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本編
そんニャこんニャで大団円(1)
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国境線に駆け付けてきたのは、魔術師団総帥だけではなかった。バタバタと何人もの足音がしたかと思うと、護衛と思しき何人かの騎士とともに、あのどM王太子も息せききって姿を現したのだ!
「でっ……殿下、なぜここに!?」
おっさんがまん丸になった目をどM王太子に向ける。
王太子はブタのマネまでしたどMのくせに、この時にはキリリとした顔でおっさんを叱り付けた。どうもあの態度はマリカ様の前だけらしい。
「それは私のセリフだ。父上を唆しただけではない。この上民間人を攻撃するなど何を考えている!?」
「民間人ではございません!! 奴らはカレリアの間諜です!!」
ヘマタイトの輝きを思わせる目が、きらりと冷たい光を放つ。
「例え間諜であったとしても、我々が民間人と判断してこの門を通した以上、民間人と見なすのが我が国の法だ。ヴァルト、これ以上我が国を父上とお前の好きにさせるわけにはいかん」
王太子は腕を組んでおっさんを睨み付けると、私たちにとっても仰天の宣言をした。
「父上は近頃どうも体調が悪い。そこで、先日時間を掛けて説得した結果、来月には譲位していただくこととなった。手続きはまだ済んでいないが、現在私が国王代行として政務のすべてを取り仕切っている。近いうちに戴冠式を行うこととなるだろう」
ま、まさかの王太子によるクーデター!? これにはアトス様も目を剥いていた。
「お前にもはや宮廷における権力はない。また、法を犯した以上お前を逮捕しなければならなぬ」
王太子の言葉におっさんの顔色がみるみる青ざめていく。
「なぜだ……。なぜ皆私の邪魔をする」
もう反撃する気力もないのだろう。おっさんは頭をがっくりと落とし、騎士らに大人しく捕縛されたのだった。
リンナの王太子から非公式の協議を持ち掛けられたのは、マリカ様誘拐事件から一週間ほどあとのことだった。
カレリア国王はこの提案に頷き、代表として総帥とアトス様と魔術師の何人かと、そしてなぜか私を派遣した。
これにはホンマになぜやと首を傾げた。私はアトス様の妻ではあるけれども、それ以外は地位も名誉も特別な能力もなく、メイド業と猫に変身する以外何もできないのに。
アトス様専用の癒しグッズにでもなれと言うのだろうか? まあ、確かにアトス様は時々猫の私のお腹に顔を埋めてスーハーやって、「ああ、癒やされる。どんな麻薬も君には敵わない……」とか言っているけどさ。
協議はリンナの王宮で行われることになり、私は人間の姿で総帥、アトス様、魔術師らと会議室を訪れた。
入る直前にちらりとアトス様の横顔を見上げる。
おっさん……ではなくアトス様のお父さんは、現在リンナの地下牢にいるらしい。その処分についても話し合うのだろう。
この一週間、アトス様はこの件については何もコメントしていない。お父さんが生きていただけではなく、敵国に加担していただなんて、一体どんな心境なのだろうか。
更にもう一つ気になることがあった。アトス様が手にするキャリーバッグだ。今回私は人間のままでいろとのことだから、キャリーバッグはいらないはずだ。なぜこんなところにまで持参しているのだろう。
リンナの王宮の会議室は真紅を基調としていて、椅子にも赤いビロードが張られている。ここだけではなくほとんどが赤系の内装だった。色で寒さを和らげようとしているのだろうか。
リンナの王太子は十人がけの長テーブルの、左側の真ん中に臣下に挟まれて腰を下ろしていた。総帥を認めるなり立ち上がり握手を求める。総帥はそれに応じた後で、王太子の向かいの席に腰掛けた。アトス様は総帥の左の席に、私はアトス様の隣におずおずと座る。
カップに温かいお茶が注がれた後で、いよいよ話し合いが始まった。
王太子が大きな溜め息を吐いて肩をすくめる。
「誠に情けない話だが、この所父上はボケて来ていまして、そこをどうもあの詐欺師に唆され、今回の騒ぎを起こしたようなのです」
「ボケた……か。ふむ、ではそういうことにしておきましょうか」
総帥はお茶を一口飲むと、「カレリア国王、カーレル二世陛下からのお言葉をお伝え申し上げる」と告げた。
「"今回の事件についてリンナを咎めることはない。ただし、以下の条件を呑むと約束してからの話だ"」
カレリア王家の紋章の封蝋のされた封筒を、テーブルの真ん中に置いて手に取るよう促す。王太子は小さく頷くと、覚悟を決めた顔で封を切った。陛下からの手紙を読み進めるにつれ、その目がだんだん見開かれていく。やがて、顔を上げて総帥を見据えた。
「馬鹿な……。あの男を引渡せと!? 今回の事件の主犯だと言うのに!?」
「左様」
アトス様が総帥の言葉を継ぐ。
「ヴァルト・ウルヤナ・イルマネリンはすでに死んだとされている男です。死者を引渡したところで差し支えはないでしょう」
王太子はギリリと唇を噛み締めた。
「しかし……!! 我が国で起こった犯罪は我が国の法で裁かなければ……!!」
アトス様の薄い唇の端に笑みが浮かぶ。
「いいえ、犯罪などはなかったのですよ。そちらの国王陛下を唆した男などおらず、マリカ様が誘拐されたなどと言うこともない。何も起こらなかったのです」
そして、悔しそうな王太子に更に追い打ちをかけた。
「そう結論付けた方が貴国のためにもなるのでは? なおもヴァルトを裁くつもりであれば、当然我々はマリカ様に誘拐されたと証言していただき、それはカレリアが宣戦布告する理由となります。原則に忠実であろうとする姿勢は素晴らしいですが、貴国にとって最善の道は何かをよく考えていただきたい」
「……っ」
王太子は条件を飲むしかないと踏んだのだろう。すぐにキリリとした顔つきになって「承諾申し上げる」と答えた。以降は動揺することもなく淡々と協議を続ける。
一時間をかけて大体の擦り合わせができ、さて、そろそろ終わりかという頃のことだろうか。
王太子は咳払いを一つしたかと思うと、なぜか顔を赤らめモジモジとしながら話題を変えた。
「実は……こちらにも聞いていただきたいことがあるのです。今回は飽くまで非公式の協議なので、来月即位後にあらためて正式に申し込むつもりではあるのですが……」
私は王太子の申し込みの内容を聞き、びっくり仰天した余りに、椅子ごと倒れて頭をぶつけるハメになったのだった……。
「でっ……殿下、なぜここに!?」
おっさんがまん丸になった目をどM王太子に向ける。
王太子はブタのマネまでしたどMのくせに、この時にはキリリとした顔でおっさんを叱り付けた。どうもあの態度はマリカ様の前だけらしい。
「それは私のセリフだ。父上を唆しただけではない。この上民間人を攻撃するなど何を考えている!?」
「民間人ではございません!! 奴らはカレリアの間諜です!!」
ヘマタイトの輝きを思わせる目が、きらりと冷たい光を放つ。
「例え間諜であったとしても、我々が民間人と判断してこの門を通した以上、民間人と見なすのが我が国の法だ。ヴァルト、これ以上我が国を父上とお前の好きにさせるわけにはいかん」
王太子は腕を組んでおっさんを睨み付けると、私たちにとっても仰天の宣言をした。
「父上は近頃どうも体調が悪い。そこで、先日時間を掛けて説得した結果、来月には譲位していただくこととなった。手続きはまだ済んでいないが、現在私が国王代行として政務のすべてを取り仕切っている。近いうちに戴冠式を行うこととなるだろう」
ま、まさかの王太子によるクーデター!? これにはアトス様も目を剥いていた。
「お前にもはや宮廷における権力はない。また、法を犯した以上お前を逮捕しなければならなぬ」
王太子の言葉におっさんの顔色がみるみる青ざめていく。
「なぜだ……。なぜ皆私の邪魔をする」
もう反撃する気力もないのだろう。おっさんは頭をがっくりと落とし、騎士らに大人しく捕縛されたのだった。
リンナの王太子から非公式の協議を持ち掛けられたのは、マリカ様誘拐事件から一週間ほどあとのことだった。
カレリア国王はこの提案に頷き、代表として総帥とアトス様と魔術師の何人かと、そしてなぜか私を派遣した。
これにはホンマになぜやと首を傾げた。私はアトス様の妻ではあるけれども、それ以外は地位も名誉も特別な能力もなく、メイド業と猫に変身する以外何もできないのに。
アトス様専用の癒しグッズにでもなれと言うのだろうか? まあ、確かにアトス様は時々猫の私のお腹に顔を埋めてスーハーやって、「ああ、癒やされる。どんな麻薬も君には敵わない……」とか言っているけどさ。
協議はリンナの王宮で行われることになり、私は人間の姿で総帥、アトス様、魔術師らと会議室を訪れた。
入る直前にちらりとアトス様の横顔を見上げる。
おっさん……ではなくアトス様のお父さんは、現在リンナの地下牢にいるらしい。その処分についても話し合うのだろう。
この一週間、アトス様はこの件については何もコメントしていない。お父さんが生きていただけではなく、敵国に加担していただなんて、一体どんな心境なのだろうか。
更にもう一つ気になることがあった。アトス様が手にするキャリーバッグだ。今回私は人間のままでいろとのことだから、キャリーバッグはいらないはずだ。なぜこんなところにまで持参しているのだろう。
リンナの王宮の会議室は真紅を基調としていて、椅子にも赤いビロードが張られている。ここだけではなくほとんどが赤系の内装だった。色で寒さを和らげようとしているのだろうか。
リンナの王太子は十人がけの長テーブルの、左側の真ん中に臣下に挟まれて腰を下ろしていた。総帥を認めるなり立ち上がり握手を求める。総帥はそれに応じた後で、王太子の向かいの席に腰掛けた。アトス様は総帥の左の席に、私はアトス様の隣におずおずと座る。
カップに温かいお茶が注がれた後で、いよいよ話し合いが始まった。
王太子が大きな溜め息を吐いて肩をすくめる。
「誠に情けない話だが、この所父上はボケて来ていまして、そこをどうもあの詐欺師に唆され、今回の騒ぎを起こしたようなのです」
「ボケた……か。ふむ、ではそういうことにしておきましょうか」
総帥はお茶を一口飲むと、「カレリア国王、カーレル二世陛下からのお言葉をお伝え申し上げる」と告げた。
「"今回の事件についてリンナを咎めることはない。ただし、以下の条件を呑むと約束してからの話だ"」
カレリア王家の紋章の封蝋のされた封筒を、テーブルの真ん中に置いて手に取るよう促す。王太子は小さく頷くと、覚悟を決めた顔で封を切った。陛下からの手紙を読み進めるにつれ、その目がだんだん見開かれていく。やがて、顔を上げて総帥を見据えた。
「馬鹿な……。あの男を引渡せと!? 今回の事件の主犯だと言うのに!?」
「左様」
アトス様が総帥の言葉を継ぐ。
「ヴァルト・ウルヤナ・イルマネリンはすでに死んだとされている男です。死者を引渡したところで差し支えはないでしょう」
王太子はギリリと唇を噛み締めた。
「しかし……!! 我が国で起こった犯罪は我が国の法で裁かなければ……!!」
アトス様の薄い唇の端に笑みが浮かぶ。
「いいえ、犯罪などはなかったのですよ。そちらの国王陛下を唆した男などおらず、マリカ様が誘拐されたなどと言うこともない。何も起こらなかったのです」
そして、悔しそうな王太子に更に追い打ちをかけた。
「そう結論付けた方が貴国のためにもなるのでは? なおもヴァルトを裁くつもりであれば、当然我々はマリカ様に誘拐されたと証言していただき、それはカレリアが宣戦布告する理由となります。原則に忠実であろうとする姿勢は素晴らしいですが、貴国にとって最善の道は何かをよく考えていただきたい」
「……っ」
王太子は条件を飲むしかないと踏んだのだろう。すぐにキリリとした顔つきになって「承諾申し上げる」と答えた。以降は動揺することもなく淡々と協議を続ける。
一時間をかけて大体の擦り合わせができ、さて、そろそろ終わりかという頃のことだろうか。
王太子は咳払いを一つしたかと思うと、なぜか顔を赤らめモジモジとしながら話題を変えた。
「実は……こちらにも聞いていただきたいことがあるのです。今回は飽くまで非公式の協議なので、来月即位後にあらためて正式に申し込むつもりではあるのですが……」
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