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未来へ

147.執行猶予 (sideアキラ)

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裁判は執行猶予が付くか付かないかで
かなり微妙なところになっている。
完全に故意に行っているし
五日間という長い期間をシステムダウンさせたことから、実刑は免れないかもしれないっと思っていたのに…


おじいちゃんの弁護士はとんでもない隠し玉を持ってきた。
母親だった…

「私がこの子の運命の番の牙狼の憎さに、虚偽の情報で人型の牙狼を通報により収容させたのです。
その牙狼は大変に大人しく賢くて決して人を傷つけたりしないのに、凶暴な牙狼だと…

この子は運命の番を助けたいがためにこのようなことを……
今回は確実に私めに責がございます。どうぞ情状酌量をよろしくお願いいたします。」

僕のためにあのひとが、自分の罪を認めるなんて思いもしなかった。


「ありがとう……まさか来てくれるとは思わなかったよ」

「当たり前じゃない?
ふふっ…これで少しでもあなたが幸せになれたら嬉しいは!
今度は皆で遊びにきて頂戴ね?
ねぇ…あなた、皆でハイキングなんて素敵じゃない?」

「あぁ…そうだな、
母さん、疲れてないかい?大丈夫かい?アキラも…よかったら来ておくれ、母さんが喜ぶから」


あの人はどこまでも愛しそうに、寄り添いながらあのひとを包み込むように歩いていく。
あぁ…あの二人は幸せなんだなって、羨ましくなってしまった。


その証言のおかげで、かなりの情状酌量をされて執行猶予三年が付くことになった。
僕の罪はあと三年か……
途方も長く感じるけど、ジョン君の手紙が届くまでは頑張ろうって気にさせられた。



手紙には魔法実習レポートに苦労しているっと書いてあった。
そういえばお千代さんも苦労していたなっと懐かしくなってしまった……
久しぶりに勉強がしたくなった。


おじいちゃんに頼めばすぐに読みたい本を用意してくれた。
でもできれば学校で学びたい欲がでてきた。
高卒認定試験を受けようと思うっとおじいちゃんとカズマに話せば飛び跳ねて喜んでくれた…
そこまで喜ばれると思っていなかったからびっくりしてしまった。


試験は簡単なものだったからさくっと受かって来年から大学に通うための受験勉強を始めた、ふっと気づいた。
来年から大学に行けば…ジョン君と同級生か?


久しく感じてなかった顔に熱がこもる感覚に、戸惑ってしまった。
確かジョン君が受ける予定なのは……

数週間前の手紙を引っ張りだしてきて確認をする…うん、あのカズマと一緒の最難関大学の法学部だ……


僕が行きたい薬学部も確か他のキャンパスになるけどあったはずだ……
受験して、あとニ年間したら執行猶予も終わる。
そしたら罪を償ったになるよな…
そしたら一緒にキャンパスライフっとか…


考えついたことは、すごく下心ありありだけど!
でも今までの虚無感なんて吹っ飛んてしまうほど、体の中の熱が高まってしまったから……
おじいちゃんに正直に話すことにした。
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