81 / 89
第6章
戦争の火種
しおりを挟む
西の帝国の対談が決まった。
第2王子は疫病を嫌ってか、なかなか対談をうけてはくれなかった。
西の帝国が疫病がでた際に無期限で貸した、貸付金のことを持ち出したら、しぶしぶと受領した。
「あの第二王子を納得させるのはなかなか骨が折れそうだよ、シスタどうか祈っておくれ。
国や領民のための祈りのついででいいから、私のために、
そしたら私は空だって飛べる気がするよ」
珍しく弱気を吐く王の目は、大変に疲れを感じさせる。
シスタは優しく包み込むように手をとる。
「えぇ祈りますとも、王のご無事を、成功を、幸運を。
私の全霊をかけて祈ります。
空を飛んでくださるなら、少しでも早く帰ってきてくださいませ。
ご無事を祈っております」
ふふっと二人は笑った。
疲れきって力ない笑いだが、幸せなときが二人を包む。
「お父様、お母様少しよろしいでしょうか?」
ジールが突然部屋に入ってきたため、二人はパッと離れて目をそらしだす。
「あぁ、よろしくなかったですかね?すいません」
気まずい雰囲気を察して、ジールが謝れば
「別にかまわんよ、なぁ?シスタ、別になぁ?」
王が顔を赤らめている。
「えぇ、かまいませんよ
ただ王と私が仲良く話していただけですよ。
ふふ、私たちが中の良いことぐらい、ジールが一番しっているでしょう?」
シスタは王が愛しくて、ついからかってしまう。
シスタの言葉に、王はゆでダコのように顔をさらに赤くしている。
幸せだった、すべてがうまくいっていなかったが。
その瞬間だけは確かに幸せだった
第2王子は疫病を嫌ってか、なかなか対談をうけてはくれなかった。
西の帝国が疫病がでた際に無期限で貸した、貸付金のことを持ち出したら、しぶしぶと受領した。
「あの第二王子を納得させるのはなかなか骨が折れそうだよ、シスタどうか祈っておくれ。
国や領民のための祈りのついででいいから、私のために、
そしたら私は空だって飛べる気がするよ」
珍しく弱気を吐く王の目は、大変に疲れを感じさせる。
シスタは優しく包み込むように手をとる。
「えぇ祈りますとも、王のご無事を、成功を、幸運を。
私の全霊をかけて祈ります。
空を飛んでくださるなら、少しでも早く帰ってきてくださいませ。
ご無事を祈っております」
ふふっと二人は笑った。
疲れきって力ない笑いだが、幸せなときが二人を包む。
「お父様、お母様少しよろしいでしょうか?」
ジールが突然部屋に入ってきたため、二人はパッと離れて目をそらしだす。
「あぁ、よろしくなかったですかね?すいません」
気まずい雰囲気を察して、ジールが謝れば
「別にかまわんよ、なぁ?シスタ、別になぁ?」
王が顔を赤らめている。
「えぇ、かまいませんよ
ただ王と私が仲良く話していただけですよ。
ふふ、私たちが中の良いことぐらい、ジールが一番しっているでしょう?」
シスタは王が愛しくて、ついからかってしまう。
シスタの言葉に、王はゆでダコのように顔をさらに赤くしている。
幸せだった、すべてがうまくいっていなかったが。
その瞬間だけは確かに幸せだった
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説

初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。
王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……
……そんなこと、絶対にさせませんわよ?
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

旦那様は離縁をお望みでしょうか
村上かおり
恋愛
ルーベンス子爵家の三女、バーバラはアルトワイス伯爵家の次男であるリカルドと22歳の時に結婚した。
けれど最初の顔合わせの時から、リカルドは不機嫌丸出しで、王都に来てもバーバラを家に一人残して帰ってくる事もなかった。
バーバラは行き遅れと言われていた自分との政略結婚が気に入らないだろうと思いつつも、いずれはリカルドともいい関係を築けるのではないかと待ち続けていたが。

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。
【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った
Mimi
恋愛
声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。
わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。
今日まで身近だったふたりは。
今日から一番遠いふたりになった。
*****
伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。
徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。
シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。
お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……
* 無自覚の上から目線
* 幼馴染みという特別感
* 失くしてからの後悔
幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。
中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。
本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。
ご了承下さいませ。
他サイトにも公開中です

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる