嫌われ王様の側室 ☆☆ちょっとだけ幽閉もあるよ☆☆

モスマンの娘

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7.ヒロシとの出会い

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そのあとしばらくして、ヒロシに出会った。

小さな小さな戦争が起きた。
隣の国が、我が国に攻撃を仕掛てきたらしい…
我が国の騎士達のおかげで、大した被害もなく直ぐに平和条約が平定された。


しかし、やはり怪我をした騎士達は出ている。
僕は騎士たちがいる療養施設に慰問に行った。


ヘラヘラっと揉み手をするように僕について周る騎士団長を尻目に、傷ついた騎士達に声をかけていく。

皆、緊張した顔をするばかりであまり歓迎されていないことは感じる。
でも我が国を守ってくれた者たちだ、一人一人に丁寧に礼を言っていく。


部屋を周っていくと、だんだん部屋が薄汚れていく…
騎士団長にはこれ以上の慰問は不要かとっと止められたが、知ったことではない
すべて周る気で来たのだ


どうやら爵位が低い者や、平民たちの騎士たちの部屋らしい
僕がその者たちにも礼を言っていくと、ひどく驚かれ泣き出して感動する者までいた。


一人、大した治療もされてなく、部屋の隅で捨て置かれるように、汚い毛布で寝転されている者を見つけた。


「あの者は、なぜあのようにされているのだ?」

「あぁ……あの者は騎士ではなく、戦奴です。
あの者に、ポーションも回復魔法士を充てがうのも勿体ないため、あのまま捨て置かれているのです。
あまり気になさらないでください…王様にはお目汚しかと…」


騎士団長の言葉を聞き、その戦奴の側に行くと
ひどく驚いた様子を見せ、なんとか体を起こそうとする。
腹に穴が開いてるらしく、痛みで苦しみながらも僕になんとか礼を尽くそうとしている。


「そのままでよい、お前は…なぜ戦奴になったのだ?
育ちは悪くなさそうに見えるが…」

「はい、お恥ずかしながら…父が不正を働き爵位を没収されて、借金のために戦奴になりました。
しかし、身分は卑しくとも…国のために戦えることを誇りに思います」


血を流しすぎたのだろう、顔色は真っ青で目の下はどす黒い、このまま捨て置かれたら死ぬのは間違いないが…
この者が惜しいと思ってしまった。


「この者を治療せよ!
死なすことは許さん、この者を側室とする。」


ダークの時の教訓で、去勢は自ら行うので不要っと伝えておいたら
傷がすっかり治ったヒロシはやはりキラキラでヒラヒラの服を着て、寝室でガタガタと震えながら通されてきた。


「自分で去勢したいなんて、どんな残虐な王様かと思いました!」


っと後で涙目で訴えられてしまった…


やっぱり話すことがないので、自分の話をすると
途中から嗚咽が部屋中に響くくらいに号泣されてしまった。


「あなたはもっと悲しんで、泣いて拒否してもいいんですよ?
何を心を殺して生きているんですか!
あなたはもっと自分の人生を憂いていいし、ワガママになっていいのですよ?」


ヒロシはその日シーツと枕がグチョグチョになるまで僕のために泣いてくれた。


それから僕はちょっとだけ、心のままに動くようになった。
貴族の利益にしかならないような戦争をやめ、その分を国民のための慈善事業にお金を割いた。
民が嬉しそうにしているのはいい気分だった。


「ヒロシは何をしたい?
ヒロシのお陰で僕はしたいことができるようになったんだ…
お礼がしたい…何をしたい?」

「私は強くなりたい、民を守るために、この国を守るためにもっともっと強くなりたい」


僕はヒロシを騎士として払下げをした。
そこからヒロシがどう鍛え、立ち振る舞うかは僕にはわからないけど…
他の人よりちょっとだけ優遇されるようにはしておいた。
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