の馬車が映し出されてユークレースはグッと紅茶を喉に詰まらせてむせた。
「ゲホッゲホゲホ………ギルベルトか?!また血の鑑定にでも来たのか?!」
馬車の紋章で叫び、居留守を使おうとして止まる。
馬車からマリミエドも降りてきたからだ。
「…何だ…?まさか実物で検査しろとでも言いたいのか…?」
ユークレースは手を顎に当てて考える。
今まで何度も、ギルベルトが鑑定を依頼してきた。
最初の調査は確か6年前ーーー。
サンリエド中等学院に入りたての頃だ。
誰かの婚外子の調査かと思って真剣に調査した。
「…どうだった?」
調査結果を心待ちにしていたギルベルトが真剣に尋ねる。
ユークレースは調査報告書をテーブルに出す。
「この二つの血液からは、親子または兄弟であると99.9999%証明された。完全に親族だが、これは父君と婚外子の調査か何かか?」
「いや、俺とマリミエドの物だ」
「ーーーは?」
「そうか、残りの可能性は0.0001%もあるのか…」
「いやいや、マリミエドって完全に妹だろう!?」
「いや、だって0.0001%違うんだろう?」
「もはや百だろう!何を馬鹿な事をしているんだ…君の所は両親共ご顕在で後妻や側室も居ないと聞いているぞ!」
「うん、しかし0.0001…希望はあるさ」
「…仮に違うとして、何があるというんだ…?」
呆れながらもドキドキして聞いてみると、ギルベルトは笑顔で答える。
「その時は晴れてマリミエドを我が花嫁として迎えるんだ!無論、結婚式には君も招待するよ」
「ーーーー…」
本気で言っているのが分かり、ユークレースは言葉を失った。
そして、こんな男が兄では大変だなとも思ったのだ。
そんな調査をギルベルトは月に一回は頼んできた。
馬鹿らしくて断ろうとすると、聖魔塔にとって欲しいアイテムを差し出してくるのだ。
「今度こそ違うと思うぞ!」とか
「これは間違いなく違う結果が出るだろう!」
と言って毎回 笑顔で持って来るギルベルトがウザったくて馬鹿らしくて、しかし見離せなくて気が付けば友人となっていたのだが…。
「今度は一体、なんだろうか…」
少し気になり、ユークレースは聖魔塔の門を開けた。
「ここが、聖魔塔………?」
ガランとした広い空間。
真ん中にシャンデリアがあり、周りには彫刻や絵画が飾られているが…。
不思議がっていると、ギルベルトがマリミエドをエスコートして中央に行く。
「エレナ達はそこに居てくれ」
そう言ってシャンデリアの下に立つと、ギルベルトは天井を見て言う。
「メイナード侯爵家が嫡子、ギルベルト」
『音声ヲ認識シマシタ、ドウゾオ入リ下サイ』
そう声がして、天井から床に青白い光が伸びて二人が消えた。
聖魔塔の内部、二階にテレポートしたギルベルトはそのまま歩こうとして止まる。
マリミエドが驚いて全く動かないからだ。
「リュミ、平気か?」
「あ、の……なんだか、クラクラして…」
「ああ!気付かなくて済まない!魔力酔いだな…テレポートは体に圧力が掛かるから……抱き上げていいか?」
「…ごめんなさい、お兄様…」
マリミエドは頷いてギルベルトの首に手を回す。
ギルベルトがマリミエドを抱き上げて3階まで歩いていくと、書類作成をしていたユークレースが驚く。
「まさか改造しろとでも言うのか?!」
「え?」
ギルベルトとマリミエドがキョトンとしたので、ユークレースは赤くなりながら手のひらを向けて言う。
「ああいや、気にしないでくれ……」
「変な奴だな」
変な男に変呼ばわりされてムッとしながらも、ユークレースはソファーにクッションを並べた。
「こちらにどうぞ」
「ありがとう」
ギルベルトが答えてソファーにマリミエドを降ろす。
「あの…ごめんなさい…少しだけ横にさせて下さい…」
マリミエドが弱々しく言う。
「もしかしてテレポートの魔力酔いか?」
「そうらしい。済まないが、何かいい薬は無いか?」
ギルベルトが聞くと、ユークレースは薬箱を持ってきてテーブルに置く。
「ええと…液体か錠剤にした酔い止めの薬があった筈なんだが………あったあった」
そう言って、ユークレースはマリミエドに液体の入った青い小さな小瓶を手渡す。
「一口分だから平気な筈だ」
「…平気、と申しますと…お味が悪いのですか…?」
「さすが鋭いな。辛味があるハッカの成分が入っているんだ」
「…ありがとうございます…頑張りますわ」
そう言ってマリミエドは瓶の蓋を開けて、一気に飲む。
そしてうつ伏せになってむせる。
「ケホッケホ…」
「だ…」
ユークレースが言おうとするとギルベルトがマリミエドの背を軽く叩いて言う。
「大丈夫か?」
「…はい」
「少し寝ていなさい。俺は先に用事を済ませるよ」
ギルベルトが言い、ユークレースの背を押して少し離れている机に行く。
「まさかお前、また…」
「ああ、今月の依頼だ。今回は髪の毛もあるから…」
「………」
ユークレースはちらりとソファーの方を見て、小声で言う。
「あのな、どこからどう検査しても、兄妹に変わりは無いぞっ」
「何、大丈夫だ。いつでも0.0001の結果を聞く準備は出来ている」
「………はぁー…」
ユークレースは額に手を当ててため息を吐いて、その髪の毛と一滴の血を調査台に置いた。
「結果は明日、学院でいいだろう?」
「ああ、勿論。楽しみだな」
ギルベルトは笑顔で胸に手を当てて言う。
…毎回、笑顔なのが凄いと思う。
「それで、結果報酬は?」
「今回は炎の原石の在り処だ。俺の所有地の金山から見付かった物だ」
「炎の原石!…それは楽しみだな」
そう喋っている所に、マリミエドが歩いてきて尋ねる。
「何が楽しみですの?」
「ああ、お前の属性結果だよ」
ギルベルトが振り向いてすぐに答える。
「属性?」
ユークレースが問う。
「ええ…属性を調べて頂けると聞きまして…」
マリミエドが答えると、ユークレースは色んな物が置かれた方を見る。
「まあ確かに見られるが…本当に?」
「ええ、お願いします。あ、何か報酬をお渡しするんですよね」
「ああ、いや、ギル…ギルベルトから貰うから平気だ」
答えてユークレースは、装置の水晶を取りに行く。
聖塔は、神殿と共に神聖力を司り、神の声を神殿に届ける役目を持つ。
魔塔は、魔物の研究や邪気・瘴気を解明する役目を持つ。
そして聖魔塔は、神聖力と魔力を用いる研究や魔石の開発などを行う場所である。
それぞれに管理を行う者を〝主〟と呼んだが、聖魔塔の主だけは〝魔道師〟と呼ばれた。
その聖魔塔の管理者の引き継ぎを、卒業したら魔道師となるユークレースが行っているのだ。
「ふー…やっと一段落付いたな…」
ユークレースが呟いて椅子に座り冷めた紅茶を飲む。
その時、机に置かれた水晶に来訪者の馬車が映し出されてユークレースはグッと紅茶を喉に詰まらせてむせた。
「ゲホッゲホゲホ………ギルベルトか?!また血の鑑定にでも来たのか?!」
馬車の紋章で叫び、居留守を使おうとして止まる。
馬車からマリミエドも降りてきたからだ。
「…何だ…?まさか実物で検査しろとでも言いたいのか…?」
ユークレースは手を顎に当てて考える。
今まで何度も、ギルベルトが鑑定を依頼してきた。
最初の調査は確か6年前ーーー。
サンリエド中等学院に入りたての頃だ。
誰かの婚外子の調査かと思って真剣に調査した。
「…どうだった?」
調査結果を心待ちにしていたギルベルトが真剣に尋ねる。
ユークレースは調査報告書をテーブルに出す。
「この二つの血液からは、親子または兄弟であると99.9999%証明された。完全に親族だが、これは父君と婚外子の調査か何かか?」
「いや、俺とマリミエドの物だ」
「ーーーは?」
「そうか、残りの可能性は0.0001%もあるのか…」
「いやいや、マリミエドって完全に妹だろう!?」
「いや、だって0.0001%違うんだろう?」
「もはや百だろう!何を馬鹿な事をしているんだ…君の所は両親共ご顕在で後妻や側室も居ないと聞いているぞ!」
「うん、しかし0.0001…希望はあるさ」
「…仮に違うとして、何があるというんだ…?」
呆れながらもドキドキして聞いてみると、ギルベルトは笑顔で答える。
「その時は晴れてマリミエドを我が花嫁として迎えるんだ!無論、結婚式には君も招待するよ」
「ーーーー…」
本気で言っているのが分かり、ユークレースは言葉を失った。
そして、こんな男が兄では大変だなとも思ったのだ。
そんな調査をギルベルトは月に一回は頼んできた。
馬鹿らしくて断ろうとすると、聖魔塔にとって欲しいアイテムを差し出してくるのだ。
「今度こそ違うと思うぞ!」とか
「これは間違いなく違う結果が出るだろう!」
と言って毎回 笑顔で持って来るギルベルトがウザったくて馬鹿らしくて、しかし見離せなくて気が付けば友人となっていたのだが…。
「今度は一体、なんだろうか…」
少し気になり、ユークレースは聖魔塔の門を開けた。
「ここが、聖魔塔………?」
ガランとした広い空間。
真ん中にシャンデリアがあり、周りには彫刻や絵画が飾られているが…。
不思議がっていると、ギルベルトがマリミエドをエスコートして中央に行く。
「エレナ達はそこに居てくれ」
そう言ってシャンデリアの下に立つと、ギルベルトは天井を見て言う。
「メイナード侯爵家が嫡子、ギルベルト」
『音声ヲ認識シマシタ、ドウゾオ入リ下サイ』
そう声がして、天井から床に青白い光が伸びて二人が消えた。
聖魔塔の内部、二階にテレポートしたギルベルトはそのまま歩こうとして止まる。
マリミエドが驚いて全く動かないからだ。
「リュミ、平気か?」
「あ、の……なんだか、クラクラして…」
「ああ!気付かなくて済まない!魔力酔いだな…テレポートは体に圧力が掛かるから……抱き上げていいか?」
「…ごめんなさい、お兄様…」
マリミエドは頷いてギルベルトの首に手を回す。
ギルベルトがマリミエドを抱き上げて3階まで歩いていくと、書類作成をしていたユークレースが驚く。
「まさか改造しろとでも言うのか?!」
「え?」
ギルベルトとマリミエドがキョトンとしたので、ユークレースは赤くなりながら手のひらを向けて言う。
「ああいや、気にしないでくれ……」
「変な奴だな」
変な男に変呼ばわりされてムッとしながらも、ユークレースはソファーにクッションを並べた。
「こちらにどうぞ」
「ありがとう」
ギルベルトが答えてソファーにマリミエドを降ろす。
「あの…ごめんなさい…少しだけ横にさせて下さい…」
マリミエドが弱々しく言う。
「もしかしてテレポートの魔力酔いか?」
「そうらしい。済まないが、何かいい薬は無いか?」
ギルベルトが聞くと、ユークレースは薬箱を持ってきてテーブルに置く。
「ええと…液体か錠剤にした酔い止めの薬があった筈なんだが………あったあった」
そう言って、ユークレースはマリミエドに液体の入った青い小さな小瓶を手渡す。
「一口分だから平気な筈だ」
「…平気、と申しますと…お味が悪いのですか…?」
「さすが鋭いな。辛味があるハッカの成分が入っているんだ」
「…ありがとうございます…頑張りますわ」
そう言ってマリミエドは瓶の蓋を開けて、一気に飲む。
そしてうつ伏せになってむせる。
「ケホッケホ…」
「だ…」
ユークレースが言おうとするとギルベルトがマリミエドの背を軽く叩いて言う。
「大丈夫か?」
「…はい」
「少し寝ていなさい。俺は先に用事を済ませるよ」
ギルベルトが言い、ユークレースの背を押して少し離れている机に行く。
「まさかお前、また…」
「ああ、今月の依頼だ。今回は髪の毛もあるから…」
「………」
ユークレースはちらりとソファーの方を見て、小声で言う。
「あのな、どこからどう検査しても、兄妹に変わりは無いぞっ」
「何、大丈夫だ。いつでも0.0001の結果を聞く準備は出来ている」
「………はぁー…」
ユークレースは額に手を当ててため息を吐いて、その髪の毛と一滴の血を調査台に置いた。
「結果は明日、学院でいいだろう?」
「ああ、勿論。楽しみだな」
ギルベルトは笑顔で胸に手を当てて言う。
…毎回、笑顔なのが凄いと思う。
「それで、結果報酬は?」
「今回は炎の原石の在り処だ。俺の所有地の金山から見付かった物だ」
「炎の原石!…それは楽しみだな」
そう喋っている所に、マリミエドが歩いてきて尋ねる。
「何が楽しみですの?」
「ああ、お前の属性結果だよ」
ギルベルトが振り向いてすぐに答える。
「属性?」
ユークレースが問う。
「ええ…属性を調べて頂けると聞きまして…」
マリミエドが答えると、ユークレースは色んな物が置かれた方を見る。
「まあ確かに見られるが…本当に?」
「ええ、お願いします。あ、何か報酬をお渡しするんですよね」
「ああ、いや、ギル…ギルベルトから貰うから平気だ」
答えてユークレースは、装置の水晶を取りに行く。
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