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第5章

ロミオの決心

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あの後領民の前で、アリファント家に忠義を誓いロミオ達はエレファント地区に迎え入れられた。

住む場所はアリファント家の納屋ということになったが、納屋はかなり荒れているし、物置化していてとても住めない。

更にロミオはたぶん肋骨が折れている。
家来の剣士のアミルもむち打ちとたぶん肋骨を折れている。
槍使いのペトロは喉が潰れ、しゃべれない

こちらの怪我が落ち着くまでは客室で寝泊まりすることになった。
ナイフの二人は侍女のアルル、執事のセバス

この二人は怪我がないのと、怪我人も動ける範囲で納屋を片付け住める準備をするということになった。



「お怪我は痛みませんか?こちらの薬草が痛み止めに効きますから、煎じてあります。
苦いですが、一気にお飲みくださいね」

フランシスが薬草を届けに来ると、ボゥとした顔でロミオが受け取る。

「ありがとうございます。こんな、僕達なんか気にかけていただいて」

「何をおっしゃるのです、もうアリファント家の一員です。
でも気をつけてください、うちは人使いが荒いですよ!
今日はゆっくり休まれて、明日からバシバシ!働いていただきますからね」

笑顔で冗談めかして言うフランシスにロミオは、目が離せなかった。


フランシスが去ってから、
「ロミオ様!明らかにあの娘さんに恋してますよね?わかりやす~い」

遠慮なく、しゃべってくるのは剣士のアミル
ロミオとは幼なじみである。

「お兄ちゃん、そんなちゃかしちゃだめだよ」
とめるのは双子の妹のアルル
兄と違ってかなり小さい

「王子、本当にこちらのアリファント家に仕えるおつもりですか?西の帝国を捨てて」

セバスは辛そうに告げる。
ペトロはうんうんと頷くことしかできない。

「それなんだが。やはり私は決心したのだ、お前たちには悪いと思っている」
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