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第一幕 断罪からの始まり
vs25 スノウ・ベル
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失礼かもしれないが、ソフィアは思い切って聞いてみる。
「王立だから観ていらっしゃるかとおもったけれど…もしかして、お妃教育でお忙しいのかしら?」
「あ…わたくし、歌劇団を観た事が無くて…音楽コンサートでしたら、月に何度か観に行くのですけれど…。でも、次のテストで良い成績を収められたら両親にお願いしてみたいですわ」
そう淋しそうに言うので、悪い事をしてしまったと思い、ソフィアは何か話題が無いかと考える。
その時、マリミエドがカバンから歴史の本を取り出して開いたので見てみると、そこに挟んであった鈴蘭のような押し花の栞が目に付いた。
「まあ!それは隣国オルケイア王国の雪山にしか咲かない雪の鈴ではありません?!」
「ええ、よくご存知ですね。お姉様が送って下さった一輪の花を、押し花にして風化しないように施しましたの」
マリミエドが笑顔で言うと、ソフィアも笑顔で話す。
「よく見せて頂けませんか?わたくし花に興味があって…」
「ええ、どうぞ」
マリミエドは惜しげもなく大切な栞を差し出した。
すると突然後ろから
「雪の鈴?!」
という声と共にマリアが現れて、パッと栞を手にする。
「嘘、だってこれは〝ギルイベント〟のーーー」
「マリアさん!失礼ではなくて?!」
ソフィアが怒って言うと、マリアは我に返って栞をマリミエドに返す。
「あ、ごめんなさい!私驚いてしまって…本当にごめんなさい」
どうやら悪気はなく、本当に驚いているようだった。
それに、ギルイベントとは一体ーーー?
聞く前に、マリアはぶつぶつと呟きながら行ってしまう。
〈…マリアさんの様子がおかしいわ…〉
マリミエドはそう思いながらも、ソフィアと共に雪の鈴についてお喋りに花を咲かせた。
授業が終わり、換気の為に窓が開かれると冷たい風が入ってきた。
〈さっきは風なんて無かった…〉
〝風〟…?
マリミエドはハッとして、教室を出る。
すると、すぐ側のベンチにギルベルトが座っていて手を振る。
「やあ、一緒に学食に行かないか?」
「お兄様…もしや、先程外にいらっしゃいました?!」
マリミエドが真っ赤になって言うので、思わずギルベルトは立ち上がってマリミエドを抱き締める。
「可愛いな~!良かったじゃないか、〝枝〟以外のお友達が出来て」
「おっ…お兄様!!」
マリミエドは兄を突き飛ばすように離す。
「…意地悪ね、そういうのは嫌いだわ」
「悪気は無いんだよ。ただ、寒くないように風を止めようとしたら可愛い声がして…聞こえたら嫌だろうと思って、〝風の結界〟を張ったんだ。…許しておくれ」
苦笑して言うので憎たらしいが、お陰でクラスメイトに聞こえなかったので許した。
「もうしないで下さいね?」
「ああ、約束する」
そう言って、荷物を手に共に学食へ向かった。
「王立だから観ていらっしゃるかとおもったけれど…もしかして、お妃教育でお忙しいのかしら?」
「あ…わたくし、歌劇団を観た事が無くて…音楽コンサートでしたら、月に何度か観に行くのですけれど…。でも、次のテストで良い成績を収められたら両親にお願いしてみたいですわ」
そう淋しそうに言うので、悪い事をしてしまったと思い、ソフィアは何か話題が無いかと考える。
その時、マリミエドがカバンから歴史の本を取り出して開いたので見てみると、そこに挟んであった鈴蘭のような押し花の栞が目に付いた。
「まあ!それは隣国オルケイア王国の雪山にしか咲かない雪の鈴ではありません?!」
「ええ、よくご存知ですね。お姉様が送って下さった一輪の花を、押し花にして風化しないように施しましたの」
マリミエドが笑顔で言うと、ソフィアも笑顔で話す。
「よく見せて頂けませんか?わたくし花に興味があって…」
「ええ、どうぞ」
マリミエドは惜しげもなく大切な栞を差し出した。
すると突然後ろから
「雪の鈴?!」
という声と共にマリアが現れて、パッと栞を手にする。
「嘘、だってこれは〝ギルイベント〟のーーー」
「マリアさん!失礼ではなくて?!」
ソフィアが怒って言うと、マリアは我に返って栞をマリミエドに返す。
「あ、ごめんなさい!私驚いてしまって…本当にごめんなさい」
どうやら悪気はなく、本当に驚いているようだった。
それに、ギルイベントとは一体ーーー?
聞く前に、マリアはぶつぶつと呟きながら行ってしまう。
〈…マリアさんの様子がおかしいわ…〉
マリミエドはそう思いながらも、ソフィアと共に雪の鈴についてお喋りに花を咲かせた。
授業が終わり、換気の為に窓が開かれると冷たい風が入ってきた。
〈さっきは風なんて無かった…〉
〝風〟…?
マリミエドはハッとして、教室を出る。
すると、すぐ側のベンチにギルベルトが座っていて手を振る。
「やあ、一緒に学食に行かないか?」
「お兄様…もしや、先程外にいらっしゃいました?!」
マリミエドが真っ赤になって言うので、思わずギルベルトは立ち上がってマリミエドを抱き締める。
「可愛いな~!良かったじゃないか、〝枝〟以外のお友達が出来て」
「おっ…お兄様!!」
マリミエドは兄を突き飛ばすように離す。
「…意地悪ね、そういうのは嫌いだわ」
「悪気は無いんだよ。ただ、寒くないように風を止めようとしたら可愛い声がして…聞こえたら嫌だろうと思って、〝風の結界〟を張ったんだ。…許しておくれ」
苦笑して言うので憎たらしいが、お陰でクラスメイトに聞こえなかったので許した。
「もうしないで下さいね?」
「ああ、約束する」
そう言って、荷物を手に共に学食へ向かった。
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