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堕ちる者と堕ちない者と(7)
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ところが、貴族から武士の世となり、戦乱を経ていくつもの幕府が生まれては消え、やがて明治維新後に政府へと移り変わり、人の足が馬から車輪となっても、妻の生まれ変わりは現れなかった。
「罰を受けたのは鬼だけで、妻にはなんの咎もなく、魂は人のままであり新たな命を得たはず。なのに、なぜ見つけられないと鬼は苛立った」
それでも、千年近くも探し続けて諦められるはずもない。もはや妄執の塊と化した鬼の魂は、肉体を変えて愛する女を探し続けるうちに、ようやく愛妻に瓜二つの女を見つけた。
「ぬばたまの黒髪の、美しくなよやかな女だった。鬼は狂喜したものの、女はすでに男に囲われれていた」
鬼は断られるなどとは思いもせず、ともに逃げようと女を誘惑した。たとえ女に記憶はなくとも、応えてくれるはずだと信じていた。
ところが、女は思いの丈をぶつけても、嫌悪に怯えるばかりで靡かない。別の男と愛し合っていると知った時には、魂を引き裂かれるような痛みを味わった。
「だから、鬼の取り憑いたその男は、女を脅して手込めにしたのさ」
結果、女は鬼の子を宿すことになった。
「鬼は生まれる我が子は間違いなく息子で、おのれの魂を最も色濃く受け継ぎ、いずれ愛した女を喰らうことを知っていた」
鬼はこれで女を手に入れられると嗤ったが、女は思いがけない行動を取った。自力で囲いから逃げ出し、女を追った思い合う男と、手に手を取って遠方へ逃れたのだ。
何年後かに男を病で亡くしても、女は鬼のもとへ戻ろうとはしなかった。ある日出会った新たな男と、また夫婦となってしまったのだ。
「二度目の裏切りに鬼は怒り狂った。何もかもを忘れて幸福になるなど許せなかった。だから、女と二人目の夫を死に追いやることにしたのさ」
死んでまっさらとなり、再び生まれ変わればいい。また探すだけのことだと、昏い思いで人を操り二人を追い詰め、果たして目論見通りに女は夫とともに呆気なく命を落とした。
冬馬はそこで一旦口を噤み、琥珀色を帯びた瞳を薫に向ける。
だが、薫の心はやはり微塵も動かされない。自分にとって大切なことは真実ではないからだ。
「面白いお話をありがとうございました。ファンタジックで女性に人気が出るのではないでしょうか。ですが、あいにく僕の趣味には合わないようです」
くだらない戯言だとばっさりと切り捨て、脳裏に真之の笑顔を思い浮かべる。
「そう言えば僕もたった今こんな物語を思い付いたんです。最初で最後の創作になるでしょうね。聞いていただけますか?」
冬馬の了解を得ぬままに言葉を紡ぐ。
「昔、あるところに一人の女がいました。女は人並み以上に美しかったばかりに、体を奪われた挙げ句に、好きでもない輩の子を孕む羽目になった。ところが、ある日我が子ごと受け入れてくれる存在が現れた」
その男は妻に裏切られた過去を抱えて生きていた。初めは傷の舐め合いだったのかもしれないが、互いを労る心が思いやりから愛となり、やがて二人は再び人を信じようと手を取り合った。
「女が生きていたと言えるのは、男といた三年間だけでした。毎日くるくる働いて笑って、女は本当に幸せだった。近所では明るく家庭的な奥さんだと評判で、なよやかだとかそんな話は聞いたこともなかった」
冬馬の表情は一見変わらない。だが、忌まわしい血の繋がりが、その動揺を面白いほどに伝えてくる。
「きっとあれが本物の女の姿だったんです。愛情の価値はどれだけ愛したかではなく、どれだけ幸福にしたのかで決まると今は思います」
それは冬馬だけにではなく、自分にも向けた言葉だった。
真琴へのあの激情が血によるものなのか、個人の資質だったのかはわからない。ただ、断ち切らなければならないことだけは理解していた。
冬馬はなぜか眩しそうに目を細めた。
「……少々説教臭いがいい話だね。なら、私も続きはそうした流れにしてみようか」
低く掠れた声が鬼の取り憑いた男のその後を綴る。
「女を死なせたことに悔いはなかったが、何を見ても聞いても虚しくてならず、終いには息を吸って吐くのすら億劫になった。そんなある日、鬼は殺した女を思わせる人に出会った。ただ顔立ちが似ていただけなら、気になりすらしなかっただろう。だが、その人の名に鬼は惹き付けられざるを得なかった」
かつての最愛の妻の名は真子といい、七弦の琴の名手であったことから、宮中では「琴の君」と呼ばれていた。
「出会ったばかりのその人はまだ若かったが、手に掛けた女の生まれ変わりではあり得ない。なのに、どうしようもなく愛おしい。鬼は魂の求めるままついにその人を喰らったのさ」
貪っても貪ってもまだ足りない。その人の苦しみと痛みすら糧になってしまう。しかし、その人も死んだ女と同じように、別の男に奪われてしまった。
「こうして二人の女を失って以来、鬼はどちらが妻の生まれ変わりだったのか、あるいはどちらでもなかったのかと考え続けてきた。なぜ妻の魂を見分けられぬのかもわからなかった。だが、大木が枯れ葉を落とし、新たに芽吹いた若葉を見て悟ったのさ。結局どちらなのかは神のみぞ知り、また、生まれ変わりは別人でしかないのだとね……」
そして、妻の生まれ変わりと出会いたければ、妄執を捨て、永久ではなく新たな生を選ぶべきだった。すべてを手放さなければ得られないものがあり、永久など意味をなさぬのだと千年目にして悟った。
「愚かな鬼の物語はこれで終わりさ」
最後に一言「聞いてくれてありがとう」と呟き、身を翻してあの色濃い影に覆われた背を向ける。
「……もう二度と会うこともないだろうな」
実際、それが冬馬との最後の会話となった。
この半年後に独楽井快の新作「月琴」が上梓され、女性ファンを中心にベストセラーとなり、独楽井快の評判は一層高まった。
ところが、更に半年後に独楽井快は、「月琴」にすべてを注ぎ込んだかのように、末期の膵臓癌でこの世を去ったと報道され、世間を驚愕させ再びその著書をヒットさせた。
薫には真っ先に弁護士から連絡が入り、遺産はすべて薫に譲るとの遺言があると伝えられた。間もなく密葬で葬儀が執り行われ、薫も甥ということで参加したのだが、そこでなんとも奇妙な話を聞かされた。
冬馬はいつ亡くなってもおかしくない病状だったのだが、なぜか少しも弱らず見た目も変わらず、主治医が目を白黒させていたのだという。
ところが、死の三日前にみるみる衰弱しただけではなく、双眸から琥珀色が抜け落ち黒くなり、間もなく眠るように息を引き取ったのだと。医学的に有り得ないと主治医は頭を抱えていたのだそうだ。
なお、薫は相続した高柳家の財産を、犯罪被害者団体と児童養護施設に全額寄付した。事前に真琴に相談したのだが、「薫のしたいようにすればいい」と頷いてくれた。
こうして高柳の本家は絶えたのだった。
今となっては「月琴」が作り話なのか、あるいは真実があったのか、もはやこの世にいない冬馬にしかわからない。だが、わからないことがあってもいいのだと思いながら、薫はベッドの上で「月琴」の単行本と瞼を閉じた。
*もうちょっとだけ続きます
「罰を受けたのは鬼だけで、妻にはなんの咎もなく、魂は人のままであり新たな命を得たはず。なのに、なぜ見つけられないと鬼は苛立った」
それでも、千年近くも探し続けて諦められるはずもない。もはや妄執の塊と化した鬼の魂は、肉体を変えて愛する女を探し続けるうちに、ようやく愛妻に瓜二つの女を見つけた。
「ぬばたまの黒髪の、美しくなよやかな女だった。鬼は狂喜したものの、女はすでに男に囲われれていた」
鬼は断られるなどとは思いもせず、ともに逃げようと女を誘惑した。たとえ女に記憶はなくとも、応えてくれるはずだと信じていた。
ところが、女は思いの丈をぶつけても、嫌悪に怯えるばかりで靡かない。別の男と愛し合っていると知った時には、魂を引き裂かれるような痛みを味わった。
「だから、鬼の取り憑いたその男は、女を脅して手込めにしたのさ」
結果、女は鬼の子を宿すことになった。
「鬼は生まれる我が子は間違いなく息子で、おのれの魂を最も色濃く受け継ぎ、いずれ愛した女を喰らうことを知っていた」
鬼はこれで女を手に入れられると嗤ったが、女は思いがけない行動を取った。自力で囲いから逃げ出し、女を追った思い合う男と、手に手を取って遠方へ逃れたのだ。
何年後かに男を病で亡くしても、女は鬼のもとへ戻ろうとはしなかった。ある日出会った新たな男と、また夫婦となってしまったのだ。
「二度目の裏切りに鬼は怒り狂った。何もかもを忘れて幸福になるなど許せなかった。だから、女と二人目の夫を死に追いやることにしたのさ」
死んでまっさらとなり、再び生まれ変わればいい。また探すだけのことだと、昏い思いで人を操り二人を追い詰め、果たして目論見通りに女は夫とともに呆気なく命を落とした。
冬馬はそこで一旦口を噤み、琥珀色を帯びた瞳を薫に向ける。
だが、薫の心はやはり微塵も動かされない。自分にとって大切なことは真実ではないからだ。
「面白いお話をありがとうございました。ファンタジックで女性に人気が出るのではないでしょうか。ですが、あいにく僕の趣味には合わないようです」
くだらない戯言だとばっさりと切り捨て、脳裏に真之の笑顔を思い浮かべる。
「そう言えば僕もたった今こんな物語を思い付いたんです。最初で最後の創作になるでしょうね。聞いていただけますか?」
冬馬の了解を得ぬままに言葉を紡ぐ。
「昔、あるところに一人の女がいました。女は人並み以上に美しかったばかりに、体を奪われた挙げ句に、好きでもない輩の子を孕む羽目になった。ところが、ある日我が子ごと受け入れてくれる存在が現れた」
その男は妻に裏切られた過去を抱えて生きていた。初めは傷の舐め合いだったのかもしれないが、互いを労る心が思いやりから愛となり、やがて二人は再び人を信じようと手を取り合った。
「女が生きていたと言えるのは、男といた三年間だけでした。毎日くるくる働いて笑って、女は本当に幸せだった。近所では明るく家庭的な奥さんだと評判で、なよやかだとかそんな話は聞いたこともなかった」
冬馬の表情は一見変わらない。だが、忌まわしい血の繋がりが、その動揺を面白いほどに伝えてくる。
「きっとあれが本物の女の姿だったんです。愛情の価値はどれだけ愛したかではなく、どれだけ幸福にしたのかで決まると今は思います」
それは冬馬だけにではなく、自分にも向けた言葉だった。
真琴へのあの激情が血によるものなのか、個人の資質だったのかはわからない。ただ、断ち切らなければならないことだけは理解していた。
冬馬はなぜか眩しそうに目を細めた。
「……少々説教臭いがいい話だね。なら、私も続きはそうした流れにしてみようか」
低く掠れた声が鬼の取り憑いた男のその後を綴る。
「女を死なせたことに悔いはなかったが、何を見ても聞いても虚しくてならず、終いには息を吸って吐くのすら億劫になった。そんなある日、鬼は殺した女を思わせる人に出会った。ただ顔立ちが似ていただけなら、気になりすらしなかっただろう。だが、その人の名に鬼は惹き付けられざるを得なかった」
かつての最愛の妻の名は真子といい、七弦の琴の名手であったことから、宮中では「琴の君」と呼ばれていた。
「出会ったばかりのその人はまだ若かったが、手に掛けた女の生まれ変わりではあり得ない。なのに、どうしようもなく愛おしい。鬼は魂の求めるままついにその人を喰らったのさ」
貪っても貪ってもまだ足りない。その人の苦しみと痛みすら糧になってしまう。しかし、その人も死んだ女と同じように、別の男に奪われてしまった。
「こうして二人の女を失って以来、鬼はどちらが妻の生まれ変わりだったのか、あるいはどちらでもなかったのかと考え続けてきた。なぜ妻の魂を見分けられぬのかもわからなかった。だが、大木が枯れ葉を落とし、新たに芽吹いた若葉を見て悟ったのさ。結局どちらなのかは神のみぞ知り、また、生まれ変わりは別人でしかないのだとね……」
そして、妻の生まれ変わりと出会いたければ、妄執を捨て、永久ではなく新たな生を選ぶべきだった。すべてを手放さなければ得られないものがあり、永久など意味をなさぬのだと千年目にして悟った。
「愚かな鬼の物語はこれで終わりさ」
最後に一言「聞いてくれてありがとう」と呟き、身を翻してあの色濃い影に覆われた背を向ける。
「……もう二度と会うこともないだろうな」
実際、それが冬馬との最後の会話となった。
この半年後に独楽井快の新作「月琴」が上梓され、女性ファンを中心にベストセラーとなり、独楽井快の評判は一層高まった。
ところが、更に半年後に独楽井快は、「月琴」にすべてを注ぎ込んだかのように、末期の膵臓癌でこの世を去ったと報道され、世間を驚愕させ再びその著書をヒットさせた。
薫には真っ先に弁護士から連絡が入り、遺産はすべて薫に譲るとの遺言があると伝えられた。間もなく密葬で葬儀が執り行われ、薫も甥ということで参加したのだが、そこでなんとも奇妙な話を聞かされた。
冬馬はいつ亡くなってもおかしくない病状だったのだが、なぜか少しも弱らず見た目も変わらず、主治医が目を白黒させていたのだという。
ところが、死の三日前にみるみる衰弱しただけではなく、双眸から琥珀色が抜け落ち黒くなり、間もなく眠るように息を引き取ったのだと。医学的に有り得ないと主治医は頭を抱えていたのだそうだ。
なお、薫は相続した高柳家の財産を、犯罪被害者団体と児童養護施設に全額寄付した。事前に真琴に相談したのだが、「薫のしたいようにすればいい」と頷いてくれた。
こうして高柳の本家は絶えたのだった。
今となっては「月琴」が作り話なのか、あるいは真実があったのか、もはやこの世にいない冬馬にしかわからない。だが、わからないことがあってもいいのだと思いながら、薫はベッドの上で「月琴」の単行本と瞼を閉じた。
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