上 下
20 / 89
第3章

セバスチャンの受難

しおりを挟む
「わぁ、これは立派な書庫ですね!」

フランシスが考えていたより、ずっとたくさんの本が保管されている。

「えぇ、前の領主から譲りうけたものも多いは。前の領主はあまり尊敬はできなかったけど、向上心だけは素晴らしい人だったは」

苦笑いをしながら奥に進んでいく。

本が傷まないように、陽の光もあまり入らないようにカーテンがかけられ、種類別に綺麗に整えられている。

「とりあえず、この領土の歴史と災害の記録などの本がみたいです。あと農作物の本が欲しいです」

セバスチャンが希望する本を手際よくチョイスしてくれる。10冊ほどチョイスし終える。

「いつでも本は見に来ていいけと、かならずセバスチャンを同行させて、もし本が崩れて怪我でもしたら大変だから」

マリア婦人はもうすっかり過保護な母親になっている。

「はい、わかりました。ありがとうございます、たぶんこの量ですと半日で読めますのて、明日またお願いします」

フランシスは本を嬉しそうに抱えているので、セバスチャンに頭だけでもお辞儀をする。

「あぁフランシスは本当に天才だは、あの量を半日なんて」

マリア婦人はフランシスに見惚れる。


そして小さな声で

「わかっているわね、セバスチャン、あちらのコーナーには近づけないのよ!可愛いフランシスが穢れるっ」

書庫の奥には少々、性表現のキツイ文書が保管されている

書物としては評価価値が高いものなので、処分もできない。

「はい、了解いたしました。」

セバスチャンは自分の使命に心を燃やした
しおりを挟む

処理中です...