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第6章

絶望の底部

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「…これも聖女様の力が弱まったからでは」

その言葉は小さかったが、しっかりとジールの耳に届いた



「なっ…不敬だぞ!お母様がどれだけ、国のため民のため祈り続けているか、お前にわかるのか」

ジールは声を荒らげた。
悔しくて、悲しくて、たまらない思いだった。



結局、貴族達とジールでは今後の方針も折り合いがあわず。
王の捜索と襲撃者の特定をすることとしか、決定ができなかった。


「申し訳ありません、お母様。僕では王のようにはいきませんでした。」


シスタのベッドの横に、ジールは膝を付き顔を突っ伏す。

「ジールありがとう、ごめんなさい、私がしっかりしなくてはいけないのに。
あなたに任せっきりになってしまって。

もう…ジール、私達は駄目なのかもしれません。」

シスタはジールの頭をなでる。絶望しかないように思えた。
そんな2人を更に突き落とそうとしている存在をまだ気づかないまま

2人は傷を舐め合うように、ただただ悲しみに深けていた。




「ロザリア、今がチャンスですよ。政権を奪いに行きましょう」
ジエスタは不敵に笑い。
派手な刺繍の赤く燃えるようなドレスをはためかせた。
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