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第1章
養子に出す
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聖女が王子と結婚しこの帝国を治めるのが、この帝国の昔からの習わしだ。
聖女が皇后として王家に入ることで、神からの加護が受けることができ、これまで帝国は栄えてきたと信じられているのだ。
そして聖女には生まれながら、十字のアザがある。5つある伯爵家の中から年頃の女性のなかで、アザがあるものが聖女として育てられる。
今までで一度に二人、三人と聖女候補が重なった場合もあったが、今回はアリファント家にのみ聖女候補がでた。
アリファント家はこの東の帝国では絶大な権力を持つ伯爵家だ。
フランシスのみが十字のアザがあったのだ。
しかし、選ばれたのはロザリアだった。
「そんな、だってあなたにはアザが‥‥」
言い淀むフランシスに、にこやかにロザリアは長い髪をかき上げて見せる
「ごめんなさい、お姉様、数ヶ月前からこのアザが現れたの」
耳の後ろの目立たない場所に、くっきりと赤い十字のアザがあった。
「こんなこともあるのね、お姉様のアザよる強くくっきりと出てるの」
嫌な笑い顔でロザリアは言ってのける。
フランシスの額の字は青く淡いものだった。
「おまえを養子にだそうと思う」
神託がおりなかったその日から一週間もたたないうちに父はフランシスに告げた。
「わかっていると思うが、聖女になれなかったお前は第一王子との婚約は破棄される」
金髪に青い瞳、貫禄のある体格にみるからに豪華な刺繍のしてある礼服。
今から王家に行くのだろう。
父親の横には新しいエメラルドのドレスに、きらびやかなネックレスをつけたロザリアがいる。
それはフランシスが王子からもらったエメラルドのネックレスだった。
「お前もこのまま帝国にいるのは辛いだろう、違う地で少しゆっくり過ごすがいい」
そういうと父はロザリアと共に出ていった。
聖女が皇后として王家に入ることで、神からの加護が受けることができ、これまで帝国は栄えてきたと信じられているのだ。
そして聖女には生まれながら、十字のアザがある。5つある伯爵家の中から年頃の女性のなかで、アザがあるものが聖女として育てられる。
今までで一度に二人、三人と聖女候補が重なった場合もあったが、今回はアリファント家にのみ聖女候補がでた。
アリファント家はこの東の帝国では絶大な権力を持つ伯爵家だ。
フランシスのみが十字のアザがあったのだ。
しかし、選ばれたのはロザリアだった。
「そんな、だってあなたにはアザが‥‥」
言い淀むフランシスに、にこやかにロザリアは長い髪をかき上げて見せる
「ごめんなさい、お姉様、数ヶ月前からこのアザが現れたの」
耳の後ろの目立たない場所に、くっきりと赤い十字のアザがあった。
「こんなこともあるのね、お姉様のアザよる強くくっきりと出てるの」
嫌な笑い顔でロザリアは言ってのける。
フランシスの額の字は青く淡いものだった。
「おまえを養子にだそうと思う」
神託がおりなかったその日から一週間もたたないうちに父はフランシスに告げた。
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今から王家に行くのだろう。
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そういうと父はロザリアと共に出ていった。
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