バース伯爵夫人の結婚とその後

東 万里央(あずま まりお)

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7.女は次行け次!

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 そんなわけで私も十六歳で長男を、二年後に男女の双子を、四年後に次女を生んだ。これで跡継ぎ要員と嫁出し要員、婿出し要員は確保したことになる。齢二十歳にして私はようやく自由に恋愛とセックスをする権利を得たのだ!身分の高い美人の既婚って最高!!美少年の童貞侍従からナイスミドルな王族まで食いまくりである。

 つい一昨日はうやうやしくも現国王といたさせていただいた。この陛下は十年前にまだ王太子であった頃、学園で男爵家の養女だった王妃様と運命の出会いをし、スッタモンダの末に大恋愛で結ばれている。貴族らの大反対を受けたものの、一層燃え上がったのか我を押し通した。

 その後も王妃様一筋、愛妻家と名高い陛下だったが、実は週に二度は私のもとに来ている。王妃様を今でも嫌いではないけれども、時々平民そのものの価値観と貧乏くささに嫌気が差すのだそうだ。私はそれを不誠実とは考えない。むしろ人間らしいと好ましく思う。結婚するまで見えてこないものってあるものよ。陛下にとっても満たされていて何もねだらず、ただ甘やかしてくれる私が楽なのだろう。

 ところが最近王妃様が私の存在に感付いたらしく、頻繁にヒステリーを起こすようになったのだそうだ。陛下は「理由付けて離婚しようかな……」と一昨日ベッドの中で呟いていた。あらあら、お可哀想な王妃様。後ろ盾もお子様もいない王妃様にとっては、陛下の愛情だけが最後の頼みの綱でしょうに。

 王妃様のように私に旦那を寝取られた奥方様の一部は、私を好き者、便所と陰口を叩いているらしい。まあその通りだから反論する気もない。ただちょっぴりだけいつも思う。その気の無い旦那を愛するなんて時間の無駄。男なんて星の数ほどいるんだから、そうと分かればさっさと次行け次!アラサーの婚活じゃそれが鉄則だったわ!!

――そんな日々も二年目になるある日のことだった。
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