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第6章
王散る
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報告を受け、シスタは崩れ落ちるように、地に膝をついた。
体がガクガクと震え、声がでない。両の手で自分自身をしっかりと抱きしめる。
そうしていないと、バラバラになって存在すらできなくなりそうだったから…
「王の馬車が襲撃にあい、交戦の末、谷底に落下しました。
王の安否はわかっておりません。」
その後、安定剤を飲まされベッドに横にさせられている。
不思議と涙は溢れてこない。ただ胸の鼓動五月蝿く響くのが気になった。
「襲撃者はどこのものか判明しているのか?
西の帝国のものなら最悪戦争になりかねないぞ」
「戦争だなんて、ここ何代も起きていないのに。
我が国の軍事力で勝てるのか?」
「西の帝国と戦争になれば、食料はどうする?かなりの割合を頼っているぞ」
「他の近隣諸国にはまだ情報はでてないな。慎重にしなければ、西につかれてはやっかいだぞ」
貴族たちは蜂の巣を突付いたように騒いでいる。
「皆さん落ち着いてください、まだ西の帝国のものが王を襲撃したとはわかっておりません。
戦争など、飛躍した考えはおやめください。」
ジールは必死に貴族たちを沈静化しようとする。
自身も泣き叫びたいほどの、悲しみの中ではあったが
「…これも聖女様の力が弱まったからでは」
1人の貴族がボソリと呟いた
体がガクガクと震え、声がでない。両の手で自分自身をしっかりと抱きしめる。
そうしていないと、バラバラになって存在すらできなくなりそうだったから…
「王の馬車が襲撃にあい、交戦の末、谷底に落下しました。
王の安否はわかっておりません。」
その後、安定剤を飲まされベッドに横にさせられている。
不思議と涙は溢れてこない。ただ胸の鼓動五月蝿く響くのが気になった。
「襲撃者はどこのものか判明しているのか?
西の帝国のものなら最悪戦争になりかねないぞ」
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