嫌われ王様の側室 ☆☆ちょっとだけ幽閉もあるよ☆☆

モスマンの娘

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5.幽閉

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僕の世界は薄暗い灰色の石で包まれている。
産まれたときからココしか知らない。
ココが全て…


ココにあるのは、ベッドと本棚と机
ココに来るのは僕の面倒をみる使用人と勉強を教える教師と、時々お母様


お母様はいつも僕に言い聞かせる。


「あなたはあの人の血を継いでいる高貴な人間なのよ?
あなたは選ばれた血筋なのよ?
その血を誇りなさい!」


僕にはよくわからなかった。


教師が教える、この国の歴史の主人公のような国の建国者

この地を平安の世にして、魔獣達を抑え込み、人間の国を作ったのが僕の祖先



でも僕はココから出たことがなくて、高いところにある窓から見えるのは空だけで
僕はその生活が幸せなのか不幸なのかすらわからなかった。


ある日、その日常が壊された。
突然、あの部屋から出されて体を洗われ色々なものを体に擦り付けられて、見たこともない綺羅びやかな服を着せられた。


その日から僕は王様になった。
なにもできない王様だけど…すべて家臣達が決めていった。


そこから少しずつ自分というものがわかってきた。
僕は前王様が残した使用人との子供だということ

正妃との間にすぐに弟が産まれる予定で、世継ぎには出来ずただ王様の血筋を殺すこともできず、ひたすら幽閉されていたこと

弟がまさかの敵国の暗殺者によって殺されたため、僕が新しい王様に選ばれたこと


僕はそれでも何も感じなかった。
幽閉されていた怒りも悲しみもなかったし
ただ僕を放ったらかして進む世界に少し憤りを感じていた。



王様になっても、国民や家臣は僕をあまりよく言わなかった…

小さな王様、弱々しい王様、真っ黒で不吉な王様、役に立たない王様、でもあの方の血筋には間違いないから…


誰も僕を認めはしないけど、僕の血は認めていた。

誰も僕を求めはしないけど、僕の血は求められていた。


それでいいと思っていた。

『その血を誇りなさい!』

母親が言っていた言葉が頭に響いていた。
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