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第二章「容疑者ですが、侍女に昇格しました。」

(15)☆

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☆☆☆

 横抱きにされてやって来たアルフレッドの寝室は、思いのほか簡素で贅沢好みの調度品はほとんどなかった。アルフレッドにとっての寝室とは寝るための部屋でしかないのだろう。

 いずれにせよ、今は互いを温め合うことができれば十分だった。

 そっとベッドに横たえられ、黄金の長い巻き毛を指先に搦め捕られる。

「……なぜだろうな」

 薄い唇が毛先にそっと触れる。

「お前だけは闇の中でもよく見える」

 ――まるで光のように。

 アルフレッドは続いてソランジュの右手を取り、甲にそっと口付けを落とした。

「あっ……」

 外に長くいたのにその唇は熱い。人差し指と中指の指先を口に含まれると、ついピクリと反応してしまった。

 唇は続いて手首の裏に回り、脈打つ白い肌に赤い痕を残す。

「……っ」

 ソランジュが肌を吸われる感覚に耐える間に、アルフレッドは続いてその細腰を抱き寄せ、寝間着の帯をするりと抜いた。

 寝間着の合わせ目がはだけ、まろやかな線を描いた肉体が露わになる。

 何度も抱かれて快楽を刻み付けられるうちに、ソランジュの肉体はいつしか生娘のそれから、アルフレッドのためだけの女のものへと変化しつつあった。

 アルフレッドも寝間着を脱ぎ捨て、逞しい裸身を晒してソランジュに伸し掛かる。

「ソランジュ」

「……あっ」

 わずかに開いた唇に深く口付けられ、舌先で歯茎をなぞられると、鼻に掛かった甘い喘ぎ声が出た。

 同時に右胸を大きな手で包み込まれ、指先でその頂を探られる。

「んん……んぁぁ……」

 柔らかな肉の塊がアルフレッドの意のままに形を変え、独立した生き物のように揺れる。

 両の胸が芯からズクズク疼いて熱を持ち、その熱が導火線と化した背筋を辿って子宮に伝わっていった。

 ソランジュが身悶え、腹の奥にも走るズクズクした感覚を堪える間に、初めは穏やかだったアルフレッドの手の動きが次第に激しくなっていく。

「あっ……あっ……あんっ……んあっ」

 時折乳首を指先で捏ね回されると、背筋がビクリと引き攣った。

 それでも、両脇に両手を差し入れるようにして抱き締められ、胸の谷間に顔を埋められた時ほど強烈な感覚ではなかった。

「あっ……」

 熱い唇が汗と夜露でしっとりと濡れる乳房を吸う。

「あっ……るふれっど……さまぁ……」

 アルフレッドはソランジュの胸をあますところなく味わった。汗ばんだ肌を舌で撫ぜ、ピンと立った薄紅色の乳首を歯で嬲り、両手で根元から掬い上げやわやわと揉み込む。

 そして、最後に左胸に耳を押し当てた。激しく脈打つソランジュの心臓の鼓動を聞いている。

 ソランジュはアルフレッドがなぜそうするのかがわからなかった。だが、自分がしなければならないことは知っていた。

「……」

 そっとアルフレッドの頭を抱き締め、まだ冷たい黒髪にそっと口付ける。

 アルフレッドも瞼を閉じその抱擁に身を任せていたが、やがてゆっくりと体を起こすと、ソランジュの頬をそっと撫ぜた。

「――ソランジュ」

 名を呼ばれながら膝で脚を割り開かれる。

「あっ……」

 逞しい腰が狭間に割り込み、熱い塊がピタリとそこに押し当てられた。

「ああっ……」

 ぐぐっと肉壁を掻き分けて入ってくる。

「あああっ……」

 隘路を徐々に貫かれる濡れた響きを体の奥で感じてしまう。

 アルフレッドは最後に腰をぐっと押し込むと、おのれの分身をソランジュの体内に深々と埋め込んだ。

「……っ」

 熱い息が白い喉の奥から押し出される。

 体を貫く肉の楔が最奥に当たり、子宮を押し上げられる衝撃に、ソランジュの開いた唇からか細い声が漏れ出た。

「ああぁ……」

 アルフレッドはそんなソランジュの腰を抱え、更にぐぐっと肉の楔を押し込む。

「んあっ……あっ……ああぁ……」

 腰と腰とがぶつかり合い、パンパンと水音が上がるたびに、快感の波が腹の奥から全身へと広がっていく。

「んあぁ……」

 その間、アルフレッドは何度もソランジュの名を呼んだ。

「――ソランジュ」

 数え切れないほど口付けながら、低く掠れた声で何度も、何度も。

「ソランジュ」

 確かに今ソランジュを抱いているのだと確かめでもするかのように。

「ソランジュ――」
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