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第一幕 断罪からの始まり
vs19 疑似浄化を!
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…しかし、どの女生徒だったかを思い出せないのだ。
〈困ったわ…もう授業が始まってしまう…!〉
ポーションの見た目はどれも同じ。
区別が付かないのだ。
今朝は、マリアがすり替えた後に薬学教授に呼び止められて話をしてしまい、その劣化したポーションを取る事が出来なかったのだ。
マリミエドが蒼白しながら周りを見ていたので、異変に気付いたユークレースが近寄ってくる。
「メイナード令嬢、どうかしたのか?」
「あ、その…」
なんと言えばすぐに解決出来るだろうか?
〈アーダルベルト令息なら、すぐに判別出来る筈!〉
そう思って口を開いた時、授業開始のベルが鳴る。
「さあ、始めるぞ!」
ユークレースが皆を見て言う。
「あ…!」
呼び止めようにも、皆がポーションを開けてしまっている。
〈説明している暇なんてないわ!〉
今すぐに何とかしなくてはならない!
光の球が作り出されていく中で、マリミエドは一人違う呪文を呟いていた。
「闇よ、水よ、風よ…」
闇で真っ暗に出来ないか?
雨を降らせて中止に出来ないか?
突風で皆の持つポーションを落とせないか?
どの方法も最良とは思えない。
一番いいのは、ポーションの〝浄化〟ーーーー
しかし浄化呪法など出来ない。
出来ないのならば、今の授業のように作り出せないか?!
〈光と風…闇と光…〉
瘴気などの浄化は、光で浮き上がらせてから癒やして散らすイメージだと魔導書に書いてあった。
光はすでにある。
〈…風で浮き上がらせて癒やして散らす…ああ違うわ、どうしたらーーー!〉
思いながらも魔法を発動させた。
パアァッと地面全体が光り、風が回るように吹いた。
「きゃあ」
「うわっ」
女生徒達は慌ててスカートを押さえて捲れるのを防いだ。
すると、落ちたポーションの一つがシュワァと音を立てて気化したのを、ユークレースは見逃さなかった。
〈今のは…浄化…?!〉
確かに、魔物討伐の際に見た浄化そのものーーーそれをやった人物は、と探してユークレースは笑い出す。
「はは…やっぱりか…」
浄化は出来ないと言っていたマリミエド…胸のペンダントが光り輝いている事から、恐らく〝天使の涙〟が媒介となって浄化呪法となったのだろうが…一体何故、ポーションが浄化されたのか?
風はすぐに止んだので、ユークレースはマリミエドに駆け寄る。
「メイナード令嬢、今のは…」
「ああ、申し訳ありません…急いだもので混乱してしまって…!」
マリミエドはオロつきながらも俯く。
「ああいや、責めてはいないが…」
「光と風で〝疑似浄化〟を作り出そうと思ったのです、旨く出来なくて…」
「疑似浄化…?!」
ユークレースは驚き、問いたいのをこらえて、皆に言う。
「今日の授業は中止だ!皆、教室に戻ってくれ。後日改めて行う。ーーーマリア君!皆に怪我が無いか見てくれ」
そう言うと、放心していたマリアはハッとして笑う。
「ええ、分かったわ」
答えてマリアは全員にサーチ魔法でスキャンを行い、異常がないかを確認した。
その魔力を見ても、実力が凄いのが分かる。
ただ普通に魔法を使うだけでもいいのではないか…?
皆が
「凄いわね」
「ありがとう」
「さすがは聖女候補ね!」
などと口々に言う。
皆と笑いながら話すマリアを見ていると、ユークレースに肩を叩かれる。
「メイナード令嬢、少しいいか?」
「…ええ…」
授業を妨害したのだから、きっと叱られてしまう…。
マリミエドはしょんぼりとしながらユークレースの後に続いた。
〈困ったわ…もう授業が始まってしまう…!〉
ポーションの見た目はどれも同じ。
区別が付かないのだ。
今朝は、マリアがすり替えた後に薬学教授に呼び止められて話をしてしまい、その劣化したポーションを取る事が出来なかったのだ。
マリミエドが蒼白しながら周りを見ていたので、異変に気付いたユークレースが近寄ってくる。
「メイナード令嬢、どうかしたのか?」
「あ、その…」
なんと言えばすぐに解決出来るだろうか?
〈アーダルベルト令息なら、すぐに判別出来る筈!〉
そう思って口を開いた時、授業開始のベルが鳴る。
「さあ、始めるぞ!」
ユークレースが皆を見て言う。
「あ…!」
呼び止めようにも、皆がポーションを開けてしまっている。
〈説明している暇なんてないわ!〉
今すぐに何とかしなくてはならない!
光の球が作り出されていく中で、マリミエドは一人違う呪文を呟いていた。
「闇よ、水よ、風よ…」
闇で真っ暗に出来ないか?
雨を降らせて中止に出来ないか?
突風で皆の持つポーションを落とせないか?
どの方法も最良とは思えない。
一番いいのは、ポーションの〝浄化〟ーーーー
しかし浄化呪法など出来ない。
出来ないのならば、今の授業のように作り出せないか?!
〈光と風…闇と光…〉
瘴気などの浄化は、光で浮き上がらせてから癒やして散らすイメージだと魔導書に書いてあった。
光はすでにある。
〈…風で浮き上がらせて癒やして散らす…ああ違うわ、どうしたらーーー!〉
思いながらも魔法を発動させた。
パアァッと地面全体が光り、風が回るように吹いた。
「きゃあ」
「うわっ」
女生徒達は慌ててスカートを押さえて捲れるのを防いだ。
すると、落ちたポーションの一つがシュワァと音を立てて気化したのを、ユークレースは見逃さなかった。
〈今のは…浄化…?!〉
確かに、魔物討伐の際に見た浄化そのものーーーそれをやった人物は、と探してユークレースは笑い出す。
「はは…やっぱりか…」
浄化は出来ないと言っていたマリミエド…胸のペンダントが光り輝いている事から、恐らく〝天使の涙〟が媒介となって浄化呪法となったのだろうが…一体何故、ポーションが浄化されたのか?
風はすぐに止んだので、ユークレースはマリミエドに駆け寄る。
「メイナード令嬢、今のは…」
「ああ、申し訳ありません…急いだもので混乱してしまって…!」
マリミエドはオロつきながらも俯く。
「ああいや、責めてはいないが…」
「光と風で〝疑似浄化〟を作り出そうと思ったのです、旨く出来なくて…」
「疑似浄化…?!」
ユークレースは驚き、問いたいのをこらえて、皆に言う。
「今日の授業は中止だ!皆、教室に戻ってくれ。後日改めて行う。ーーーマリア君!皆に怪我が無いか見てくれ」
そう言うと、放心していたマリアはハッとして笑う。
「ええ、分かったわ」
答えてマリアは全員にサーチ魔法でスキャンを行い、異常がないかを確認した。
その魔力を見ても、実力が凄いのが分かる。
ただ普通に魔法を使うだけでもいいのではないか…?
皆が
「凄いわね」
「ありがとう」
「さすがは聖女候補ね!」
などと口々に言う。
皆と笑いながら話すマリアを見ていると、ユークレースに肩を叩かれる。
「メイナード令嬢、少しいいか?」
「…ええ…」
授業を妨害したのだから、きっと叱られてしまう…。
マリミエドはしょんぼりとしながらユークレースの後に続いた。
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