上 下
57 / 89
第5章

アリファント家の一日

しおりを挟む
あれは冗談じゃなかった。
本当に本当にアリファント家は人使いが荒い。

それは5人の共通の思いだった。

朝から納屋の片付けと掃除をし、大変質素な昼ごはんの後、ひたすら貝殻を洗い、干す作業をさせられた。

これはなんの意味があるんだ?
嫌がらせか?
などの思いがよぎったが

暇があれば、フランシス、マリア婦人、セバスチャンなど次々に手伝いが入る。

しかも、フランシスなど午後からほぼ貝殻を乾かすのと、貝殻をひたすら砕くのについやしていた。

普通貴族が庭で貝殻を潰すか?
すりこぎ片手に、ひたすら貝を叩き続けるなど、よほど農婦の方が楽な気がする。

しかし、フランシスはその作業を大変楽しそうに、有意義にやっている。

「これは大変大切なものになります。なんせこれは聖女の砂ですからね」
と言って。

どういうことだ?と思っていると

一人の農夫が屋敷の門の前にきた。

「申し訳ないのですが、聖女の砂は買えないでしょうか?

あの後畑に撒いたら実りがよくなったども、もらった量じゃあ足りなくて、あれは貴重な物なんでしょうか?

あまり金はないのだけど…」

ドレッティがでていって対応をし、大きな袋いっぱいの聖女の砂を渡していた。

「え?これってうれるんですか?」

「えぇ、畑にまくと実りや芽吹きがよくなります。
まぁ本当に植物学的に有効性のある、貝殻石灰というものですから。
でもこの土地では聖女の砂で通っています」

少し恥ずかしそうな顔も可愛い

「あの袋で1バーツになります。」

「はぁ?1バーツってまったく儲けになってないですよね?」

「えぇ、問題はありません」

そこからフランシス様の懐深さをしることになる
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

役立たずの私はいなくなります。どうぞお幸せに

Na20
恋愛
夫にも息子にも義母にも役立たずと言われる私。 それなら私はいなくなってもいいですよね? どうぞみなさんお幸せに。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ

曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。 婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。 美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。 そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……? ――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【完結】あなたから、言われるくらいなら。

たまこ
恋愛
 侯爵令嬢アマンダの婚約者ジェレミーは、三か月前編入してきた平民出身のクララとばかり逢瀬を重ねている。アマンダはいつ婚約破棄を言い渡されるのか、恐々していたが、ジェレミーから言われた言葉とは……。 2023.4.25 HOTランキング36位/24hランキング30位 ありがとうございました!

あなたのことが大好きなので、今すぐ婚約を解消いたしましょう! 

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「ランドルフ様、私との婚約を解消しませんかっ!?」  子爵令嬢のミリィは、一度も対面することなく初恋の武人ランドルフの婚約者になった。けれどある日ミリィのもとにランドルフの恋人だという踊り子が押しかけ、婚約が不本意なものだったと知る。そこでミリィは決意した。大好きなランドルフのため、なんとかしてランドルフが真に愛する踊り子との仲を取り持ち、自分は身を引こうと――。  けれどなぜか戦地にいるランドルフからは、婚約に前向きとしか思えない手紙が届きはじめる。一体ミリィはつかの間の婚約者なのか。それとも――?  戸惑いながらもぎこちなく心を通わせはじめたふたりだが、幸せを邪魔するかのように次々と問題が起こりはじめる。  勘違いからすれ違う離れ離れのふたりが、少しずつ距離を縮めながらゆっくりじりじりと愛を育て成長していく物語。  ◇小説家になろう、他サイトでも(掲載予定)です。  ◇すでに書き上げ済みなので、完結保証です。  

【完結】私が重すぎ?軽い方だと思いますが、そう仰るなら婚約破棄を受け入れます。 それなのに、あなたはなぜ私に付きまとうのですか?

西東友一
恋愛
「お前、重すぎんだよ」  婚約したら将来の話をするのは当然だと思っていたジャンヌは、婚約者のジェダインに婚約破棄を言い渡されてしまう。しかし、しばらくしてジェダインが寄りを戻そうと行ってきて――― ※※ 元サヤが嫌いな方、女主人公がハーレムっぽくなるのが嫌いな方、恋愛は王道以外は認めない方はご遠慮ください。 最後のオチに「えーーっ」となるかもしれませんし、「ふっ」となるかもしれません。 気楽にお読みください。 この作品に関して率直な感想を言いたくなったら、否定的な意見でも気軽に感想を書いてください。 感想に関して返信すると、気を遣って自由に言いたいことを言えなくなるかもしれないので、この作品の感想の返信は一律でしませんので、ご容赦ください。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

処理中です...