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20.隠れた傷跡
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「これでも…ジョンは…綺麗だって言ってくれる?」
僕の手を取り背中へ誘導しるように。すべすべの脇腹を通って這わされたその手のひらには、ボコボコとした異質な感触がして
白くてすべすべのアキラの肌には似合わない感触で…
「何?これっ…何!どうしたのっ?これって…見せて!!アキラっ!これっなんだよ!」
「あっ…ごめんねっ、違うんだ…ジョン…あのっ」
アキラが怯えた顔になっていく、違う…アキラを怯えさせたいわけじゃないんだ、でも…自分が止められない…これって、この感触って、絶対に傷痕だ!
もう半分無理矢理のようにアキラのパジャマを剥いで、手元のベッド脇の卓上ライトを着ければ、アキラの白い肌がぼわりっと浮き出てきて…その素肌は綺麗なのに、すごく綺麗なのに…
背中には幾つもの赤い線があって、
酷く大きなケロイドもあって、大きな深そうな傷痕もあって
「アキラ!これって何?誰にやられたんだよ!こんなっ…酷い…なんで俺に言わなかったの!!」
「あのっ…違うんだよっ、これをやられたのは…ずっと前で…ジョンに会う前の傷なんだよ…でもやっぱり酷いよね…醜いよね?」
アキラの言葉に怒りに我を忘れていた頭が急激に冷やされる。悲しそうに小さくなって、僕が剥がしたパジャマを引き上げて傷だらけの背中を隠そうとしている。
あぁ…僕の言葉がアキラを傷つけてしまった。
「違う!アキラは醜くなんないから!アキラの全部が綺麗で可愛いから!
傷痕…ちゃんと見せてよっ、何で隠してたの?それに誰にやられたの!」
「うん…ありがとう…
やったのは僕の母親なんだよ、両親は僕のせいで離婚することになったから…ジョンには見られたくなかったんだよ…」
ポツリポツリとアキラが話してくれる。
母親はまだ幼いアキラを天才だと言って、ひたすら勉強をさせていたこと
間違えたりすると、細い鞭で何度も背中を引っ叩かれたこと、理解ができないと、食事も水も貰えなかったこと
「あの日は特に母親の折檻が酷くて、ポットの熱湯を掛けられたんだ…そしたら単身赴任をしてた父さんが予定外に帰ってきてね
僕の悲鳴で父さんが家に飛び込んできて…僕への虐待が露見したんだ」
離婚してアキラの父親は職を失い苦労していること
父親は母親の親の企業に勤めていて、将来を約束されたも同然だったこと
自分のために、仕事を捨てて守ってくれたこと
「離婚が決まって、いよいよ家を引き払うって日に、母親にグサリって背中から刺されたんだ。それが肺まで達っしてて…だからあまり激しい運動をしちゃうと息が苦しくなっちゃうんだよ…そんな僕を父さんはずっと面倒見てくれていて…」
静かな抑揚のない声のアキラの話を聞きながら、ずっとアキラを抱きしめて背中の傷に一つづつキスをしてた。
その時に側に居られたら絶対に守ったのに、アキラに痛い思いも苦しい思いもさせなかったのに…
「ごめんねっ…アキラ、ごめん…守れなくてごめん…」
「なんでジョンが謝るの?ジョンに出会う前の話でしょ?」
「でもごめんっ…守りたかった。アキラが傷つけられるのを止めたかった!」
瞳に涙が溜まってグズグズと鼻水が垂れだしそうだけど、ずっと傷跡を舌でなぞって、キスをして…
魔法が使えたらいいのに、アキラの傷も昔の痛みも全て消せる魔法が使えたらいいのに…
「でもよかった…ずっと怖かったんだよ、ジョンがこれを見て気持ち悪がるんじゃないかって…嫌われるんじゃないかって…」
「そんなこと思うわけないでしょ!こんな傷痕じゃ、アキラの可愛さも綺麗さも、霞すらしないからね!でも…アキラが、そんなに苦しかった時期があったのが…悲しいぃぃ」
「ふふっ…でも今はすごく幸せだから、ジョンにこうやって抱きしめてもらえて、キスしてもらえて…すごく幸せだから…」
アキラがほっとしたように、僕の抱きしめている腕に手を添えて身を任せてくれるから
僕もずっと強くアキラを抱きしめて、頬や首筋にもキスを落としていった。
二度とアキラを傷つけさせたくないって、アキラをずっと守りたいって強く強く思いながら…
僕の手を取り背中へ誘導しるように。すべすべの脇腹を通って這わされたその手のひらには、ボコボコとした異質な感触がして
白くてすべすべのアキラの肌には似合わない感触で…
「何?これっ…何!どうしたのっ?これって…見せて!!アキラっ!これっなんだよ!」
「あっ…ごめんねっ、違うんだ…ジョン…あのっ」
アキラが怯えた顔になっていく、違う…アキラを怯えさせたいわけじゃないんだ、でも…自分が止められない…これって、この感触って、絶対に傷痕だ!
もう半分無理矢理のようにアキラのパジャマを剥いで、手元のベッド脇の卓上ライトを着ければ、アキラの白い肌がぼわりっと浮き出てきて…その素肌は綺麗なのに、すごく綺麗なのに…
背中には幾つもの赤い線があって、
酷く大きなケロイドもあって、大きな深そうな傷痕もあって
「アキラ!これって何?誰にやられたんだよ!こんなっ…酷い…なんで俺に言わなかったの!!」
「あのっ…違うんだよっ、これをやられたのは…ずっと前で…ジョンに会う前の傷なんだよ…でもやっぱり酷いよね…醜いよね?」
アキラの言葉に怒りに我を忘れていた頭が急激に冷やされる。悲しそうに小さくなって、僕が剥がしたパジャマを引き上げて傷だらけの背中を隠そうとしている。
あぁ…僕の言葉がアキラを傷つけてしまった。
「違う!アキラは醜くなんないから!アキラの全部が綺麗で可愛いから!
傷痕…ちゃんと見せてよっ、何で隠してたの?それに誰にやられたの!」
「うん…ありがとう…
やったのは僕の母親なんだよ、両親は僕のせいで離婚することになったから…ジョンには見られたくなかったんだよ…」
ポツリポツリとアキラが話してくれる。
母親はまだ幼いアキラを天才だと言って、ひたすら勉強をさせていたこと
間違えたりすると、細い鞭で何度も背中を引っ叩かれたこと、理解ができないと、食事も水も貰えなかったこと
「あの日は特に母親の折檻が酷くて、ポットの熱湯を掛けられたんだ…そしたら単身赴任をしてた父さんが予定外に帰ってきてね
僕の悲鳴で父さんが家に飛び込んできて…僕への虐待が露見したんだ」
離婚してアキラの父親は職を失い苦労していること
父親は母親の親の企業に勤めていて、将来を約束されたも同然だったこと
自分のために、仕事を捨てて守ってくれたこと
「離婚が決まって、いよいよ家を引き払うって日に、母親にグサリって背中から刺されたんだ。それが肺まで達っしてて…だからあまり激しい運動をしちゃうと息が苦しくなっちゃうんだよ…そんな僕を父さんはずっと面倒見てくれていて…」
静かな抑揚のない声のアキラの話を聞きながら、ずっとアキラを抱きしめて背中の傷に一つづつキスをしてた。
その時に側に居られたら絶対に守ったのに、アキラに痛い思いも苦しい思いもさせなかったのに…
「ごめんねっ…アキラ、ごめん…守れなくてごめん…」
「なんでジョンが謝るの?ジョンに出会う前の話でしょ?」
「でもごめんっ…守りたかった。アキラが傷つけられるのを止めたかった!」
瞳に涙が溜まってグズグズと鼻水が垂れだしそうだけど、ずっと傷跡を舌でなぞって、キスをして…
魔法が使えたらいいのに、アキラの傷も昔の痛みも全て消せる魔法が使えたらいいのに…
「でもよかった…ずっと怖かったんだよ、ジョンがこれを見て気持ち悪がるんじゃないかって…嫌われるんじゃないかって…」
「そんなこと思うわけないでしょ!こんな傷痕じゃ、アキラの可愛さも綺麗さも、霞すらしないからね!でも…アキラが、そんなに苦しかった時期があったのが…悲しいぃぃ」
「ふふっ…でも今はすごく幸せだから、ジョンにこうやって抱きしめてもらえて、キスしてもらえて…すごく幸せだから…」
アキラがほっとしたように、僕の抱きしめている腕に手を添えて身を任せてくれるから
僕もずっと強くアキラを抱きしめて、頬や首筋にもキスを落としていった。
二度とアキラを傷つけさせたくないって、アキラをずっと守りたいって強く強く思いながら…
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