41 / 89
第4章
トーマスの誘い
しおりを挟む 1階に下り、渡り廊下を通って中央棟へ急ぐ。
幸い、広いロビーにも事務室にも人の気配はない。
正面玄関のガラス戸を通して、厚い雲に覆われた空が見える。
どうやら雨が降り出したようで、ガラスにどんどん水滴がついていく。
一気に暗さを増した外界は、まるで余裕をなくした杏里の心象風景のようだ。
下駄箱の列の隅が、アイテムを隠した来客用コーナーだった。
隠してあったタオルで裸身を拭くと、まず乳首と陰部にロイヤルゼラチンを塗り込んだ。
その上から薄いピンクのブラとパンティ、そして黒いパンティストッキングを身につけると、下着の上から白のブラウスを羽織り、黒のタイトミニを穿く。
仕上げにフレームの細い銀縁眼鏡をかけると、杏里は社会人になったばかりのOLそのものの格好になった。
久しぶりに衣服で肌を隠すことができ、少しほっとした気分だった。
着替えを済ませ、ホールの大鏡の前でポーズをとってみる。
悪くはなかった。
露出度の高いコスチュームだけでは飽きられてしまうだろうと、あえてセレクトした地味目のアイテムである。
が、成人女性並みに乳房と尻の発達した杏里には、ブラウスとタイトミニの組み合わせがよく似合う。
次のターゲットは教員たちだけに、このスタイルは有効なはずだった。
まあ、一部のロリコン教師には不評かもしれないけど…。
ふとそんなことを思うと、苦い笑いがこみ上げてきた。
職員室に行く途中で給湯室に寄り、水で性露丸マグナムの丸薬を喉に流し込む。
これも下駄箱に隠してあったものである。
残りはゴールである体育館の下駄箱に忍ばせてある一袋だけだから、今となっては貴重なエネルギー源だった。
塗り薬と飲み薬の両方が効いてくるのを待つ。
いい加減疲れ切っている身体の奥に火がともり、めらめらと燃え上がり始めるのがわかった。
乳首が勃起し、薄いブラジャーの生地を押し上げる。
一時乾きかけていた股の間のぬるぬる感も、また元に戻ってきたようだ。
覚悟を決めて、職員室の引き戸の前に立つ。
控えめにノックをすると、
「どうぞ」
校長の大山のバリトンが返ってきた。
「笹原君だね。待っていたよ。何の仕掛けもないから、安心してお入り」
半信半疑で戸を引いた。
視界に広がったのは、いつもの職員室の光景だ。
それぞれのデスクについて、教師たちがデスクワークにいそしんでいる。
ただひとつ普段と異なるのは、杏里を見る彼らのまなざしが、異様にぎらついて見えることだった。
一歩前に進み出ると、すぐ後ろで乱暴に引き戸が閉められた。
その音を合図にしたかのように、教師たちが椅子をずらして立ち上がる。
その時になって、ようやく杏里は気づいた。
普段と大きく異なる、もうひとつの点に。
デスクの陰から現れた、思わず眼を背けたくなるもの…。
教師たちは、老若男女問わず、全員下半身裸なのだった。
幸い、広いロビーにも事務室にも人の気配はない。
正面玄関のガラス戸を通して、厚い雲に覆われた空が見える。
どうやら雨が降り出したようで、ガラスにどんどん水滴がついていく。
一気に暗さを増した外界は、まるで余裕をなくした杏里の心象風景のようだ。
下駄箱の列の隅が、アイテムを隠した来客用コーナーだった。
隠してあったタオルで裸身を拭くと、まず乳首と陰部にロイヤルゼラチンを塗り込んだ。
その上から薄いピンクのブラとパンティ、そして黒いパンティストッキングを身につけると、下着の上から白のブラウスを羽織り、黒のタイトミニを穿く。
仕上げにフレームの細い銀縁眼鏡をかけると、杏里は社会人になったばかりのOLそのものの格好になった。
久しぶりに衣服で肌を隠すことができ、少しほっとした気分だった。
着替えを済ませ、ホールの大鏡の前でポーズをとってみる。
悪くはなかった。
露出度の高いコスチュームだけでは飽きられてしまうだろうと、あえてセレクトした地味目のアイテムである。
が、成人女性並みに乳房と尻の発達した杏里には、ブラウスとタイトミニの組み合わせがよく似合う。
次のターゲットは教員たちだけに、このスタイルは有効なはずだった。
まあ、一部のロリコン教師には不評かもしれないけど…。
ふとそんなことを思うと、苦い笑いがこみ上げてきた。
職員室に行く途中で給湯室に寄り、水で性露丸マグナムの丸薬を喉に流し込む。
これも下駄箱に隠してあったものである。
残りはゴールである体育館の下駄箱に忍ばせてある一袋だけだから、今となっては貴重なエネルギー源だった。
塗り薬と飲み薬の両方が効いてくるのを待つ。
いい加減疲れ切っている身体の奥に火がともり、めらめらと燃え上がり始めるのがわかった。
乳首が勃起し、薄いブラジャーの生地を押し上げる。
一時乾きかけていた股の間のぬるぬる感も、また元に戻ってきたようだ。
覚悟を決めて、職員室の引き戸の前に立つ。
控えめにノックをすると、
「どうぞ」
校長の大山のバリトンが返ってきた。
「笹原君だね。待っていたよ。何の仕掛けもないから、安心してお入り」
半信半疑で戸を引いた。
視界に広がったのは、いつもの職員室の光景だ。
それぞれのデスクについて、教師たちがデスクワークにいそしんでいる。
ただひとつ普段と異なるのは、杏里を見る彼らのまなざしが、異様にぎらついて見えることだった。
一歩前に進み出ると、すぐ後ろで乱暴に引き戸が閉められた。
その音を合図にしたかのように、教師たちが椅子をずらして立ち上がる。
その時になって、ようやく杏里は気づいた。
普段と大きく異なる、もうひとつの点に。
デスクの陰から現れた、思わず眼を背けたくなるもの…。
教師たちは、老若男女問わず、全員下半身裸なのだった。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った
冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。
「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。
※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる