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第1章
聖女にあらず
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「神託はあらず、フランシスは聖女にあらず、繰り返すフランシスは聖女にあらず」
そう高らかに宣言された
帝国教会にて静寂に包まれた神々しい光の中
今でも昨日のように思いだされる。
まるで悪夢のように、ガラガラと今までの人生が崩れていく感覚。
フランシスには物心ついてからずっと、片時も気の休まる日などなかった。
聖女になるため、そして国の皇后になるための教育をひたすら受けてきたのだ。
礼儀作法から神学、国の内政から外政、経済学や農学までフランシスはありとあらゆることを学んできた。
フランシスには聖女の証とされる額の十字のアザがあった。そのため聖女候補として厳しく育てられたのだ。
しかし聖女として選ばれたのは双子の妹ロザリアだった。
「神託が降された、ロザリアが聖女である。繰り返すロザリアが聖女である」
揺れる馬車の中で何度も回想される。
あの瞬間、勝ち誇ったような笑みのロザリア。
ロザリアに駆け寄る父と母。
ただ一人立ちすくむしかできないフランシス
馬車はひたすらガタガタのあぜ道を進んでいく。
そう高らかに宣言された
帝国教会にて静寂に包まれた神々しい光の中
今でも昨日のように思いだされる。
まるで悪夢のように、ガラガラと今までの人生が崩れていく感覚。
フランシスには物心ついてからずっと、片時も気の休まる日などなかった。
聖女になるため、そして国の皇后になるための教育をひたすら受けてきたのだ。
礼儀作法から神学、国の内政から外政、経済学や農学までフランシスはありとあらゆることを学んできた。
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あの瞬間、勝ち誇ったような笑みのロザリア。
ロザリアに駆け寄る父と母。
ただ一人立ちすくむしかできないフランシス
馬車はひたすらガタガタのあぜ道を進んでいく。
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