ポツンと一軒家の主婦は元賢者〜夫を半殺しにしたら、世界の声が、魔法を駆使して快適スローライフを目指します

つよし追放へ完

あっさりしたものだった。
紙切れ一枚とはよく言ったものだ。

あの後、公正証書を提出し、しおりの作っただけ手直しなどはない。内容確認だけだった。
離婚届は出してすぐに受理された。本当にすぐにだ

なんだが少し物悲しい

「あっさりしたもんだな」

そんなつよしの言葉がしっくりくる。


家に帰り、しばらくゆっくりとお茶をする。
しおりに初めて訪れた部屋の案内をしてあげる。

「二階の部屋と、下の部屋、どっちの部屋がいいか考えておいてね」

小さく耳打ちをすると、しおりはニヤリと笑った。

「それじゃあ、そろそろ行くよ仕事もあるしね、つよしも行くんでしょ？」

「うん、仕事もだけどしおりのマンションを見たいし」

二人は重い腰をあげだした。

「つよし、鍵置いてってね、まだ名義はつよしだけど、もう私達は夫婦ではないんだから、ここはあなたの家ではないは」

つよしは驚いたような、悲しいような顔をした。
キーケースから家の鍵を外し、ひよりに渡す。

「今までありがとう、本当にごめんなさい」

しっかりと頭を下げて謝る。

「うん、いいよ、きっと時間が経てば楽しかった思い出が残ると思うから」

ひよりは少し涙ぐみながら、二人を見送った。